プロレス・木村健悟「藤波は童顔でかわいらしい顔して、まだ身体も細かったから『絶対に俺のほうが強いだろ』と思ってたよ」
スパルタのユキーデ
――新日本に移籍したばかりの頃、藤波さんとの関係はどうだったんですか?
木村 藤波さんとは、新日本に移籍するちょっと前にもう会ってるんですよ。坂口さんが新日本に合流する前、じつは水面下でもう動いていて、猪木&坂口が一緒に某スタジオで写真撮影をするっていう機会があったんです。そこにボクは坂口さんの付き人として一緒に行って。その広いスタジオの中に猪木・坂口が見えるんだけど、薄暗いところにひとり若者がいるわけ。それが藤波だったんですよ。同じ若手同士で、こっちは坂口さんの付き人で、向こうは猪木さんの付き人。しかも同い年でしょ? それは意識しますよね。その時から「俺のライバルはこいつだ!」って思いましたよ。向こうは全然そう思ってなかったかもしれないけど(笑)。
―― 一方通行でしたか(笑)。
木村 向こうは童顔でかわいらしい顔して、まだ身体も細かったから、「絶対に俺のほうが強いだろ」と思ってたんだけど、あんまり問題にされてなかったかな(笑)。
――でも、木村さんと藤波さんは、1987年1月14日に後楽園ホールでワンマッチ興行という歴史に残る試合をのちにやりましたよね。
木村 そうだね。木村vs藤波のワンマッチだけで後楽園をやるなんて興行は、後にも先にもあれ1回しかないわけだから。あれは新日本の歴史の1ページを飾れたんじゃないかな。
――ワンマッチ興行って、誰のアイデアだったんですか?
木村 誰のアイデアかなぁ? 新間(寿)さん辺りじゃないの?
――いや、あの頃はもう新間さんは新日本を退社してます。83年のクーデター騒動で失脚して。
木村 ああ、そうか。
――そうすると、猪木さんなんですかね?
木村 猪木さんなのかなあ。いずれにしても、あの1試合だけで後楽園を札止めにするくらい俺たちに期待感があったからこそできたんだろうね。やるまでは、本当にお客が入るのか心配だったけどね。