BiSHの解散発表…WACKが貫く破壊衝動とのつながり
BiSHが2023年に解散する。「楽器を持たないパンクバンド」としてメジャーアーティストに成り上がり、紅白歌合戦出場や、日本レコード大賞新人賞など、成し遂げてきた功績は数知れず。人気絶頂で解散するといういかにもWACKらしいパンキッシュな終焉を選んだ彼女たち。果たして、その終焉はどのような形で訪れるのか。これまでの輝かしい歴史に思いを馳せながら、本誌でお馴染みの二人がBiSHを徹底的に分析します。
メジャーまでの道のり
――BiSHは12カ月連続リリース企画も終盤を迎えていて、先日出た白濱亜嵐さん(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が手掛けた『脱・既成概念』が11作目。12月に出るものがラストになるわけですが、現時点では解散公演も発表になってないんですよね。
佐々木敦 それも仕掛けと共にサプライズ的な発表になる可能性が高いよね。絶対場所は押さえているはずだから。どうせ即完だし、発表が直前でも大丈夫だよね、という。
――やっぱりドームかな、なんて思ってます。
佐々木敦 それは全然ありそう。解散した後にどうするとかどうなるとかも言ってないわけじゃないですか。それがないわけはないから、いろいろわからないですよね。完全にもう二度とないです、みたいな解散だったら、そこに向けての上昇曲線がトップになって大団円みたいになるだろうけど、なんらかの意味で、物語は続く、という感じになる可能性の方が高いわけだから。今までのパターンでいったら感動のフィナーレを迎えて、いきなり画面に文字が出てくるとかっていうのはあり得るよね。
――それこそ最初のBiSの解散がそうだったんですよね。横浜アリーナで解散して、その後に各メンバーがこれから何をするかっていうのを一人ひとり丁寧に発表していって。
佐々木敦 新しいユニットとかソロ活動も導線が引いてあって、2023年以降にどうするかがもちろん決まっているわけじゃない?そのタイミングでそれを大々的に発表するっていうことになるのはものすごくあり得るというか、きっとそうなんじゃんっていう。でも、BiSの解散と似たようなプロセスになっているように見えるんけど、時代がちょっと違うから。BiSの時は良くも悪くもある種のサブカル感みたいなものがあった。でも、BiSHは時代的にもそういうものとの接続というところじゃなくて、要するにテレビとか芸能人とかを経由して大メジャーになったっていうのがある。
――たしかにそうですね。
佐々木敦 それはBiSとBiSHのメンバーのキャラクターの違いだけじゃなくて、やっぱり時代の変化みたいなのは大きいと思うんだよね。その間にサブカル的なるものが一般的なものから完全に断絶して、そういうのは絶対にメジャーにはならないみたいな感じになっている気がする。WACKは、基本的にはアイドルとサブカル的なるものが結構近くて、シンクロしているような時代から出てきた事務所だと思うんだけど、それがいろんな偶然とか僥倖が作用して、BiSHみたいなモンスターが生まれてきた。だから他のWACKの人たちとは全然違っちゃったんだと思うんだよね。そこはすごく興味深い。
――なんと言っても、BiSが最後の公演の直前まで繰り広げていたのが「テレクラキャノンボール」ですからね。
佐々木敦 そうそう。さすがにいまさら「BiSHキャノンボール」は考えられないじゃん。やったら面白いと思うけど、やってもそれで跳ねないというか、そこだよね。そういうのが全然関係ない。今回の解散はさ、基本的には渡辺(淳之介)さん発信なわけじゃん。解散するのもありなんじゃないのって提案されて、本人たちで決めていいと言われ、考えて、そうしましょうって決めたわけだから、自分の意志と社長の意向が複雑なレイヤーになってて、言われたからやるわけでもないけど、自分たちで決めたわけでもないじゃない。それはなかなか微妙なバランスかなという感じもします。ExWHYZの時も、解散します、名前変えます、という動画を観ても、メンバーやファンをうまくコントロールしてるんだよね。それは他のグループとBiSHのあり方も変わらないような気もしていて。だから、これだけ時間をかけて解散に向けて歩んでいて、めっちゃ盛り上がって、解散した瞬間に名前を変えます、ってされても全然不思議じゃないっていうか、絶対ないとは言えない(笑)。解散して新メンバーが二人加わります、名前変わります、二つに別れて時々合体しますとか、やりかねないわけじゃない?もうこれで今生の別れですよ、みたいなことにはならないわけじゃん。なんとなくそう思いながら見てるから、むしろその後の方が気になるっていう。
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取材・文/南波一海
佐々木敦=ささき あつし|1964年生まれ。評論家、著述家。音楽レーベルHEADZ主宰。文学、音楽、演劇、映画など多ジャンルを横断した文筆活動を行う。著書は『批評時空間』『あなたは今、この文章を読んでいる。』『シチュエーションズ』『未知との遭遇』『即興の解体/懐胎』『ニッポンの思想』『テクノイズ・マテリアリズム』『ゴダール原論』など多数。
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