SKE48の新たな“試み”がメンバーにもらたすもの…チームリーダー松本慈子「燃えました」
ここ数年、企画という点において48グループは斬新さに欠けていた。特にコロナ禍に入ったばかりの2020年前半、この業界ではアイデアが問われる時代に突入したが、48グループは他のエンタメに出遅れているように見えた。ズバリ、アイデアが弱かったのだ。通常の劇場公演と握手会が開催不可能になり、知恵が問われるようになると、それに対応できなかった。
コロナ禍も収まりつつあり、かつての日常が取り戻されている昨今、コロナ以前と同じような運営を展開しているだけではなんの発展もない。そう考えたSKE48運営サイドは、これまでと違ったアプローチができないものかと思案した。そんな中で生まれたアイデアが「全額返金保証公演」だった。これを実施するのは、小室哲哉氏がプロデュースをし、牧野アンナ氏とCRE∞BOY(クリエイトボーイ)が振り付けを手掛けた新オリジナル公演しかない。発表したのは、初日昼公演の直後。初日の興奮冷めやらぬまま、「全額返金保証公演」の文字がスクリーンに映し出されると、「すげえことやるな……」というため息が観客から漏れた。
初日から2週間後、迎えた3回目の公演は入場者数が214人だった。初日よりも肩の力が抜け、パフォーマンスは特に問題はなかったように見えた。公演が終了すると、スタッフから観客に「返金を着希望の方は、メンバーのお見送りの後、お渡ししている紙を箱に入れてください」とアナウンスがあった。劇場に緊張が走る。箱に近づき、紙を入れた返金希望者は6人いた――。