スタン・ハンセン「『ラリアット』がプロレス技として辞書に載ったりしたら、こんなに光栄なことはないね」
最強タッグの真実
――そして、全日に本格参戦し始めたあとは、ハンセン&ブロディがザ・ファンクス(ドリー&テリー)という、70年代のスーパースターを超えていく、リアルストーリーが展開されていくわけですよね。
ハンセン 本当にあの闘いは、ストーリーではなくリアルだったんだ。私やブロディは、本気でトップのポジションを奪いにいっていたし、ファンクスもその座を決して譲ろうとしなかった。そこに、ジャンボ(鶴田)やテンルー(天龍)が割って入ってきて、そのトップ争いによってオールジャパンは活気を取り戻し、ビッグになっていく一つのきっかけだったと思う。
――ハンセンさんが移籍する前は、新日本が大ブームになっていて、「全日本は潰れるんじゃないか?」と言われていたんですよね。
ハンセン 私もオールジャパンがそういう状態だというのは聞いていたよ。ニュージャパンの関係者が、私が移籍しそうな気配を感じたのか、「向こうはもうそろそろ潰れるよ」と言ってきていたからね。
――そんな“潰れそうな”全日本に、なぜ移籍しようと思ったんですか?
ハンセン どんな業界でもそうだろうけど、1社独占ではなく、ライバル会社があってこそ発展すると思うんだ。お互い切磋琢磨するからこそ、それぞれがレベルアップしていくし。我々選手もライバル会社があることで、ギャラアップにもつながる。だから、金銭的にいい条件も提示されたし、自分の力でオールジャパンを復活させたい、という思いもあって移籍を決意したんだよ。
――あの移籍は、レスラー人生の中でも大きな決断の一つでしたか?
ハンセン もちろん悩んだし、ニュージャパンを離れるのは寂しかった。本当は抜けたくなかったけど、アブドーラ・ザ・ブッチャーやディック・マードックなどが、どんどん移籍してきて、離れざるを得なかったんだよ。