田村潔司「解析UWF」第11回…Uの復権を信じ進む若き戦士たちの覚悟

2000年5月1日東京ドーム、『PRIDE GP 2000世界最強決定トーナメント決勝戦』での桜庭和志vsホイス・グレイシー
写真提供=平工幸雄
この記事の画像(6枚)

1990年代、グレイシー一族の台頭により崖っぷちに追い込まれたUインター。そんな状況で、田村を含めUの復権を信じ進む若き戦士たちの覚悟は並ならぬものがあった。ヘンゾ戦で田村が『UWFのテーマ』で入場したことは、そんな一時代の象徴だろう。リング内外で繰り広げた熱き戦いは、格闘家が紡ぐ言葉として今なお語り継がれるのだ。

先日、ダウンタウンの松本人志さんらがMCを務めるテレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)で、キックボクサーの立嶋篤史選手が特集された。

立嶋選手は1990年代に、その鬼気迫るような闘いぶりと独特のオーラでカリスマ的な人気を誇ったキックボクサー。51歳になったいまも過酷な減量をしながら現役選手として闘い続け、今年の4月16日の試合でキックボクシング100戦目を迎えた大ベテランでもある。

立嶋選手はMCの松本人志さんと旧知の間柄とはいえ、月曜夜9時というプライムタイムの人気番組で1時間特集されるというのは、あらためてすごいと思うし、立嶋選手の生きざまはそれだけ今も人を惹きつけるものがあるのだと思う。

ボクも若い頃から立嶋選手とは親しい間柄で、一緒に食事をして格闘技の話やくだらない馬鹿話をしたり、お互いの試合を観に行ったり、立嶋選手にセコンドについてもらったこともある。

彼と出会ったのはUWFインターナショナル(Uインター)の初期だから、ボクが21歳くらいの時。当時、Uインターはスタンディングバウトという名称でキックボクシングマッチを行っており、そのセコンドやキック関係者として来ていたのが立嶋選手だった。最初に会ったのは1991年だったと思うから、立嶋選手がブレイクしてキックボクシング界の顔として大活躍するちょっと前くらい。その頃、立嶋選手はUインターの試合会場だけでなく年末の忘年会や慰安旅行的なものにも来ていて、年齢が近いこともあって、そこからよく話をするようになったのだ。

そして立嶋選手の試合を実際に観に行ったり、間近で接するようになってから、彼のキックボクシングに対するストイックであまりにも真っ直ぐな姿勢に当時ボクはすごく影響を受けた。

若い頃の立嶋選手は、とにかく言ってみればバカ真面目でクソ真面目。格闘技は結果がすべてだから、その結果を得るために努力するのはあたりまえだけれど、勝つために何をやらなきゃいけないかを考えて、その“やるべきこと”をすべてにおいて最優先していた。周りから見たらストイックすぎるし、融通が効かなすぎるように見えただろう。でも、ひとつのことを極めるために、自分でぶれない芯を持って夢中で練習する姿勢は素晴らしいと思うし、キックボクシングとUWFのプロレスリングという競技こそ違えど、ボクには共感する部分が多々あった。

ボクは「赤いパンツの頑固者」なんていう呼び名で呼ばれたりするように、自分が考える格闘技に対するこだわりが強い方だと思っているけど、立嶋選手の頑固さにはとても敵わない。プロのキックボクサーだから人気商売でありながら、インタビューを受けても無愛想だし、取材者に迎合するようなこともない。そうすると、勝っているときは持ち上げられても、負けた時はボロクソに書かれ、ゴミのように捨てられるリスクがある。それでも立嶋選手はまったく自分の考え方を譲らなかった。

おそらく彼の中でも葛藤はあったと思う。インタビュアーやカメラマンにいい顔することもできただろうし、そうすればメディアを味方につけることができる。でも、そういった考えをグッと押さえて、キックボクシングの世界でトップを目指すことだけを優先して周りをシャットアウトし、信念を貫くことで己を磨いていたんじゃないかと思う。

痩せ我慢や無理もしていただろうけど、そうして溜め込んだものをすべてリングにぶつけていた。だからこそ立嶋選手の試合は、勝っても負けても惹きつけられた。

取材・文=堀江ガンツ

――記事の続きは発売中の「BUBKA9月号(Amazon)」「BUBKA9月号(セブンネットショッピング)」「BUBKA9月号(HMV&BOOKS online)」で!

田村潔司=たむら・きよし|1969年12月17日生まれ、岡山県出身。1988年に第2次UWFに入団。翌年の鈴木実(現・みのる)戦でデビュー。その後UWFインターナショナルに移籍し、95年にはK-1のリングに上がり、パトリック・スミスと対戦。96年にはリングスに移籍し、02年にはPRIDEに参戦するなど、総合格闘技で活躍した「孤高の天才」。現在は新団体GLEATのエクゼクティブディレクターを務めている。

BUBKA(ブブカ) コラムパック 2023年9月号 [雑誌] Kindle版
Amazonで購入

Amazon Kindle
楽天Kobo
Apple Books
紀伊國屋Kinoppy
BOOK☆WALKER
honto
セブンネットショッピング
DMM
ebookjapan
auブックパス
Reader Store
COCORO BOOKS
コミックシーモア
ブックライブ
dブック
ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

日向坂46小坂菜緒表紙:BUBKA (ブブカ) 2023年 9月号
Amazonで購入
セブンネットショッピングで購入(日向坂46佐々木美玲ポストカード1枚付き)
HMV&BOOKS onlineで購入(日向坂46小坂菜緒ポストカード1枚付き)

関連記事

BUBKA RANKING11:30更新

  • 連載・コラム
  • 総合
  1. すべての球団は消耗品である「#3 1999年の野村阪神編」byプロ野球死亡遊戯
  2. プロ野球・俺たちが忘れられない助っ人外国人たち…伊賀大介×中溝康隆が語る
  3. DABO「Platinum Tongue」かく語りき…Rの異常な愛情 番外編
  4. 渡辺正行「テレビに出る前の原石を、たくさん見ることができたのは幸せですよね」
  5. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  6. 乃木坂46、10年の歴史…3択クイズで振り返る
  7. 【BUBKA WEB限定カットあり】私立恵比寿中学・星名美怜、昨年開催された「大学芸会」を振り返る
  8. 「『ラストアイドル』とは何だったのか?」ほか BUBKAコラムパック2022年5月号配信
  9. 2021→2022 年末年始テレビストリーミング<内田名人>
  10. 乃木坂46与田祐希「『難しいからやらない』『あきらめる』っていうのは絶対違うなと思う できる限りは全力で挑戦したいなって思います」
  1. 乃木坂46冨里奈央、清涼感あふれる制服姿のグラビアショット
  2. 乃木坂46遠藤さくら「ライブの熱量をそのままDARSに」、菅原咲月「一回り成長した姿を」アンバサダーとしての意気込みを語る
  3. テレ東・田中瞳アナ、初のフォト&エッセイ発売決定「恥ずかしいけれど見てみてください」
  4. 佐藤栞里「すごい時代になったなぁ」サプライズギフトに感激
  5. すべての球団は消耗品である「#3 1999年の野村阪神編」byプロ野球死亡遊戯
  6. 乃木坂46梅澤美波「怖がりはやっぱり圧倒的に遠藤さくらちゃん」箱の中身対決で明らかに
  7. アイドルグループ『ラフ×ラフ』リーダー齋藤有紗「浴衣で踊るのが新鮮」2ndワンマン昼夜公演開催
  8. 【TIF2022】FES☆TIVE、真夏のお祭り騒ぎでファンを勇気づける!
  9. 乃木坂46早川聖来“卒業記念”写真集「また、いつか」より秋元康氏による帯コメント到着!裏表紙カット4点も公開に
  10. SKE48荒井優希&赤井沙希“令和のAA砲”、第10代プリンセスタッグ王座陥落