2023-04-11 19:00

“ばってん少女隊”の最新AL『九祭』を紐解く――ケンモチヒデフミの“ただのご当地ソング”では終わらない音作り

ケンモチヒデフミ氏
ケンモチヒデフミ氏

絶妙な遊び心

――『さがしもの』の歌詞についてですが、佐賀と探し物を引っかけている時点で面白くて。

杉本 天才的なダジャレで(笑)。

ケンモチ いつもダジャレみたいなところからしか発想できないので(笑)。気球の魅力をネットで調べたんですよ。そうしたら、気球に乗って、上に行った時に広がっている景色を見ると、自分自身との対話ができると。「世の中こんなに広いのに、おれはなんて小さなことで悩んでたんだろう」とか「将来こういうふうになりたい」って夢を膨らませたりとか。このサイトの言っていることはめちゃくちゃいいなと……受け売りなんですけど(笑)。

――気球に乗るとそこまで変わるんですね。

ケンモチ 佐賀県の“さが”と、気球に乗って“さが”し物を見つけるという話にしようと思って、バルーンフェスティバルと佐賀と探し物をかけていったんですね。

杉本 「整いました」ですよ。私のバラバラの思考がケンモチさんによって1曲にまとまって。

ケンモチ 各地の魅力と言葉を結び付けたり、メッセージ性を込めるのは難しいですよね。僕のなかではこれはハマったなというパターンの曲になりました。

――『九祭』って、ご当地ソング集になりかねないコンセプトじゃないですか。ただ名物や名所の紹介していくみたいな。そこにひねりが3つくらい加わって、ああいう形になっているのがよくて。『さがしもの』だったら、あのくらいの年齢の方が自分のアイデンティティを探すということも合っていると思うし、そういった内面と密接に結びつきつつも佐賀の曲でもあるという。なかなかできないことですよね。

杉本 ばってんのスタッフさんと話している時に、自分のなかから出てきた考え方があって。ご当地とかおみやげものとかって40~50年アップデートされない、鉄壁のフォーマットになってると思うんですけど、そうじゃない新しいヒット商品を考える時ってこうなんだろうなって。そういうつもりで各県、挑ませていただいたんです。

ケンモチ 杉本さんはプランナーとして超一級の腕を持っているので。

杉本 いやいや、すぐにボツになるのばかりで。「何言ってんの?」みたいな(笑)。佐賀のお仕事もやりたいんですけどね。

――ばってん少女隊だからこそトライできることはあったりしますか?

ケンモチ 渡邊忍さんが作られた『OiSa』と『わた恋』の、日本のお祭り文化とか古くからある文化を、ファンタジックに、幽玄的に描いているのが面白いなと思っていて。ほかのアイドルさんでは見られない雰囲気のミュージックビデオとか、楽曲とか、歌詞の使い方で、これだったら僕も新しいことをチャレンジできるんじゃないかなという印象を受けました。現実に存在しないかのような、日本の自然の美しさとか神社の神秘な感じとか。楽曲も、みんなで盛り上がろうぜって感じの曲じゃなくて、ちょっと引いている。この世界観が、ばってん少女隊さんとハマっていて。そのタイミングで僕も携わらせていただいたので、チャレンジすることができたのかなと思います。

――きっと杉本さんがディレクターだからというのもありますよね。

ケンモチ そうですね。完全に自由に作ってくださいと言われると逆にちょっと困っちゃう。作家としての生き方が染み付いちゃってるので、なんかお題くださいみたいな(笑)。制約をいただいた方がやりやすいというのがあるので。面白い設定をいつも与えていただいています。

杉本 ケンモチさんに頼むんだったら面白いお題を用意しないと、という気持ちではあります(笑)。ちなみにケンモチさんは『九祭』全体はどんな印象でしたか?

ケンモチ どの曲もそうなんですけど、ライブでもう一段、二段と化ける気がしていて。ほかのアイドルさんにはないような曲なんだけど、現場で見たらちゃんと盛り上がり要素とかお客さんの熱量もあって。面白いアルバムだし、コンセプトだなと思いました。

――ケンモチさんのコメントでライブBlu-ray『御祭sawagi~踊れ心騒げ~』への導線が見えました(笑)。

杉本 ありがとうございます……言わせてしまった(笑)。音楽が面白いので、ライブでいくらでもアレンジできると思うんです。何回やっても楽しみが見出せる楽曲だと思うし、もっと広がるんじゃないかなと思っています。『さがしもの2』もいけるんじゃないかな?

ケンモチ 一回じゃ見つからなかった(笑)。

杉本 『ランボー』みたいに続けるもの面白くないですか? サブタイトルをつけたりして。話しながらまた思いついてしまいました(笑)。

ケンモチヒデフミプロフィール

1981年生まれ。水曜日のカンパネラのメンバーとして活動しながら、xiangyu、femme fatal、戦慄かなの、平井堅、iri、など、幅広いアーティストに楽曲提供を行う。

『九祭クリエイターズファイル』の第1回(ゲスト:渡邊忍)、第2回(ゲスト:ケンモチヒデフミ)が、「ばってん少女隊公式YouTubeチャンネル」にて絶賛公開中!

九祭クリエイターズファイル:第1回目 | 渡邊忍【特別対談】

BUBKA (ブブカ) 2023年 5月号
Amazonで購入
セブンネットショッピングで購入

BUBKA (ブブカ) 2023年 5月号表紙

BUBKA (ブブカ) 2023年 5月号増刊
Amazonで購入
セブンネットショッピングで購入

BUBKA (ブブカ) 2023年 5月号増刊

BUBKA(ブブカ)2023年5月号電子書籍限定版「SKE48 岡本彩夏×林美澪ver.」 [雑誌] Kindle版
Amazonで購入

BUBKA(ブブカ)2023年5月号電子書籍限定版「SKE48 岡本彩夏×林美澪ver.」

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA 2024年11月号 BUBKA 2024年11月号増刊 BUBKA 2024年11月号
BUBKA 2024年11月号コラムパック DOLCE Vol.13 尊みを感じて桜井
新谷姫加 相楽伊織 いけちゃん

BUBKA RANKING5:30更新

  1. 乃木坂46・5期生が「anan AWARD」を受賞!写真集大ヒットの裏側で、「マネージャーさんに怒られました」
  2. 『Rain Tree』個性豊かな1分間の自己PR…クラシックバレエから太鼓、炙りカルビまで
  3. 「anan AWARD」受賞の乃木坂46井上和「カッコイイ先輩になれるように、色んなことに挑戦したい」
  4. オードリー若林が絶賛する日向坂46松田好花のラジオ愛!“ネタ探し”ד構成力”ד準備力”の三拍子に春日俊彰も「たいしたもんだね」
  5. 『Rain Tree』デビューシングル表題曲歌唱メンバー7人決定!メンバー名変更も発表に
  6. 『Rain Tree』最年少リンリンこと鈴野みお「ずっとずっと頑張っていきます」
  7. 日向坂46藤嶌果歩、怒られてしまったエピソードを暴露されかわいく反省「囲まれてしまいました」
  8. 「松田もだって36……」オードリー若林の年齢イジりに日向坂46松田好花「おばさんイジりは良くない」と大激怒!?
  9. 乃木坂46新曲「歩道橋」初披露映像、YouTubeで期間限定公開
  10. 乃木坂46中西アルノ、普段は見せない表情&ポージング…5期生写真集『あの頃、乃木坂にいた』より封入特典ポスターカット第2弾解禁
  1. 北海道出身超絶美少女・高橋かの、超絶フェティッシュに特化したグラビア作品
  2. パリコレ最終審査で沸かせた椎菜貴妃、パーフェクトボディーでDVDデビュー
  3. 乃木坂46岩本蓮加、突然の夕立に遭遇…視線も印象的な封入特典ポストカード第2弾到着
  4. “秘湯ロマン”出演で話題…斎藤恭代「新規のファンの方が増えてくださった」
  5. グラビアアイドル夏来唯、大人の魅力あふれるハードグラビアを連発
  6. 注目の新人グラドル葵くみ、チアリーディングで鍛え抜いたプロポーションが躍動
  7. グラビアアイドル池田ゆうな、“パイスラ”ニットが目を引く1年ぶりの最新作…自慢のボディーがパワーアップ
  8. 乃木坂46・5期生が「anan AWARD」を受賞!写真集大ヒットの裏側で、「マネージャーさんに怒られました」
  9. 奇跡の39歳“下町のモンロー”平塚奈菜、2年ぶりのグラビアDVDで美ボディーを披露
  10. “ダチョウの物まね”でバズったアイドル琴吹ゆず、デジタル写真集『ダチョウのおんがえし』配信開始