音楽プロデューサー・サリー久保田が明かす「SOLEIL」活動休止以降の動き
楽曲派という言葉が死語になる前に伝えることがある!ということで始まった当連載。今回、80年代ネオGSシーンの中心的バンド「ザ・ファントムギフト」のベーシスト、そして音楽プロデューサーとしても活躍するサリー久保田が登場。長年この業界に身を置きながら、現在でも数々のプロデュース、楽曲リリースで目まぐるしく活動の場を広げる彼に、これまでのプロデュースの遍歴や、今最も力を入れているプロジェクトを深掘ります。
SOLEIL活休後の動き
――SOLEILの活動休止以降の動きから伺っていきたいと思います。僕の記憶では、SOLEILが事実上終わってしまうことにサリーさんはかなりショックを受けていて。
サリー久保田 あー、そうでしたか。SOLEILは僕の音楽人生の中でも一番いいところまでいった感じがしたんです。もう一息だったんですけどね。ワンちゃんがご飯をお預けにされたような感じでした(笑)。ライブの動員が上がっていたので、このまま1000人を超えるようになれば、ライブ活動だけじゃなくてテレビとかコマーシャルも頑張りますって話で盛り上がってたんですよね。まぁ、コロナもあったからわからないんですけどね。
――そして翌2020年の秋にオルガントリオのサリー久保田グループを結成されました。最初は企画ものでしたよね?
サリー久保田 僕がちょうど60才になったので、何か出したいなということで。RYUTistにも参加してもらいましたね。オルガントリオにしたのは単純で、SOL EILの時はギターバンドだったので、次はハモンドオルガンにしようかなと。モッドっぽい感じで、イギリスの60年代のペドラーズとかジョージィ・フェイムみたいな感じをイメージしてました。ライブではギターを入れることもあります。
――還暦祝いとしてサリー久保田グループで2枚の7インチをリリースしましたが、グループはその後、現在に至るまで続くことになりました。このトリオでの手応えも感じていたということでしょうか。
サリー久保田 ドラムの原“GEN”秀樹くんは、その前に星野みちるちゃんのレコーディングで初めて会って。前から頼みたいと思っていたんですけど、やってみたらすごく上手だし、ノリも良かったんです。TWEEDEESでも叩いていたし、一緒にやったらすぐにハマるだろうなと思ってました。オルガンの中山努さんは20年以上前から同じ事務所にいて、90年代の時も何度もアレンジをお願いしたり、ライブもサポートしてもらっていたので、ハモンドオルガンをフィーチャーするのも問題ないだろうなということで、とりあえずレコーディングだけしていこうと思ったんです。
――当初はレコーディングのみのユニットだったと。2020年はコロナ禍真っ只中でもありましたしね。
サリー久保田 だから当時は続けようという意志がそんなにあったわけでもないんですけど、クリンクレコードというところで4曲入りのカバー企画のフォーマットがあって、社長さんが個人的に知り合いのミュージシャンを呼んで作ってたんですね。それを手伝っていたディレクターが僕の昔からの友達で、今こんなのやってるんだといっぱいサンプルを送ってくれるんですけど、毎回送ってくれるものだから、僕、なんかやった方がいいのかなという気になってきたんです(笑)。それで話したら、やってほしいですということになりました。
――それでサリー久保田グループでカバー集を出すことになると。
サリー久保田 社長に言われたのが、昭和の時代までのカバーにしてくれと。クリンクレコードはオールディーズのレーベルなので、50年代、60年代の曲をやって、カタログのプロモーションになればという考えだったんです。僕としては、本当は90年代の曲をカバーしたかったんですけど、社長の意向があったので、昔の洋楽や邦楽の曲をチョイスして。それで、加納エミリさんをフィーチャーした一作目を作っていくなかで、社長が「続けてくれるなら久保田くんのレーベルにしていいよ」と言われたんです。最初がエミリちゃんだったので、じゃあ女の子をゲストにする企画にしましょうということで、「GIRLS AT OUR BEST」という、バンド名からとったレーベルを始めました。
取材・文/南波一海
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サリー久保田=さりーくぼた|静岡県出身。アートディレクター、グラフィックデザイナー、ミュージシャン。1984年多摩美術大学卒。 1987年に「ザ・ファントムギフト」でデビュー。2017年「SOLEIL」をプロデュース。近年、サウンドからデザインまで全てをトータル・プロデュースして、 さまざまなアーティストとコラボレーションしている。「 サリー久保田グループ」「ウインクミュージック・サービス」 再結成した「ザ・ファントムギフト」「ザ・スクーターズ」で活動中。
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