2022-03-04 20:00

元チャットモンチー・高橋久美子「エビ中は、バンドっぽい感じがした」<私立恵比寿中学の音楽のすべて>

“朗読”という核を託せる存在

――高橋さんとエビ中との出会いは『朝顔』になりますが、その前からエビ中のことは知っていましたか?

高橋 もちろん名前は知ってましたし、曲も聴いたことはあったんですけど、そんなにくわしくは知らなくて。それで、歌詞を書かせていただくことになって、あらためて聴いたり見たりしてみたら、ちょっとバンドっぽい感じがしたんですよね。もちろんアイドルグループなんだけど、私たちがやってきたチャットモンチーとか、なんかロックな匂いがする人たちだなと思ったんです。だから、〈約束を破ります〉(『朝顔』の歌詞の一節)と歌ってもらいたいなぁと。そういうロックなフレーズを入れても、この人たちならいけるんじゃないかという直感がありましたね。それで、『朝顔』にはけっこう強い歌詞をたくさん織り交ぜました。朝顔って普通は朝咲く花なんだけど、夜に蛍光灯に向かって咲いてる朝顔を見つけたことがあって。そのことを歌詞のモチーフにして、けっこう変化球だと思うんですが手応えがありました。めちゃくちゃいい歌詞が書けたと思って、先方に渡したのは覚えていますね。

――『朝顔』は、メンバーのどんなイメージから発想がスタートして、どういう流れでこの歌詞になっていったんですか?

高橋 当時のメンバーさんたちの年齢が、22~23歳になる年だったと思うんです。それで、自分が同じ年齢だった時のことを考えると、すごいグラグラしてたなと思い出して。もう、何でも許される10代ではなく、社会人になる年代というか。そういう時期のグラグラした部分と、でもこのまま大人になりたくない、世の中に反発したい気持ちもまだ渦巻いていて。それで「朝顔は朝咲くとは限らないよ。大人はそう思い込んでるかもしれんけど、そうじゃないときだってあるよ」と。子どものときの約束を破ったり、優等生っぽくまじめにしてきてた自分だけでもないよって。当時のエビ中と同じ年齢の頃の私なら「私は、朝咲くだけのまっすぐな朝顔じゃないよ」っていうようなことを歌いたかったというか。重ねてしまって申し訳ないんですが、ちょうどチャットとしてデビューするかしないかぐらいのときだったかな。フリーターをしながらバンドを続けてた時代だったと思うんですけど。これくらいちょっとひねくれてるというか、「それでも私は私の道を行くんだ」っていう強い自我を歌ってくれたらいいなって思いました。それで、「まっすぐでもないけど、自分は自分の道を行く」という物語を書きました。明るい曲調だからこそ、少し毒や棘みたいなものを秘めた歌詞にしていったんです。

――作詞をされる場合、曲調が歌詞の内容に作用することは多いんでしょうか?

高橋 そうですね。メロディアスで美しい曲であるとか、『朝顔』のようにポップで明るい楽曲の場合は、少しだけ棘とか毒を混ぜたいって思ったりします。でも、『朝顔』に関しては、特に彼女たちだからというのはありますよね。今の彼女たちなら、こういう曲を歌ってもいいんじゃないかなっていう気持ちはあったと思います。

――まったく同じ曲調だったとしても、エビ中じゃなかったらこういう歌詞にはなっていなかった?

高橋 なっていなかったと思いますね。

――エビ中には『大人はわかってくれない』という楽曲がありますけど、そういうメンタリティが似合うんですよね。

高橋 似合うんですよ! そうなんですよね。女子からもモテるみたいな(笑)。同年代の女子からも、「だよね! だよね! うんうん、わかるよ!」っていう感じがロックだし、ちょっとバンド気質があるって、そういうことなのかもしれなくて。

――インタビューの続きは発売中の「BUBKA4月号」で!

高橋久美子|作家・作詞家。ロックバンド、チャットモンチーのドラマーを経て、2012年より、詩、小説、エッセイ、絵本等の執筆の他、様々なアーティストへの歌詞提供も行う。主な著書に小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセイ集『旅を栖とす』(角川書店)、『いっぴき』(ちくま文庫)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(ミシマ社)等がある。

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA 2024年11月号 BUBKA 2024年11月号増刊 BUBKA 2024年11月号
BUBKA 2024年11月号コラムパック DOLCE Vol.13 尊みを感じて桜井
新谷姫加 相楽伊織 いけちゃん

BUBKA RANKING11:30更新

  1. 響き渡る“乃木坂46”&“葉月”コール!向井葉月から奥田いろはへ、涙の抱擁と共に受け継がれる「乃木坂らしさ」
  2. 「なんてかわいいの!」櫻坂46中嶋優月と谷口愛季、キュートなダウン姿を披露!山﨑天はなかやまきんに君と夢の共演
  3. 卒業控える日向坂46東村芽依、“門出”にふさわしい晴れやかな表情の表紙カット解禁
  4. 乃木坂46「36thSGアンダーライブ」完遂!全国5都市を巡るZeppツアーに、座長の奥田いろは「何も後悔はありません」
  5. 「なにわ男子」大西流星、シャンプーのCM初出演!かわいらしい寝顔も披露
  6. 乃木坂46 岩本蓮加写真集『いたずらな風』に熱狂する菅原咲月だが、誘われたご飯は華麗にスルー!?
  7. 日向坂46 の逆襲が始まる東京ドーム公演に注目せよ!明暗分かれた『紅白』出場者から考える坂道3グループの現在地
  8. 川口春奈『JJ』表紙風広告に登場…サントリー×光文社の異色のコラボが実現
  9. 櫻坂46全国ツアー最終東京ドーム公演、2日間で11万人動員!海外からもBuddiesが駆けつける
  10. 「死ぬ気で守る」2作連続で“センターに最も近い”乃木坂46 池田瑛紗の叫び続けた「魂の言葉」
  1. 新人グラビアアイドル浅倉れいか、彼氏との旅行中は「い~ぱっいドキドキすることしちゃおっか!」
  2. 志田音々3rd写真集発売決定!台湾&長崎ロケを敢行「なんと!! 2冊同時に発売させていただきます」
  3. 新人グラドル有川燈莉、自慢の豊満ボディーとキュート&セクシーのギャップで魅了
  4. 響き渡る“乃木坂46”&“葉月”コール!向井葉月から奥田いろはへ、涙の抱擁と共に受け継がれる「乃木坂らしさ」
  5. 「なんてかわいいの!」櫻坂46中嶋優月と谷口愛季、キュートなダウン姿を披露!山﨑天はなかやまきんに君と夢の共演
  6. 東大卒のインテリグラドル東堂とも、業界屈指のスレンダーボディーと33歳の大人フェロモンにドキッ
  7. 卒業控える日向坂46東村芽依、“門出”にふさわしい晴れやかな表情の表紙カット解禁
  8. あふれる美ボディー夏来唯、アラサーグラドルが魅せる臨場感あるシーン
  9. 乃木坂46「36thSGアンダーライブ」完遂!全国5都市を巡るZeppツアーに、座長の奥田いろは「何も後悔はありません」
  10. 日向坂46濱岸ひより1st写真集『もしも』より背中大胆な“大人ひよたん”の先行カット到着