R-指定「Rの異常な愛情」ヒップホップにとってのクルーという文化…サイプレス上野と語り尽くす
今月から『Rの異常な愛情』がプチリニューアル! 新たな試みとして、R-指定とゆかりのあるアーティストをお招きし、ヒップホップの様々なトピックについて深掘りします。第一回のゲストはサイプレス上野。今回はお二人がヒップホップ特有の文化の一つである「クルー」をテーマに、アーティスト個々人、そしてグループとして活動しながらも存在するクルーという集団について語り尽くします。
出会いの場は神戸
――「Rの異常な愛情」、これまではRくんがアーティストについて語るという内容でしたが、今回はサイプレス上野くんを迎えてのクロストークを展開できればと思っています。そしてそのテーマは「クルー」なんですが、その前に、二人の出会いから訊きたいんですが。
R-指定 僕はめっちゃ覚えてます。神戸なんですよ。
サイプレス上野 そうだっけ?
R-指定 僕が梅田サイファーに参加してしばらくした時に、KOPERUが「B-BOY PARK U20」とかのMCバトルで優勝したのをキッカケに、僕も参加してたグループ:コッペパンとして、神戸でレギュラーを獲得したんですよね。
サイプレス上野 大阪じゃなかったんだ。
R-指定 そうなんですよ。00年代の後半は、それこそ神戸薔薇尻さんとか神門さんがガッと注目されて、めちゃくちゃ神戸のシーンが元気だったんですよね。だからイベントも多かった。その一つにコッペパンもレギュラーに加えてもらったんですけど、まあ持ち時間5分とか10分で、(チケット)ノルマありみたいな超下っ端時代で。
サイプレス上野 高校生でそれは大変だな。
R-指定 それが金曜の夜で、学校終わって堺から神戸まで1時間半ぐらいかけていかなあかんし、地元の友達に声かけても「いやいや、どんだけ遠いねん! 行かん行かん!」みたいな感じで。今となっては、その短い持ち時間の中でどう工夫するか、そっぽ向いてるお客さんをどう振り向かせるかということは、そこで勉強させてもらったのは間違いないけど、やっぱり大変は大変な時期。で、そのイベントにゲストでサイプレス上野とロベルト吉野が来たんすよ。
サイプレス上野 マジか!?
R-指定 俺らはみんなで「うわ! 今日サ上とロ吉が来んで!」「 一番手やけど頑張るか!」みたいな感じでしたね。で、サ上とロ吉はゲストライブが終わってもずっとクラブにいて、演者もお客さんもごちゃまぜでパンパンになったフロアで最後まで遊んでて、朝になっても神戸の奴らと飲んでたのをめちゃくちゃ覚えてますね。ゲストで来てもライブだけやって帰る人も多いんですけど、「サ上とロ吉は最後までみんなと遊ぶんや」と。なんていうか……そこに現場で戦ってきた人の強さを感じましたね。
サイプレス上野 良いエピソード出たね。ちなみに場所はどこ?
R-指定 「Livehouse&Club pi:z」ですね。今はもうクローズしてしまったんですけど。
サイプレス上野 全然クルーの話と全く違うけど、pi:zのPAやブッキングをやってたのが嫁の弟なのよ。
R-指定 えっ、マジすか!?
サイプレス上野 そう。そして嫁と初めて出会ったのもpi:zだから、おそらくRがいま話したイベントの時だと思う。
R-指定 ハッハッハ! そんなことが!
――上野くんの結婚のキッカケにR-指定が立ち会ってたとは(笑)。
サイプレス上野 まだ初対面だったいまの嫁に「ヤラせてくれよ~」ってずっと言ってて。
R-指定 ひで~(笑)。
サイプレス上野 最終的にビンタされて。それで「いや~振られたわ~」とか言いながら、朝まで酒飲んでたんだと思う(笑)。
――それが結婚に繋がるんですから最高だね(笑)。
サイプレス上野 俺にとっても思い出深い場所。月曜日に蟹バケツシンドロームがイベントやってなかった? 「!!!MONDAY」(ビックリマンデー)か。
R-指定 ありましたね。めっちゃフリースタイルばっかするイベントっすよね?
サイプレス上野 そうそう。そのライブにサ上とロ吉とSCARSで行った時があって。
R-指定 なにそれ!? すごすぎません?
――当時のシーンを代表する二組が。
サイプレス上野 そしたら客が蟹バケツしかいなかったっていう伝説のイベント(笑)。
R-指定 ヤバ(笑)。いまその二組がライブするって情報出たら、めちゃくちゃお客さん溢れ返るな。すごいっすね、そのメンツ。
サイプレス上野 SCARSもたしかフルメンバーが揃ってたのかな。それなのに俺らとSCARSと蟹バケツしかいないから、全員ただ遊んでるだけで終わったっていう(笑)。
――思い出ありすぎるね(笑)。その時はRくんと上野くんは話したの?
サイプレス上野 どうだったかな~。
R-指定 たぶん挨拶ぐらいっすね。当時はまだ高校生だから、畏れ多くて話しかけられなくて、「うわ、朝までみんなと一緒に飲んではるわ」みたいな感じで、遠巻きに見てただけだと思います。ポチョムキンさんもソロ「赤マスク」を出したタイミングで出演されたんですけど、その時も喋ってないんですよね。
――人見知りが発動して(笑)。その上野くんとRくんのファーストコンタクトの話は初めて聞いたかも。
サイプレス上野 まあ、コッペパンで知ってたから、改めて現場で「はじめまして」みたいな感じではなかったのかな。
R-指定 そのあとは「超ライブ」とか?
――「蝕」じゃない?
R-指定 「蝕」にコッペパンが出たときだ。そこではもう普通に話した記憶があるっすね。
サイプレス上野 うん。「ういっす、ういっす」「あざす」みたいな。
――まだまだ続くインタビューは発売中の「BUBKA7月号」で
聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎
サイプレス上野|1980年、神奈川県出身。DJのロベルト吉野とともに、サイプレス上野とロベルト吉野のMCとして活躍中。“HIP HOPミーツallグッド何か”を座右の銘に掲げ、“決してHIPHOPを薄めないエンターテイメント”と称されるライブパフォーマンスを武器に人気を集めている。
R-指定|1991年、大阪府出身。Creepy Nuts、梅田サイファーのMCとして活躍中。バトルMCとしても、2012年からの「UMB」3連覇をはじめ、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』での2代目ラスボスなど、名実ともに「日本一」の実績を誇っている。
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