田村潔司「解析UWF」第3回…リアリティのある感情表現は、リアルな経験によってしか生まれない

1988年5月12日、 新生UWFの旗揚げ戦の試合前に行われた伝説のスピーチ
写真提供=平工幸雄

高校を卒業後、憧れのプロレス界に入るべくUWFの門を叩いた田村であったが、その始まりは決して順風満帆なものとは言えなかった。想像を絶するほどに厳しい練習、そしてその痛みを分かち合うはずの仲間たちは、次々にリングから去っていった。苦難の連続は肉体的にも精神的にも田村を追い込んでいき、人生を通じて最も辛く厳しい試練の日々となった。後の田村を形作る糧となった、新弟子時代の苦くも思い出深き経験の数々を語っていただいた。

「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」

1988年5月12日、後楽園ホールで行われた新生UWF旗揚げ戦で、エースだった前田日明さんは(フランスの詩人ヴェルレーヌの言葉を引用して)こう挨拶したけれど、ボクは本当にUWFの選手というのは「選ばれし者」だったと思う。

それは数字が証明している。新生UWFは88年3月に団体として始動してから90年12月の終焉まで5回新人入門テストが行われたが、Uのリングでデビューできたのは、ボクと垣原賢人と冨宅飛駈のわずか3人。テストは各回200通以上の応募があったと聞いているから、単純計算で1000分の3。デビューまで漕ぎ着けられたのはわずか0.3パーセントの超狭き門だったのだ。

今、プロレス界には何十もの団体がありながら80~90年代よりもプロレスラー志願者が減っているため、多くの団体で身長、体重、さらには年齢といった入門基準を撤廃。「プロレスラー」としてデビューするだけなら、以前より比較的容易になっていると聞く。

また総合格闘技に関してもここ20年ほどでジムが爆発的に増え、格闘技プロモーションも増えているので、プロデビューする格闘家の数も大幅に増えた(その分、頂点までの道のりは険しくなったけれど)。

しかし、新生UWFの時代はプロの総合格闘技が事実上まだ存在せず(プロシューティングはまだ金銭的に「プロ」とは呼び難かったと思う)、プロレス団体も少なく、それでいながらレスラー志願者は今よりずっと多かったので、プロとしてデビューするまでが本当に大変だったのだ。

というわけで今回は、「UWFのレスラーになるまでの険しい道」をボクの実体験を元に語っていこうと思う。

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