“48グループ”それぞれが踏み出した一歩目
一方、グループを統括する立場にあるのは松岡菜摘である。説明するまでもないが、キャリア10年以上の1期生である。松岡はツアー前になると、このグループをどうしたいのか、このツアーをどういう形で成功させたいかというテーマでほぼ全メンバー参加の話し合いを実施している。アンナ先生へのインタビューでもそんな話題になったが、メンバーによる話し合いはグループにとって必須だ。
5月現在、1期生は3人、2期生は4人、3期生8人……と続くのがHKT48である。2021年以降、1期生5人と2期生2人が卒業し、勢力図が塗りかわった。もはや人数的にもグループへの影響力的にも3期生が中心になるべき時代に突入したといってよい。グループにはどうしても代謝が必要だ。代謝がないと、中心メンバーが卒業した時に、次の世代のメンバーは一気にそのしわ寄せを受けることになる。準備しておかないと大変なことになるのだ。準備しておいたとしてもその策が成功するとは限らないのだから、なおさら準備は入念にしておかなければならない。そういったことを念頭に置いて、今月号で“なこみく”を取材した。つまり、政権を奪うつもりはあるのかということを聞きたかった。
2人とも、両者がグループの中心にいるという自覚はあった。田中は、矢吹が自分の上にいると考えていた。しかし、「2人だけで」という考えはなく、全体がグループの一員であるともっと強く自覚するべきだという考えだったように感じた。
“なこみく”が顔であることは間違いない。だが、全体を統括するキャプテンは別に存在したほうがいい。そして、グループが永続的に運営されていくには、常に責任ある役職に就く人材はせき止めることなく、新しく登用していったほうがいい。せき止めるとツケが大きくなる。それが3期生でなくてもいい。4期生でもいいし、ドラフト生でも構わない。どんな形でもいいから、そろそろ次のカードを切るべきタイミングではないだろうか?
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取材・文/犬飼華