プロレスラー・リッキーフジ、ロックンロールなプロレス人生・激動だったFMW時代を語る
新日本の練習生だったリッキーフジは、単身カナダへ渡り異国の地でデビューを果たした。帰国後、旗揚げ直後のFMWに参加し、大仁田厚らとともに世界的なハードコア団体にまで上り詰める。今回は、FMWの最初期を知る彼が、あらゆることにおいて先駆けだった当時のFMWを振り返る。
インディー団体の先がけ
――先日、元『週刊プロレス』のFMW担当記者だった小島和宏さんが『FMWをつくった男たち』(彩図社刊)という本を出されたので、今回はそこに証言者として出ていなかったリッキーさんに、初期FMWについて語ってほしいと思ったんですよ。
リッキーフジ 僕もあの本の内容はチラッと聞きましたけど、取材している人選が「なんでこの人たちなのかな?」って思ったんですよ。大宝(拓治)っていう本当の初期に1年いたかいないかのスタッフが出てたり。松永(光弘)選手も出てたけど、彼は初期にいました?
――最初の2カ月だけ出てたんですよ。すぐ青柳(政司)館長と一緒にパイオニア戦志に行っちゃったんですけど。
リッキーフジ じゃあ、旗揚げをして間もない頃にちょこっといたんですね。それで「FMWをつくった男」と言われても……って感じですよ、僕からすれば(笑)。
――「FMW初期に関わった男」ぐらいですかね(笑)。
リッキーフジ FMWの在籍期間が一番長かったのは僕なんです。それこそ大仁田(厚)さんでもハヤブサでもなく。旗揚げ1年目の90年5月から倒産する2002年の最後までいましたから。だから本当に「FMWをつくった男」は僕なんです。ハハハハ!
――FMWに参加する前、リッキーさんはカナダでデビューした、当時は珍しい“逆輸入レスラー”だったんですよね。
リッキーフジ そうです。最初に新日本の練習生だったんですけど、その時にお世話になった高野俊二(拳磁)さんの紹介でカナダ・カルガリーの安達(勝治=ミスター・ヒト)さんのところに行って、そこでデビューして。ただ、なかなか定期的に試合が組まれなかったんで、当時僕に付いていたマネージャーと自分たちで小さい団体を旗揚げしたんですよ。
――じつはFMWより早く、リッキーさんはインディー団体を旗揚げしていたという。
リッキーフジ それでカナダにいる時に日本から定期的にプロレス雑誌を送ってもらっていたんですけど、そこでFMWの旗揚げを知って。自分がカナダでやってた団体でも真似して有刺鉄線デスマッチとか、やり始めてたんですけどね(笑)。しかも、それを若き日のクリス・ベノワとジョニー・スミスにやらせるっていう。
――今思えばめちゃくちゃ豪華ですよ。でも、のちにFMWをパクったようなハードコア団体が日本でも海外でもたくさんできましたけど、リッキーさんの団体がその先がけだったかもしれないですね(笑)。
リッキーフジ そうかもしれない(笑)。その後、不思議な縁というか、日本でお世話になった方から連絡があり、「FMWという団体ができたから一度帰って来ないか?」と言われて、カナダの相棒も快く送り出してくれたんで、数年ぶりに日本に帰ったんです。
――それですぐFMWに参戦したんですか?
リッキーフジ いや、まず大仁田さんに挨拶に行くってことで、後楽園ホール大会を観戦させてもらったんですね。そしたら、たまたま元・全女の工藤めぐみ、天田麗文、コンバット豊田の3人が乱入した時で、新人しかいなかったFMW女子をみんなでボコボコにしてたんで、「なんかすげえ団体来ちゃったな」みたいな感じで(笑)。
――里美和さんとか、ホントにいじめられて泣いてる感じでしたもんね(笑)。
リッキーフジ で、乱入した3人が掃けたあとに大仁田さんが出てきて、マイクで「えー、今どこの誰だかわかんないやつが入ってきましたけど」って言ったら、お客が「嘘つけー!」「おまえが呼んだんだろ!」って野次って(笑)。
――初期FMWはすれっからしの客層だったんですよね。マニアの終着の浜辺みたいな(笑)。
リッキーフジ 本当にすれた客が多かったんですよ。野次を飛ばすためにチケットを買ってるようなファンがけっこういたんで、やりづらい部分もありました。
――完全に斜に構えてるわけですね。
リッキーフジ だから僕がFMWの後楽園に初登場した時も、まあ散々野次られましたよね。当時はこんなチャラチャラした格好で試合している日本人レスラーは誰もいなかったんで。ただ、その時も大仁田さんだけは、「そのままお前のスタイルを続けろ」「もっと派手でもいい。それがおまえの持ち味だから」って言ってくれたんですよ。その言葉どおりに続けたら、こんな感じになりました(笑)。
【闘魂と王道 – 昭和プロレスの16年戦争 –】
▼Amazonで購入
【BUBKA(ブブカ) コラムパック 2022年10月号 [雑誌] Kindle版】
▼Amazonで購入
▼ 楽天Kobo
▼ honto
▼ DMM
▼ ブックパス
▼ コミックシーモア
▼ ブックライブ
▼ dブック
▼ ヨドバシ.com
その他、電子書籍サイトにて配信!