SKE48 Team S「私たちが『オリジナル公演』にこだわる理由」~新公演『愛を君に、愛を僕に』表題曲MV密着ドキュメント
昨年秋、チームSの新公演製作が発表された。他の姉妹グループの公演をする、所謂「おさがり公演」ではなく、完全オリジナルの公演である。さらに、音楽を総合プロデューサーの秋元康氏以外が手がけるのは48グループ史上初。AKB48初の姉妹グループとして誕生したSKE48の革命の第一歩に密着する。
オリジナルの意義
チームSのオリジナル新公演が始まろうとしている。初日は5月28日。プロデューサーは小室哲哉氏、振り付けは牧野アンナ氏が担当する。
こんな日がやって来るのをずっと心待ちにしていた。若いメンバーが、自分自身がオリジナルであると思える何かに出会ってほしかったからだ。衣装にも立ち位置表にも自分の名前が書かれる。ファンはそのユニット曲を本家として見る。アイドルとして、その快感は筆舌に尽くしがたい。オリジナル公演から10年以上も遠ざかっていたのだから、その快感は何倍増しにもなる。
結成当初のダンスを見返してみると、かなり粗削りなダンスをしていた。お世辞にも上手いとは言えない。しかしながら、ほとばしるものがステージからこぼれ落ちていた。それはSKE48の魅力とイコールだった。
あれから時間が経った。物事は移ろいゆく。SKE48のダンスは粗削りではなくなった。誰もがスマートに踊るようになった。同時にほとばしるものは感じられなくなった。これまでそのことには触れないようにしてきた。変化することは必然だし、メンバーに罪を押しつけるのは違うと感じていたからだ。けれど、エンターテインメントとしての本質的な部分―ステージを観て、心が揺さぶられるかどうか―に対して、いつかSKE48はグループとしてメスを入れなければいけないのではないか。そう考えていた。楽曲が魅力的であること。その曲を表現するダンスもまた魅力的であること。その2点をアイドルである以上、譲ってはいけない。
たとえば、昨年12月の新世代コンサート。8期生から10期生までが参加したが、振り付けはよく揃っていた。練習の成果が出ていたと思う。メンバーも真面目に取り組んでいた。それは双眼鏡越しの表情でわかった。しかし、「揃っていた」以上の感想をどうしても持てなかった。それはなぜか? 見慣れてしまったからか? それとも別の理由が横たわっているのか? そのことばかり考えながら観戦していた。
SKE48が結成されて13年以上が経ち、様々なグループが生まれては消えていった。継続しているグループはダンスが上達している。もはやそれぞれに差はないように見える。振り付け自体に個性をさほど感じられない。フェスを観れば、一目瞭然だ。それはSKE48とて例外ではない。新世代コンサートではそんなことを感じてしまった。
48グループは公演が生命線だ。専用劇場を持つグループは数えるほどしかない。劇場で腕を磨ける環境がある。もしSKE48が生まれ変わりたいのならば、オリジナルの公演でその姿を表現すればいい。チームSは千載一遇のチャンスを迎えている。この新公演は、グループに必要な改造手術でもある。
SKE48は本気なのかどうか。その答えは5月28日に出る。
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