上島竜兵さん そしてダチョウ倶楽部が「お笑いウルトラクイズ!!」で確立した“リアクション芸”
第4回には岸谷五朗と寺脇康文が参加しているが、こういうリアクション芸にはハマらなかった。この番組の主役はダチョウ倶楽部であり、もっといえば上島竜兵さんだった。視聴者は全裸になった竜ちゃんの姿に笑い、リュックサックが爆破して、「聞いてないよ~!」と叫ぶ竜ちゃんに手を叩き、大仁田厚のモノマネをしながらプロレスラーと戦う竜ちゃんに喝采を送った。「聞いてないよ~!」も「ムッシュムラムラ」も「ヤー!」も「殺す気か!」も「これが俺の芸風だ!」もこの番組と『スーパーJOCKEY』で広く知れ渡った。
ビートたけしが好む「くだらない笑い」を見事に体現していたのが上島竜兵さんだった。それまでにもリアクション芸というものは存在していたが(剛速球をぶつけられて、「悲惨だな~」と過剰に痛がる稲川淳二など)、『お笑いウルトラクイズ!!』によってジャンル化された。そして、平成初期にその先頭に走っていたのが上島竜兵さんだったのだ。
この番組で軌道を作ったダチョウ倶楽部は、茶の間の顔になることができた。リアクション芸にいくつものパターンを残したのは、3人の研究の成果だろう。
元は俳優志望だったという。寺門ジモンに誘われて、お笑いの世界に足を踏み入れた。巡り巡って、役者の世界からも声がかかるようになった。『怪物くん』『真犯人フラグ』といったドラマで存在感を発揮し、映画『虹をつかむ男』では山田洋次作品への出演がかなった。今年4月からは2本の連続ドラマを掛け持ちしていた。あまりにも急だった。
今夜は、録画してある『お笑いウルトラクイズ!!』を見ることで供養とさせていただきたい。
合掌。
文●堀越日出夫