SKE48ら“継続型アイドル”が立つ分岐点
いよいよ3日目夜の部。大場はどんな形で卒業したかったのか、その正解がようやく判明する。結論から書けば、大場はチームKⅡとともに卒業をしたかった。より正確に書けば、自分がAKB48から移籍して、自分の心がSKE48に染まっていき、身も心も名古屋の住民となった、その過程をともにした仲間たちともう一度ステージに立ちたかった。大場にとってはAKB48時代が青春の第一章であり、チームKⅡが第二章だった。そんな大切な時間を過ごした同志に感謝を伝えたかったし、仲間たちと過ごす姿を見せることでファンに特別な時間をプレゼントしたかったのだろう。
そのプレゼントはすさまじかった。高柳明音、内山命、竹内彩姫、松村香織、そして小畑優奈という波状攻撃! 誰がこの5連コンボに正常でいられようか。思い出、つまり過去を振り返ることは卒コンだけに許される特権だが、その特権をフルに使ってきた。OGが参加したのはそれぞれが登場した1曲だけではなく、その後、5曲も連続で踊っている。観客はいつか観たKⅡを思い出しながら、もうこんな日は二度とやって来ないことを自覚しただろう。それほど最終回感の強い卒コンだった。
コンサートに限らず、ステージに立つ者の使命は、観る者の感情に何らかの変化を起こすことだ。大場はそれをやり遂げた。思い返すと、大場の根源はどうしたら楽しんでもらえるか、驚かせることができるかにあったように思える。その象徴は、自身の卒業ソング『生まれ変わっても』の監督/脚本をヨーロッパ企画に依頼したことだ。
ヨーロッパ企画とは劇団であり、企画集団でもあるのだが、大場は以前からヨーロッパ企画のファンだった。一度だけ番組で共演したことはあり、卒業曲の映像を手掛けてもらうことになったのだが、それは大場の発案によるものだった。ヨーロッパ企画は乃木坂46と絡んだことはあったものの、SKE48とがっつり絡むのは初めて。しかし、仕上がったMVは完璧な内容だった。クリエイティブ面で、大場は100点を出してくれる人選をした。卒業ドレスを着て、バラードをただ歌って終わり……という当たり前を大場は嫌った。大場は何かを作るにあたって工夫ができる人なのだ。この考え方こそ、残されたメンバーは参考にするべきだろう。そう強く感じた3日間だった。
文/犬飼華
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