【プロ野球】阿部慎之助監督で“盟主”復活なるのか!?なんともうまく嚙み合わなかった2023年…ジャイアンツシーズン振り返り座談会!!
2023年はBクラスに甘んじた原巨人。トータル17年に及ぶタツノリ政権の終焉は寂しいものだった。キレに欠ける采配に選手たちの躍動感もイマイチ。そんなシーズンを終え2024年の阿部新監督の船出、そして噂される新球場建設に向けてどう復活していくのか? おなじみジャイアンツ愛にあふれる三人の熱血座談会開幕!
懸命に励んでプレーした結果がこれでは
――今年の春の座談会はWBCで盛り上がっていたので、ジャイアンツの話をするのは昨年の秋以来なんです。その座談会をあらためて見返すと、まあ暗かった。
中溝康隆 たしかに、「中田(翔)の一塁守備はすごいんだけど、それが居酒屋で出る最初の話題でいいのか?」って話してましたもんね。
――単刀直入にBクラスに沈んだ2023年の敗因ってところから聞いていきたいなと思います。
中溝康隆 ドームの開幕戦を伊賀さんと見てたんです。案の定、リリーフが打たれて逆転負け。先発がもう誰も覚えてないビーディ。で、2戦目がグリフィンっていう。新助っ人が1、2戦目にいかなきゃいけない先発ローテ……。
生田登 やっぱそりゃないよって思うよね。別に助っ人を悪く言うつもりはないけど、「こいつに託すんだ……」っていう。こいつとだったら負けていい、心中してもいいっていうのがビーディじゃあ、中溝理論で言うとこの割り勘しようがないよね。
伊賀大介 ストーリーが欲しいっすよね。
中溝康隆 例えば2013年の開幕、当時ハタチの宮國(椋丞)なんですよ。ああいうことをできたタツノリが、今回はビーディだっていうのは、ショーマンとしての衰えというか。宮國は最高に乗れましたからね。
伊賀大介 東野峻もありましたよね。
中溝康隆 ありました。2011年、東野峻。
伊賀大介 あのヤングライオン枠(※元々は新日本プロレスに所属する若手選手の通称。同団体でデビューしおおよそデビュー3年目あたりまでの選手に与えられる。ライオンは新日本プロレスのシンボルマーク)というか。
中溝康隆 そうですね。あの頃の宮國のアイドル性はやばかったですね。菅野(智之)がまだどうなるかわかんなかったし、次のエースは宮國だって。そこから出た、あのタツノリのマンゴー理論(※2013年の開幕投手を務めた宮國椋丞だったが故障に苦しみ2014年は3試合の登板に。そんな彼に対しての「もっと野生的にゴーヤを育てるようにすれば良かったかも。彼は繊細だから、こちらも気をつけて大事に高級マンゴーのように扱ってきたからな」 という原監督の言葉)。「高級マンゴーじゃなく、もっと荒々しいゴーヤのように育てればよかった」って言葉とともに終わっていった。
伊賀大介 マンゴーは宮崎だろうっていう(笑)。
生田登 沖縄じゃない(笑)。
中溝康隆 開幕からズンドコの中で、大勢が絶不調のブルペン。当初はリハビリ中の中川(皓太)もまだ育成だったので、長く野球見てる人は「今年はちょっと厳しいな」って、かなり早い段階で気づいたと思うんですよね。だからモチベーションをどこに持っていきながら見るのかが、結構悩みどころで。でも、秋広(優人)が出てきたりとか、門脇(誠)の守備がすごいとかあったんで、まだ見られたんですけど、巨人ファンにしては珍しく優勝を早い段階で諦めてしまったんで、すごく奇妙な1年でしたね。タツノリの采配も、ツッコミどころ満載すぎて、結局最後まで乗り切れずに終わっちゃった感じですね。
――伊賀さんはどうでしょう?
伊賀大介 勝負どころで全部負けたなっていう感じっすよね。本当に心が折れたのは8月の2週目で、6連戦で、阪神と横浜。ここでガーッといけば、まだCS争いも含めて楽しい、みたいなところで阪神に3タテ喰らって……横浜初戦にも負けて4連敗。あれで折れた。でも、エラーがとにかく多くて、岡本(和真)が打たなかった昨年に比べると全然良かったじゃないですか。それで同じ順位かよっていう。
生田登 こんなにピッチャーがだらしない1年は、そうなかったですよね。やっぱり大勢の離脱っていうので、もうガタガタになっちゃった。WBCの後遺症っていうのは、今まではわりと他人事だったんですけど、こんなに辛いものなのかと。ただ、お国のために働いてくれた人を悪く言うのもどうかなっていうところで、なんか悔しさの持って行き場がないような1年でしたね。
中溝康隆 生田さんと「もしかしたら巨人史上最弱の投手陣を見てるのかも」みたいな話をしましたよね。
生田登 そうですね。投手陣がパッとしないっていうのが、ガキの頃見た巨人ではあんまり考えらんないじゃないですか。斎藤(雅樹)、槙原(寛己)、桑田(真澄)がいたから。阿波野(秀幸)さん、大変だったろうね。ピッチャー陣のマネジメント。コマが揃ってなかったもんね。
中溝康隆 俺らもデーブ(大久保博元)は叩けるんだけど、阿波野さん、ちょっと顔的に何か可哀想であんまり叩けないっていう。デーブの「俺の責任」っていうのは、もう何十回聞いたんだよと(笑)。
伊賀大介 あれ、月3ぐらいで「また出たよ」って。こんなん会社クビだろうって。めちゃくちゃ損出して「ごめん。俺の責任」つって、次の日から普通に仕事してるっていう。
中溝康隆 そんな上司だったら部下は嫌ですもんね。でもこの投手陣じゃあ、打線どうこうじゃなかったですからね。(山﨑)伊織が二桁勝ったけど。
伊賀大介 戸郷もさすがに孤軍奮闘って感じがした。
生田登 気の抜けたプレーがあってBクラスに沈んだとかだったら、僕らもヒートできるんですけど、みんな一生懸命やって最大限頑張った結果がこれだったっていうようなシーズンだよね。
希望繋いでくれた野手陣来季に向けては明るい!?
――野手陣はどうですか?
中溝康隆 今年、走攻守ズンドコのブリンソンが前評判通り3割・30本打って、ゴールデングラブ取れてれば、優勝争いできてたはずだから、編成に関してはタツノリ可哀想だなって感じがしますよね。
生田登 そうだよね。だからそういう意味ではガルシア……。
中溝康隆 一時期巨人にいて、いまレンジャーズでワールドシリーズで大活躍してるんですけど。
伊賀大介 サヨナラホームラン打ってましたよね。
中溝康隆 俺、ジャイアンツ球場で1人でなんかゲートボールみたいなことやってるところ見て。そんなあいつが今、ワールドシリーズで四番打ってんだって。
生田登 元巨人史上一番の出世株になりうる可能性があるよね。
伊賀大介 フィルダー(※セシル・グラント・フィルダー。1963年9月21日生まれ。アメリカの元プロ野球選手。1989年に阪神入団の「荒熊」。日本でも活躍後メジャーリーグに復帰しても本塁打を量産して怒涛の成績を残した)超えですよね。俺、1軍デビュー戦見てますもん。「めっちゃ細い!」とか言って。
生田登 正直、あのときのガルシアを見て、なんでこんなやつ連れてきたんだろう?って思ってしまった。いかに自分の見る目がないか。
中溝康隆 今頃、岡本・ガルシアのOG砲が。
生田登 その世界線あるよね。だってジャイアンツのユニフォーム着てたんだもんね。「こいつを獲得したらこんなオーダーが組める」とか、空想の世界じゃなくて、実際にいたんだから。ポランコ(千葉ロッテ)もホームラン王になったし。
中溝康隆 タツノリが見切ってトレードに出した廣岡(大志/オリックス)まで日本シリーズで打っちゃってる。
――そんな中でも主砲の岡本は、昨年の不振を払拭して、キャリアハイの活躍でした。
生田登 村上(宗隆)との比較で、どうしても村上が上みたいな近年だったけども、今年WBCに出ながら数字を作った。逆を言えば、岡本に良い形で回す打順を組まなきゃダメだなというのを思い知らされましたね。ちゃんと一・二・三番を固定して、四番・岡本っていう形を作らないと。
中溝康隆 秋広が今年規定打席にたしか4打席足りてないんですけど、立たせりゃいいと思いません? なんかそのへん、タツノリの選手プロデュース力が落ちて鈍ってきてて。浅野(翔吾)クンがすげえホームラン打った後にチャンスで回ってきて代打を出しちゃったりとか。
伊賀大介 客が何を求めてるかっていう、プロレス心がね。
中溝康隆 タツノリのその勘の鈍り方を17年目でこれほど痛感すると思わなかった。
生田登 タクトでときめきを呼び込む指揮官だったんですけどね。
中溝康隆 初恋の子に20年後に出会ったらすげえ老けてたみたいな(笑)。
伊賀大介 怒らなくなったみたいな感じも結構あったじゃないっすか。なんか完全に任せてるみたいな感じがして。
中溝康隆 ミスった村田修一に「お前帰っていいよ」(※2012年9月7日のヤクルト戦、5番・三塁で先発していた村田修一だが、続く凡退に原監督から「今夜はもう自宅に帰っていい。リフレッシュして明日また、元気な姿で会おう」と“強制帰宅”させられていた一件)って言った、10年前のタツノリじゃない。
――当時は「ニセ侍」「砂遊び」(※『侍スピリット』はないのか。今のままなら『ニセ侍』だ~ 2009年勝ち星ゼロの内海哲也投手に対しての檄。「これだけ経験を積ませている。砂遊びは卒業しなきゃいけない。同じような失敗が多すぎる」~ 2009年6敗目も喫した東野峻に対しての喝)など辛辣なワードがバンバン出てたんですけどね。
中溝康隆 あの頃はもう毎日がお祭りみたいな感じだったんで。
伊賀大介 「総括なんかできないねえ」(※2011年6月のロッテ戦逆転負け。試合後の記者会見で試合の総括を問われると、机に帽子をたたきつけ「総括なんてできないねえ!3問!質問して!」と、珍しく声を荒らげた一件)って言ってましたもんね(笑)。
生田登 村田さん、神宮の通路(※“強制帰宅”させられた際、一般客と同じ通路を使って帰った)歩いて帰ったんだっけ?
伊賀大介 そうそう。客が歩くところを歩いて帰った。あんなの藤波(辰巳)の雪の札幌(※1984年札幌中島体育センター。藤波と長州力による「名勝負数え歌」の総決算とされたWWFインターナショナルヘビー級選手権。長州が花道入場の際藤原喜明に襲撃され試合が不成立となった。その状況に混乱した藤波は黒のショートタイツとリングシューズのまま雪が降り積もる会場外に飛び出し、タクシーを拾って走り去った)じゃないですか(笑)。
生田登 「こんな会社辞めてやる!」って。
中溝康隆 翌日、村田さんは自ら坊主頭にした。そこまで含めてなんかいいですよね。
伊賀大介 でも、秋広は本当に収穫だった。
中溝康隆 すごいですよね。だって4月の時点でプロ初ヒットとかプロ初ホームランって言ってたのが、そこからもう100本打ってる。
――秋広の完成系ってどんな感じなんですかね? あんまりあのサイズ感の選手っていないじゃないですか。
伊賀大介 俺は外野の駒田(徳広)。満塁男に○が付くと。個人的に言うと。ホームランじゃない特殊技能があるといいですよね。
中溝康隆 俺的には本当レジー・スミス(※カール・レジナルド・スミス。1945年4月2日生まれ。アメリカの元プロ野球選手。レッドソックス、カージナルス、ドジャースでスイッチヒッターとして活躍。1983年からは巨人でもプレー。若手選手に野球を教えだすと止まらないため「ティーチャー」と呼ばれた)みたいな感じですよ。3割・28本ぐらいの。
生田登 私としてはジェネリック大谷翔平というか、電車で見に行ける大谷翔平。そのロマンを感じさせてくれる。
伊賀大介 どこにいてもわかるサイズ感っていうのは、銭が取れますよ。
中溝康隆 馬場さんも言ってましたよね。「ドームの試合ではでかいやつがいい」って。
伊賀大介 相手が回る方が弱く見えるみたいな(笑)。
生田登 だからテリー・ゴディ(※アメリカのプロレスラー。テネシー州出身。「人間魚雷」の異名を持つ。ジャンボ鶴田が苦手意識を持った数少ないレスラーの1人で、1990年代前半にはプロレス四天王の大きな壁として立ちふさがった。2001年に永眠)好きだったんだよね。
中溝康隆 秋広、実はまだ3年目なんで、来年大学4年生の世代なんですよ。
伊賀大介 じゃあ明治の……。
生田登 宗山(塁)君(※2003年2月27日生まれ。広島県出身。広陵高校から明治大に進学。2024年からは明治大野球部主将。巧守巧打の選手として来年のドラフトの目玉)と同じ学年か。
伊賀大介 あの子、カッコいいっすよね。
中溝康隆 小林ギャル(※巨人のイケメン捕手・小林誠司のファン。「コバギャル」と呼ばれるファンの通称)が騒ぎそうですね。ちなみに小林ギャルは今年1年間出れなくてずっとタツノリの悪口言ってた(笑)。
伊賀大介 幽閉ですもんね。吉田松陰(※1830年9月20日-1859年11月21日。長州出身の江戸時代後期の思想家。松下村塾を開き教育者として多くの後進を育てた。反幕、倒幕思考を等を理由に幕府に捕縛され伝馬町牢屋敷で死罪となった)じゃねえんだから。
生田登 小林(誠司)、吉田松陰説(笑)。
中溝康隆 年俸高すぎて出すに出せないですよね。1億ですからね。
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伊賀大介=いが だいすけ|1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品を始め、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当としてコラム
の執筆も行っていた。
中溝康隆=なかみぞ やすたか(プロ野球死亡遊戯)|1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『令和の巨人軍』(新潮新書)が発売中。
生田登=いくた のぼる(某スポーツ紙記者)|某スポーツ紙記者。長崎県佐世保市出身。44歳。どんな状況でも前向きにマウンドへ向かう鍵谷陽平投手のような男になりたいと願う日々。好きなプロレスラーはダスティ・ローデス。
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「BUBKA2024年1月号」内容紹介
【表紙】
日向坂46 潮紗理菜・加藤史帆・佐々木久美
【巻頭特集】
・潮紗理菜×加藤史帆×佐々木久美(日向坂46)ロンググラビア&インタビュー
「Smile for you」
・高本彩花(日向坂46)グラビア&インタビュー
「Sugar&Spice」
・濱岸ひより(日向坂46)インタビュー
「サヨナラの笑顔を」
・松田好花(日向坂46)インタビュー
「募る思いをマイクに乗せて──」
【グラビア・インタビュー特集】
・インタビュー連載 23人の空模様
vol.04 工藤唯愛(僕が見たかった青空)
「道産子14歳の素顔」
・石橋颯×竹本くるみ(HKT48) インタビュー
「空も飛べるはず」
・田中美久(HKT48) インタビュー
「わがアイドル人生に悔いなし」
・正鋳真優(AKB48)グラビア&インタビュー
「She’s lovin it」
【グラビア&スペシャル企画】
・紀内乃秋 グラビア
「Super nova」
・石浜芽衣(虹のコンキスタドール) グラビア
「おもかげ」
・ちばひなの(少女歌劇団ミモザーヌ) グラビア
「プロローグ」
・ミスティア! インタビュー
「明日にきらめく夢の結晶」
・「GIRLS IDOL Fashion Snap」Produced byチェキチャ!
【スペシャル記事】
・吉田豪インタビュー「What’s 豪ing On」
第十二回 曽我部恵一
「中2の時の自分にとって誠実かどうか」
・伊賀大介×プロ野球死亡遊戯(中溝康隆)×生田登
スペシャル野球座談会「阿部慎之助監督で“盟主”復活となるのか!?」
・『Rの異常な愛情』特別インタビュー
LITTLE×R-指定
「踏みたりないふたり」前編
・田村潔司連載
「解析UWF」最終回
【BUBKAレポート】
・Book Return
第61回 森合正範
「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」
・すべての球団は消耗品であるbyプロ野球死亡遊戯
#14「1979年の広岡ヤクルト」
・アイドルクリエイターズファイル
#35 Dorian
・宇多丸のマブ論
【BUBKA (ブブカ) 2024年 1月号】
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【BRODY(ブロディ) 2023年8月号 [雑誌] Kindle版】
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