『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』著者・高橋ユキ氏「真意が伝わらないままなのは気の毒」
――その富田林署逃走犯とも、高橋さんは手記を交わしているわけですが、相当面倒だったであろうやり取りが描かれている(笑)。
高橋ユキ 気を遣いましたね……、ははは。あんなに交渉する人って、なかなかいないんですよ。
――しかも、高橋さんが『週刊ポスト』に掲載した際の「特徴的な字」という表現に対して、怒りの意思とともに思いっきり筆跡を変えた手記を送り返すという。
高橋ユキ 字が全然変わっている!って思いました(笑)。すぐさま筆跡を変えて、違う形に扮するあたりが、サイクリストに扮して逃げた彼らしさなのかもしれない。実は、寝屋川市中1男女殺害事件の犯人である山田浩二死刑囚と、彼の筆跡がとても似ていたんですよ。死刑囚の表現展などで、山田浩二死刑囚が作品を展示していたのですが、そのときに見た字がそっくりだった。奇しくも、二人は同じ刑務所に服役していて、富田林署逃走犯が感化されたのかなとかいろいろ考えちゃいましたね。一緒につるんでいる女子大生同士の服装が似てくるように、同じ時間を過ごしていると通ずるものがあるのかなって。
――各刑務所には、受刑者が崇めるようなスーパー受刑者がいるでしょうから、シンパ受刑者がいてもおかしくなさそうですね……。そもそもなのですが、高橋さんはどうして裁判の傍聴や受刑者に関心を持つようになったのですか?
高橋ユキ 最初は、ライター業とはまったく別の仕事をしていたんですけど、そのときにうつ病になってしまって。休職、退職になったんですけど、就職氷河期世代だから、病気で辞める自分は、もう社会人としてまともなキャリアを積むことはできないだろうと思ったんです。だったら好き勝手やってやろうとは思ったんですね。仕事とは関係ないからって今までスルーしていた本や漫画、映画なんかをいろいろ見るようになって。そうしたらだんだん元気になってきて、外出できるようになった。本を読んでいる中でも、事件を扱うノンフィクションに関心が高かったのでいろいろ調べてみると、東京の最高裁判所などで係争中の事件……それこそ、埼玉愛犬家連続殺人事件や桶川ストーカー殺人事件などが行われていて。せっかくだから、裁判所に行って自分で見てみようと思ったんです。
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取材・文=我妻弘崇
高橋ユキ=たかはし・ゆき|1974年生まれ、福岡県出身。2005年、女性4人で構成された裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。殺人等の刑事事件を中心に裁判傍聴記を雑誌、書籍等に発表。現在はフリーライターとして、裁判傍聴のほか、さまざまなメディアで活躍中。著書に、本屋大賞2020ノンフィクション本大賞候補作『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』など。
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