R-指定(Creepy Nuts)『Rの異常な愛情 映画編』
――日常に溶け込んで。それはもはやホラーなのか?(笑)
R-指定 改めて見直して「この時期のオープニングの出方かっこいいなぁ」「ここで監督が変わったんやな」みたいに新たな発見もあったり。
――いつから見てるの?
R-指定 中学校のときですね。バスケ部の先輩の家に金曜日の夜に泊まりに行って、土曜日の朝にみんなでバスケの練習に行くみたいなルーティンがあったんですけど、その金曜の晩に、先輩が借りてきてみんなで観たのがきっかけですね。そこで俺らの間で『ほん呪』ブームが始まって、金曜の夜は絶対『ほん呪』を一本借りて、みんなで目を覆いながら観るっていう。
――かわいいかよ(笑)。
R-指定 「映像を観た人が失踪しました」とか「この映像を撮った一カ月後に死にました」みたいなのを言われてから「それではその映像をご覧いただきましょう。10、9……」ってシーンに差し掛かって、「先輩……この先、観るんすか?」「明日、練習結構キツそうやしな……」みたいな(笑)。
――謎の言い訳が(笑)。
R-指定 それくらいホンマに怖がってたんすよ。最近見直しても「これは怖いな」って思うシーンが多々あって。且つ『ほん呪』シリーズは監督が変わっていくんですよ。監督が勇退して、それまで演出補やった人が監督になったり、どんどん代替わりしていくんですよね。だから時期によって作品のカラーも変わっていって。初期とかは90年代のテレビ番組っぽい作りだったのが、そこから『ほん呪』的なオリジナリティーを持つようになって、結構マニアックなところまで行ったな~と思ったら、もっかいわかりやすいところに戻ってきたり。
――揺り戻しがあるんだ。
R-指定 女性監督になったときは、女の人同士の怖い部分が出たりとか、監督によって全然特色が違うんですよね。ビジュアル的にも、「ダン!」とは出さずに、小さく「なにか」が映るような構成の監督もいれば、この監督はノイズを多用してホンマに気持ち悪い映像を作ってるとか、この時期は話が全部つながっていくとか、シリーズの中でもちゃんと展開と特色があるんですよね。さっき話した「伝説の55巻」は、22巻ぐらいから演出補で登場する岩澤宏樹さんという方が監督した作品で。岩澤さんは演出補だった時期は、怖い映像を撮ってしまった人にインタビューに行ったり、実際ここで怖い映像が撮れたっていう廃墟に突撃取材したりするスタッフ兼出演者みたいな出方もされてたんですよね、もう「この映像に関わりたくない」って言ってる人にわざわざ取材して、無理やり「見てください! これ、あなたが撮ったんでしょ? 映ってますよね!?」って追い詰めて逆に殴られたりとか(笑)。