田中美久“責任と自由”…卒業を機に東京生活もスタート
アイドルグループ「HKT48」を卒業後、モデルや俳優、そしてグラビアアイドルとしても活動する田中美久にインタビューを実施した。
永遠のホーム
──3月9日の“みくの日”に卒業コンサートを終えましたが、今の心境を教えてください。
田中美久 アイドルをやりきったなって思ってます。卒業コンサートのセットリストは、今まで10年やってきたアイドル人生の中で、強く思い出に残っている楽曲ばかりを集めたんです。そういう曲をHKT48のメンバーと一緒に歌えたことも、ファンのみなさんにお見せできたこともうれしかったです。HKT48は私の中で永遠のホームだなとも感じましたし、卒業後も引き続き応援してくださる方はこれからもそばにいてほしいなと思いました。
──卒業後、ソロで活動するようになってからの心境を教えてください。
田中美久 最初はもちろん不安だったし、ソロになってどういう感じになるのかなって気持ちでいっぱいだったんですけど、信頼できるマネージャーさんやスタッフさんがいるので、今はのびのびと安心して活動できていますね。本当に毎日毎日楽しいですし、ひとりだからこそグループ時代とは違う、より一層のいろんな責任も生まれていると思う反面、自由になった部分もあります。グループにいたときは、自分がやりたいことがあってもグループのことを考えて、どこかで遠慮しているところもあったので。今はひとりになったので、やりたいことを思う存分やらせていただける環境になったかなって。
──じゃあ、卒業後に最も変わったのはそういった気持ちの部分ですか?
田中美久 そうですね。今は初めてのことに挑戦させていただくことも多いから、その中で緊張したり、たくさんのことを学んだり。今までと違う環境にいると、こんなにも気持ちの面が違うんだって実感しています。
──主演ドラマ『シンデレラ・コンプレックス』でも初挑戦がありました。
田中美久 初の主演ということもあるし、初めてのキスシーンもベッドシーンもあって、役者として思い切って演じさせていただきました。次につながるステップのひとつになったらいいなと思いますし、スタッフの方たちにもたくさん褒めていただいたので、それをバネに、力にして次の作品も頑張って臨みたいと思っています。
──キスシーンやベッドシーンに臨むにあたって、ファンがショックを受ける心配は?
田中美久 めちゃめちゃありました。正直、大丈夫かな? と思ってたんですけど、想像していたよりもファンの方は意外と大丈夫で(笑)。強がってるだけかもしれないですけど(笑)。
──その可能性はありますよ(笑)。
田中美久 でも、「楽しみ!」って言ってくれたりとか、私が演技に対して覚悟を決めて、思い切ってやっていることをわかった上で、意外と大丈夫だったんだと思っています。だからこそ、「(キスシーンやベッドシーンは)つらいな」という声より、「みくりん、本当に頑張ってるな!」とか「さらに応援したい!」っていう声が多かったのが、私は本当にうれしくて。それが田中美久のファンのみなさんだなと再確認できたし、これからも気を引き締めてお仕事を楽しんでいきたいなと思います!
結局地元
──卒業を機に東京生活もスタートしました。
田中美久 「東京に来たら変わる」ってみんなに言われてたから、私も「どう変わるんだろう?」って思ってたんですよ。でも、東京に来たから変わったと思う部分は今のところひとつもなくって(笑)。よく考えたら、上京する前から月の半分ぐらいは東京だったから。ただ、体は楽になりましたね。月に何度も飛行機で福岡と東京を行き来すると、体にガタが来ちゃうときもあったんですよね。そのときに比べたら、今は本当に健康的! 夜は9時か10時に寝て、朝は5時から7時ぐらいに目が覚めてたりします!
──今回のグラビアでは新しい表情、より大人っぽい姿も見せていますが、上京したからって“東京の女”になりきってるわけではない?
田中美久 なりきれてないというか……なりたくないですね、いわゆる“東京の女”には。東京に住んでいてもどこにいても、ずっと“熊本と福岡の女”でいたいです。そこは変わりたくないですね。昔からの友だちをいつまでも大事にしたいし、地元愛は本当に誰にも負けないってぐらい地元を愛してるので、東京には染まらないです。ただ、東京も愛してますよ。東京は夜景もきれいだし、美しい街なんですけど、ずっといて大きなビルを見ていたりすると、まだ恐縮しちゃいます。「東京って、すごいな……」って。やっぱり、ずっと田舎で暮らしてきた人間なので。田舎っ子で、子どもの頃からいつも山を見て育ってきたんですよ。だから、本当は山があるところに住みたいんです。自然が多くて、竹とかがいっぱい生えているところに行きたい(笑)。何なら、熊本から東京に通おうかなみたいな(笑)。でも、そうするとまた体がしんどくなるから、実際にはしないんですけど。
──東京も、好きは好きだし。
田中美久 私、何でも大好きなんですよ。だけど、やっぱり地元は特別だなって感じるっていう。
──「何でも大好き」というのは?
田中美久 自分でもすごいなって思うんですけど、私って「嫌い」という感情がないんです。嫌いな人もいないし、苦手な人もいないし、嫌いなものもなくって、みんなを愛してるし、すべてを愛してるんですよ。
──マリア様的というかマザー・テレサ的というか、博愛って言いますけど、そんな感じ?
田中美久 そう(笑)。みんなのことを愛しているから、そうかもしれない。いやでも、八方美人みたいな感じですよ(笑)。八方美人とはまた違うのかな(笑)。なんか、好き嫌いがないんですよね。魅力的な部分は人それぞれだと思うし、私はその人を「こういう人なんだ」って目でそのまま受け取るし、やっぱり世の中にはいろんな人がいていいんじゃないかなって思うんです。だから、読者のみなさんにも自由に生きてほしいです!
──でも、よっぽどだと嫌いになるんじゃ?
田中美久 嫌いにならずに、受け止めていきたいですね。「それがその人なんだ」って。昔は、アンチの人とかすごく苦手だったんですよ。でも今の私は、アンチの人も嫌いじゃないんです。その人が私のことを嫌いなら、それをそのまま受け止めようって思ってます。
──世界中の人がそういう考え方になったら?
田中美久 きっと平和になりますよ(笑)。
──ちなみに、いつからそういう考え方に?
田中美久 高校ぐらいからですかね? 理由はわかんないけど、そういう感じになりました(笑)。
──その考え方は、今後も変わりそうにない?
田中美久 続きそうですね。突然、コロッと変わるかもしれないですけど(笑)。
取材・文/大久保和則