日向坂46小坂菜緒が語る仲間の存在
7月31日(月)に発売された「BUBKA9月号」に、アイドルグループ「日向坂46」の小坂菜緒が登場している。消えてしまいそうな儚さ。圧倒的な存在感。相反するふたつの色彩。彼女の美しさの中を泳ぐ。そんな小坂に話を聞いた。
仲間の存在
――今回は「3回目のひな誕祭」(2022年3月30日、31日)以降の話を中心に話を伺いたいと思います。東京ドームのステージで活動休止から復帰して『僕なんか』を歌った小坂さんの佇まいは、いま思い返してもゾクッとするくらいのオーラが出ていました。
小坂菜緒 自分ではオーラを出そうなんて考えることはなくて、「楽曲を届けよう」という気持ちでステージに立っているんです。良くも悪くも雰囲気に呑まれている、というのはあると思います。
――ある舞台のゲネプロで目の前にいたある坂道メンバーに気付かなくて、後日、「オーラを消しているんですか?」と聞いたら、「普段は何もしてなくて、アイドルの時にオーラを出している」と言われたことがあるんです。
小坂菜緒 なるほど。私はどちらも意識したことがないですね。
――東京ドームから1年かけて、出演楽曲が増えていった印象です。『キツネ』の河田陽菜さんや『ドレミソラシド』の丹生明里さんといった代役でセンターを務めたメンバーは、「菜緒のセンターが好きだから」と復帰を喜んでいましたが、小坂さんはどんな心境でしたか?
小坂菜緒 最初はそんなことを考える余裕もなかったんです。でも、俯瞰で日向坂46を見ることができるようになって、代理でやってくれたメンバーがあまりに完璧だったから、よくないことかもしれないけど、「自分じゃなくてもいいんじゃないか」という考えも頭をよぎりました。
――その考えをどうやって切り替えたんですか?
小坂菜緒 東京ドーム前に、(加藤)史帆さんが「私にはできないから。こさかなの『キュン』が絶対にいい」と直接言ってくださったことがうれしくて、少し自信を持つことができました。あの言葉を思い出すと「自分じゃなくてもいい」という考えはなくなって、真ん中に立つことができたんです。
――「3回目のひな誕祭」から「4回目のひな誕祭」の間に、感情が揺さぶられる出来事も多かったと思います。特に、小坂さんと近い存在だった渡邉美穂さんと宮田愛萌さんの卒業で寂しい想いをしたのかなと。
小坂菜緒 1年で同期が2人も卒業するなんて想像していなかったですし、まさか、という感じでした。特に同期の中でも仲のいい2人だったので、最初は「これからどうすればいいんだろう」という気持ちにもなりました。
――宮田さんはどんな存在でした?宮田さんが小坂さんを気にかけている印象でしたが。
小坂菜緒 当初はそうだったと思います。でも、途中からはお互い支え合うような関係になっていたんです。宮田が休養して戻ってきたら、私が休養して、というすれ違いもあったので。隣にいることが当たり前の存在でした。
――どんなところに共鳴したのでしょう?
小坂菜緒 性格は真反対なんですけど(笑)、趣味が一緒で、考えていることも似ていたので距離が縮まったのかなと。
――いまは渡邉さんも宮田さんもひとりで動いてます。
小坂菜緒 心なしか、アイドルをやっている時より伸び伸びと活動して、自分らしさを出せているんじゃないかと思います。私自身は寂しさを引きずるのかなと思ったけど、三期生の(髙橋)未来虹、(森本)茉莉、(山口)陽世とすごく仲良くなったことで、寂しい気持ちもありつつ前を向くことができたというか。もしかしたら、自分にとっては良い転機だったのかなとも思ってます。
――いまの小坂さんにとって三期生の存在は大きいんですね。
小坂菜緒 だいぶ大きいです。近くにいたらどちらかが肩を叩いて話しにいく感じで。10枚目シングルは茉莉とポジションが近いので話す機会が多いんです。
――以前から髙橋さんと近い印象はあって。「小坂さんから『呪術廻戦マンチョコ』をもらった」と喜んでいました。
小坂菜緒 あげました(笑)。未来虹から「『呪術廻戦マンチョコ』を集めているけど、ほしいシールが出ないんです」という話を聞いていて。お仕事前にコンビニに寄った時、「そういえば」と思い出して2個買ってあげました。
アイドルらしく、人間らしく
――「4回目のひな誕祭」は約3年ぶりの声出し解禁のライブでした。久しぶりにファンの声援を聞いて、何を感じましたか?
小坂菜緒 最初に思ったのが「みんな、ちゃんとコールを覚えているんだ!」ということ(笑)。コロナ禍でファンになってくださった方もいるはずなのに一体感があって。ファンのみなさんの声があると会場の雰囲気はだいぶ変わるなと思いました。声があることで、「これがアイドルのライブだな」って感じがしました。やっぱりレスポンスがほしいですし、それだけ楽しくなりますから。
――ブログに「素直に、頑張ってよかったなって思えました。多分、前の私なら、こうは思えなかったはず」と書かれていましたが、ライブに向き合うことが難しい時期もあったからこその感情なのかなと思います。
小坂菜緒 少し後ろめたい気持ちもあったし、「ステージに立つことが怖いな」とか「ちゃんとできるのかな」という不安をずっと抱えたまま1年を過ごしてきてて。それが自分の力にできるんじゃないかってやっと思え始めたのが、ハマスタのライブでした。なので、ハマスタのライブではみんなをちょっとでも安心させるようなパフォーマンスをしたい、というのが第一にあって。そこに力を込めてパフォーマンスをしたら、ファンの方たちやメンバーだけでなく、スタッフの方やお仕事の現場で会う方からも「よかったよ」という声をいただくことができました。それまでの「よく頑張ったね」という言葉もうれしかったけど、「あのパフォーマンスがよかったよ」とか「今までで一番だった」という言葉はもっとうれしくて。「頑張ってよかったな」と素直に思えたんです。あのライブで自分を取り戻せたような気がしました。
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取材・文/大貫真之介
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