LITTLE×R-指定「Rの異常な愛情」踏みたりないふたり
R-指定とゆかりのあるアーティストをお招きしてお送りする『新・Rの異常な愛情』。今回はKICK THE CAN CREWとしても活躍するハードライマー・LITTLE。梅田サイファーとの共演曲“小島サイファー”でも超絶スキルを見せつけた彼とR-指定の愛韻談議が始まります。
ラッパーじゃなくても
――今回はKICK THE CAN CREW(以下、キック)のMCとして、ソロとして、八王子少年などのユニットを通して数々の名作、そして名ライムを生み出しているLITTLEさんにご登場頂き、Rくんとの対談を行えればと思います。直近の話題としては、LITTLEさんと梅田サイファーのコラボで制作された“小島サイファー”がリリースされました。
LITTLE 俺のYouTube『愛韻TV』にRに出演してもらった時(2019年8月7日アップロード)、「梅田サイファーのポッセ感がすごく好きなんだ」という話をしたよね。
R-指定 言ってくれはりましたね。俺は「LITTLEさんと韻について喋るのに一番ふさわしいのは、梅田サイファーでは俺ではないんです」みたいな謎の導入で入って。俺をゲストで呼んでくださってるのに(笑)。
LITTLE ハハハ。
R-指定 「面白い長い単語で韻踏んで、ワンラインの振り落ちで絶対に笑かしてくれる韻の使い手のKBD」「気づかずしれっと踏んでてめちゃくちゃ気持ちいいグルーヴを作るふぁんく」「たうりんは一番モロにLITTLEさんに影響受けてて」……みたいな。そういう話をいっぱいプレゼンしましたね。もっと遡ると、餓鬼レンジャー『ティンカーベル ~ネバーランドの妖精たち~』(19年)の制作のタイミングで、YOSHIさん、LITTLEさん、俺とCHICO CARLITOというメンツで飲みに行った時に、LITTLEさんが「もう俺はラッパーじゃなくてライマーでいいんだよ」「ラップをしなくなっても、俺は韻を踏んでいると思う」と仰ってて、それにめっちゃ感動したんですよね。俺も「韻ってやめらんないっすよね」とお話して。
LITTLE 今はRやいろんな人のおかげで韻がすごく認知されてると思うんだけど、当時は韻がマイノリティだと感じてた時期で。
R-指定 みんなメロディやフロウに走って、韻はそんな大事には扱われないように感じる時期でもありましたね。
LITTLE そう。だからその頃は「そんなに軽く扱うなら、韻はヒップホップのものでなくたっていいんだぜ」「そんなに冷たくするならこの子連れてっちゃうよ」みたいな(笑)。
R-指定 ハハハ。
LITTLE 「もっと他にもこの子の輝くとこあるんだぜ?」ってさ。だから『愛韻TV』を始めた頃はすごくひねくれてたと思う。そんな時に「メンバーのこのリリックがヤバいんすよ」「あいつはこんな韻を踏んで」みたいな話ができる梅田のポッセ感がすごく羨ましくて。キックのみんなとご飯食べてる時とかに韻踏むと、「飯の時間ぐらいやめろ」みたいな扱いを受けてたから(笑)。
R-指定 迫害されてた(笑)。
――飯の時まで踏むLITTLEさんもすごいですけど(笑)。
LITTLE だから「いつか梅田の仲間に入れてよ」って気持ちになってたもん。
R-指定 “小島サイファー”でもそのフレーズ(〈オレも仲間に入れてくれよ/むしろこっちが入れて欲しい〉)が出てきますね。
LITTLE 梅田とは歳も生まれ育ちも違うし、国籍が一緒なぐらいのもんだけど、同じ時期に大阪に俺もいたら一緒にラップしたかったと本当に思った。
R-指定 RHYMESTERやキックの参加するクルー:FUNKY GRAMMERは、ラップやヒップホップの捉え方について、めちゃくちゃ寛容やなと感じてたし、梅田もそういうマインドを持った奴、そういうFGの影響を受けた奴が多かったんですよね。だからLITTLEさんにそう言ってもらえたのは、みんなめっちゃ嬉しかったと思います。
LITTLE それで(新木場)スタジオコーストでの梅田のワンマン(『ビッグジャンボジェットリリースツアー』2021年10月13日)を見て、次の日にはもう「一緒にやろう」っていう話はしてて……リリースまで時間がかかったのがバレちゃうけど(笑)。
R-指定 でも、あの内容は時間かかってもしゃあないですよね。LITTLEさんから最初に“小島サイファー”の構成を提案された時に、やっぱびっくりしましたもん。
百人組手RAP
――LITTLEさんと梅田のメンツが、すごく細かく掛け合いをする内容で。
R-指定 「LITTLEさんのフックかヴァースがあって、そこに8人が乗り込んで完成」みたいな、オーソドックスな客演ものを想定してたら、「1人1人とヴァースを蹴り合いたい」という、100人組手的なすごいハードウェイの提案をくださって(笑)。でも、それによって更にサイファー感もある曲になったし、参加した俺たちもめっちゃ楽しかったです
ね。
LITTLE 「みんなとセッションしたい」と思ってそう提案したけど、やっぱり8パートを作ってくのってなかなか時間がかかった。
R-指定 『HOOD MUSIC FESTIVAL コジマケンジマツリ』(2022年5月4日)でも、変名(八王子少年)、グループ・クルー(アスタラビスタ、UL、キック)、最後はソロ(LITTLE)で登場されて、そのラップ鉄人ぶりは驚いたし、小島サイファーも含めて、レジェンドが一番体張る、脳みそも体もフルにラップにぶつける姿を見ると、やっぱ嬉しい、「マジか……負けられない!」みたいな励まされる気持ちになるっすね。
LITTLE 嬉しいね。“小島サイファー”のリリックの話をすると、梅田と一緒に作ったから出てきた言葉はいっぱいある。例えば〈漢字カタカナ 感じ方かな〉からのライン。〈漢字カタカナ〉と〈感じ方かな〉はわりかし思いつくと思うんだけど、それを使わなかったのは、そこに「ひらがな」を入れた時の同音異義語が見つからなかったからだと思うんだ。「漢字」「カタカナ」だけ使って、「ひらがな」が抜けてるのは、料理の話をしてるのに和洋中の和の要素だけ抜いて話してるみたいで、なんか据わりが悪いでしょ? っていう。だけどふぁんくがいたことで、「ここに〈ひらがなのふぁんく〉という言葉が使える!」と思ったんだよね。バランス的にも、ふぁんくを紹介するのに〈ひらがなのふぁんく〉だけだと説明過多だけど、その前に〈漢字カタカナ〉があることでいい流れになって。
――必然性が生まれますね。
R-指定 必然性によって導き出された言葉は動かしようがないし、気持ちいい。
LITTLE 「この言葉を一番いい使い方をしてあげたでしょ」って。
R-指定 “小島サイファー”で俺が〈王様ランキングには収まらんキング〉と書いたのは、やっぱりLITTLEさんの得意技である同音異義語をオマージュしたくて。あと俺のラインは“聖者が街にやってくる”の引用から始まるんですよ。
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聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎
LITTLE|1976年、東京・八王子出身。KICK THE CAN CREWのリーダー、ライマー、愛韻家。98年にミニ・アルバム『いいの』でソロデビュー。01年にフル・アルバム『Mr.COMPACT』でメジャーデビュー。UL、アスタラビスタの一員、別名義の八王子少年としても活動。
R-指定|1991年、大阪府出身。Creepy Nuts、梅田サイファーのMCとして活躍中。バトルMCとしても、2012年からの「UMB」3連覇をはじめ、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』での2代目ラスボスなど、名実ともに「日本一」の実績を誇っている。
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「BUBKA2024年1月号」内容紹介
【表紙】
日向坂46 潮紗理菜・加藤史帆・佐々木久美
【巻頭特集】
・潮紗理菜×加藤史帆×佐々木久美(日向坂46)ロンググラビア&インタビュー
「Smile for you」
・高本彩花(日向坂46)グラビア&インタビュー
「Sugar&Spice」
・濱岸ひより(日向坂46)インタビュー
「サヨナラの笑顔を」
・松田好花(日向坂46)インタビュー
「募る思いをマイクに乗せて──」
【グラビア・インタビュー特集】
・インタビュー連載 23人の空模様
vol.04 工藤唯愛(僕が見たかった青空)
「道産子14歳の素顔」
・石橋颯×竹本くるみ(HKT48) インタビュー
「空も飛べるはず」
・田中美久(HKT48) インタビュー
「わがアイドル人生に悔いなし」
・正鋳真優(AKB48)グラビア&インタビュー
「She’s lovin it」
【グラビア&スペシャル企画】
・紀内乃秋 グラビア
「Super nova」
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「おもかげ」
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「プロローグ」
・ミスティア! インタビュー
「明日にきらめく夢の結晶」
・「GIRLS IDOL Fashion Snap」Produced byチェキチャ!
【スペシャル記事】
・吉田豪インタビュー「What’s 豪ing On」
第十二回 曽我部恵一
「中2の時の自分にとって誠実かどうか」
・伊賀大介×プロ野球死亡遊戯(中溝康隆)×生田登
スペシャル野球座談会「阿部慎之助監督で“盟主”復活となるのか!?」
・『Rの異常な愛情』特別インタビュー
LITTLE×R-指定
「踏みたりないふたり」前編
・田村潔司連載
「解析UWF」最終回
【BUBKAレポート】
・Book Return
第61回 森合正範
「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」
・すべての球団は消耗品であるbyプロ野球死亡遊戯
#14「1979年の広岡ヤクルト」
・アイドルクリエイターズファイル
#35 Dorian
・宇多丸のマブ論
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