「アイドル」と「恋愛」その、答えのなき問題
今や祝福ムードに包まれることに違和感を覚えなくなった現役アイドルの結婚報道。しかし、ファンにとって、現在進行系の恋愛を受け入れることができるかという話になると難しい問題になってくる。「恋愛禁止」と「恋愛解禁」という単純な二分論にとどまらない問題を、直近の報道を契機として考えてみよう。
「けじめ」の行方
2022年のAKB48重大ニュースを決めるとしたら、何が1位になるだろうか。
裏も表も何でもアリだとしたら、新センターの誕生でも、日本テレビで冠番組が復活したことでも、日本武道館コンサート3DAYSでもなく、岡田奈々の熱愛発覚からの卒業発表になるだろう。
11月19日、それは突然に報道された。文春オンラインは「AKB48“圧倒的センター”岡田奈々(25)と2.5次元俳優が親公認の真剣交際」のタイトルで、岡田と俳優・猪野広樹の熱愛を報じた。
この記事により2つの点に注目が集まった。ひとつは岡田の去就問題。もうひとつはアイドルの恋愛禁止問題だ。
岡田はデビュー直後から真面目さをキャラクターにしていたわけだが、2017年の選抜総選挙のスピーチでこんなことを話した。
「スキャンダルがあり、それをネタにして這い上がるメンバーがいます。そういう人がいてもいいと思いますが、それを真似していいと思わないし、真面目にやっても48グループのトップを取れると思っています。真面目にやってる人が報われるようにしたい。(中略)これからは48グループの風紀委員長を目指して頑張りたいと思います」
このスピーチが自身の熱愛と矛盾しているのではないかと指摘されたのだ。
熱愛発覚から4日後、岡田はAKB48からの卒業を発表した。本人は「皆様へ」と題したツイートで、「風紀委員を名乗り出たのにもかかわらずこうして嘘をつくような形になってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪している。「ただ、当時の自分の言葉に嘘は1つもありません」「この10年間アイドル活動を全力で取り組んできたことは本当です」とも説明している。
それはその通りで、ステージに立つために技術を研鑽する姿を私は何度も目にしている。それを否定するつもりはない。それどころか頭が下がる思いだ。時間の経過や経験によって人の気持ちはいくらでも変化する。そうとしか言いようがない。総選挙での「風紀委員長宣言」当時、岡田は19歳。25歳の今とはまったく同じ考え方ということはあり得ない。
この卒業発表でファンの心のモヤモヤが完全に晴れるかというと、そんなことはない。岡田から離れるファンもいるだろうし、複雑な思いを抱えながらも現場へと通うファンもいる。アイドルビジネスはその連続だ。それは過去の熱愛沙汰を見れば一目瞭然で、何が起きようがアイドルは続いていく。
今回、岡田は卒業という形で「けじめ」をつけることにした。決定的な写真を撮られた以上、アイドルを続けることはできないと本人が判断したということだ。「スタッフさんからは卒業の必要は無いと言われました」とのことだが、だとしたら今後どんな顔をしてファンと向き合えというのだろう。どんな判断が最も適切か、それはアイドルが一番よくわかっている。
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文/犬飼華
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