「任せてください」小坂菜緒が初代キャプテン佐々木久美に伝えた覚悟━━日向坂イズムの継承式でもあった「6回目のひな誕祭」

撮影=上山陽介
4月5日(土)・6日(日)、横浜スタジアムにて日向坂46「6回目のひな誕祭」が開催された。一期生・佐々木久美と佐々木美玲の卒業セレモニーも行われた今回のコンサート。明日4月13日(日)に2日目のリピート配信を控える中、二期生5名に焦点を当ててライブを振り返りたい。
ライブ序盤の期別楽曲コーナーでは、四期生が『ロッククライミング』、三期生は『この夏をジャムにしよう』というアップテンポな楽曲で、ファンのコールと共に会場のボルテージを高めていた。一方、二期生が披露した『自販機と主体性』は、しっとりとしたバラード調で、観客に“聴かせる”ステージを展開。前2曲の明るい雰囲気をガラっと変えることで、ライブに厚みをもたせていた。センターを務めた松田好花は、表題曲のフロントに初めて抜擢された『Am I ready?』では笑顔で踊る中、『自販機と主体性』では落ち着いた雰囲気で、丁寧に歌い上げていた。曲に合わせて変化する彼女の表情やパフォーマンスの振れ幅は、器用さと安定感を物語っていた。

撮影=上山陽介
続く『Dash&Rush』では、金村美玖のパフォーマンスに目を引かれた。冠番組などでは空回りした時に見せる“負け顔”が印象的な彼女だが、ライブでは“煽り顔”に注目したい。『Dash&Rush』 や『アディショナルタイム』といった曲で彼女が浮かべる不適な笑みを観て、彼女には『My fans』という曲も合うだろうなと感じた。この曲のオリジナルセンターを務める佐々木美玲もブログで「上から目線っていうか、重めの歌詞になってて」と語っており、佐々木の卒業後、金村が継承して披露する姿に期待したい。

撮影=上山陽介
河田陽菜のハイライトシーンは、『ソンナコトナイヨ』での歌割だ。卒業メンバーの中でも、とりわけ歌唱力に定評があった一期生の齊藤京子と加藤史帆のパートを任された彼女は、「まるで君が拗ねた時のほっぺたみたいに」「どんな君だって、がっかりなんてしない」という部分を自信たっぷりに歌い上げており、成長と頼もしさを感じた。ユニット曲『恋とあんバター』では後輩メンバーとチャーミングに、『You’re in my way』では赤い照明と炎の演出の中でクールな一面を披露していた。マイペースでのんびり屋だった彼女が、頼りになる存在感を示していた。

撮影=上山陽介
富田鈴花も先輩メンバーの歌を受け継いでいた。佐々木美玲の指名で『どうして雨だと言ったんだろう』『三輪車に乗りたい』といった先輩メンバーがオリジナルの楽曲を歌っていたが、特に印象的だったのは齊藤のソロ曲『孤独な瞬間』を任されたことだ。彼女がブログで「少しでも本家へのリスペクトを込めてお届けしたい」と綴っていた通り、齊藤の衣装を着て歌う姿から、先輩への思いと歌い継ぐ覚悟が感じられた。今後、彼女オリジナルのソロ曲が与えられることにも期待が高まる。さらに、4月30日(水)と5月1日(木)に開催される「13th Single ひなた坂46LIVE」では、座長としてどのようなライブを作り上げるのか楽しみだ。

撮影=上山陽介
そして最後に小坂菜緒について触れておきたい。数多くの楽曲でセンターを務めてきた彼女。『キュン』『ドレミソラシド』などの盛り上がる曲から、『こんなに好きになっちゃっていいの?』『青春の馬』『川は流れる』といったエモーショナルな曲まで、グループの可能性を広げるために様々なジャンルの曲を任されていた。2024年12月の東京ドーム公演では加藤からセンター曲の『君しか勝たん』を託され、堂々とした姿と笑顔で披露していた。

撮影=上山陽介
そんな彼女で特筆すべきなのは、「佐々木久美卒業セレモニー」での言葉だ。小坂が「任せてください、日向坂は。頑張ります」と伝え、佐々木が「菜緒ちゃんならできる」と背中を押していた。1stシングル『キュン』でセンターを務めた当時、まだ16歳だった小坂を支えたのは、佐々木ら一期生メンバーだった。新生日向坂46を銘打つライブも発表された中、これからは小坂が名実ともにグループを引っ張っていき、後輩たちを支える立場となる。小坂を支えてきた加藤や佐々木らのように、お姉さんメンバーとして、頼もしい同期たちと共に後輩たちを引っ張る姿を見せてくれるだろう。
今回の「6回目のひな誕祭」は、グループにとって大きな転換点となるライブだった。頼もしい二期生をはじめ、新キャプテンの髙橋未来虹ら三期生、先輩のポジションを埋めるほどに成長した四期生、そして新たに加入した五期生。日向坂46の新しい物語は、これからも続いていく。

撮影=上山陽介

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