「バックダンサーでも何でもない」乃木坂46 佐藤楓が卒業セレモニーで「史上最強の」アンダー集団に送ったエールの重み

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
4月5日(土)、乃木坂46の「38thSGアンダーライブ」がぴあアリーナMMにて開催された。過去最少人数の9名で挑んだライブでは、本編終演後に3期生・佐藤楓の卒業セレモニーも行われた。
アンダーライブが1日限りの開催となったのは、23rdシングル『Sing Out!』、27th『錆びたコンパス』期間に行われて以来となる。
直近のアンダーライブでは、「メンバーフィーチャー」や「ソロ歌唱」など、企画性が強いステージが特徴的だった。今回の「38thSGアンダーライブ」でメンバーは、約5年ぶりとなる「ノンストップ」ライブに挑戦した。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
ライブ開幕の『OVERTURE』に続いて披露されたのは、アンダー楽曲の象徴とも言える『アンダー』。センターを務めたのは、最新アンダー楽曲『交感神経優位』のセンターを務め、今回の座長を務める4期生・柴田柚菜。彼女のソロ歌唱から始まった同楽曲は、歌詞のメッセージ性が強く、一人ひとりの表情やパフォーマンスにかける熱量が全面に押し出される楽曲だった。しかし、今回の披露では、やや落ち着いた雰囲気に感じられた。必死さで訴えかけるのではなく、凄みで圧倒するパフォーマンスだった。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
その後は『ここにいる理由』『自由の彼方』『さざ波は戻らない』など、9曲連続でパフォーマンス。曲ごとにセンターが入れ替わり、それぞれのソロ歌唱から始まる構成となった。通常ならMCコーナーなどで一息つく流れだが、休むことなく楽曲を繋いでいくメンバーたちの姿が、今回のライブの特異性を物語っていた。そして、9曲目の『日常』を終えた後、座長である柴田が放ったのが「今日は約5年ぶりのノンストップライブです!」という言葉。そこで今回のアンダーメンバーが挑戦するテーマが明らかになった。
曲の合間にMCコーナーや演出を挟まず、一気に駆け抜けるノンストップライブ。メンバーたちの負担が大きいが、声援を送る観客も一秒たりとも見逃すことができない。前回のノンストップライブは、2020年12月18日から20日に日本武道館で開催された「乃木坂46アンダーライブ2020」の最終日。当時の全アンダー楽曲30曲を披露した伝説的なライブだった。現メンバーで当時を知るのは3期生だけで、現在のアンダーライブの中心である4・5期生には未知のステージ。さらに、過去最少人数ということもあり、個々のメンバーにかかる負担は計り知れないものだった。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
しかし、アンダーライブを受け継いできたメンバーたちには何の問題がなかったと、筆者はライブを観て感じた。苦しそうな表情は一切見せず、コール&レスポンスで観客との一体感を作り上げ、楽曲に込めた思いを丁寧に伝えていた。例えば、『ここにいる理由』でセンターを務めた3期生・岩本のキレのあるダンス、『錆びたコンパス』でセンターを担った4期生・矢久保美緒の煽りや曲中のこぶしを突き上げる振り付けの力強さ、さらに『Under’s Love』では、5期生唯一のアンダーメンバーである岡本姫奈が自分なりのスタイルを確立したように見えた。最新シングル『ネーブルオレンジ』の選抜発表後、悔しさと覚悟をブログに綴っていた岡本は、ステージを経験するごとにその実力を高めている。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)

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本編全21曲のセットリストには、『自惚れビーチ』『My rule』『13日の金曜日』といった歴代のアンダー楽曲に加え、『届かなくたって…』『悪い成分』『落とし物』など比較的新しいアンダー楽曲が織り交ぜられていた。アップテンポで盛り上げたかと思えば、しっとりと歌い、聞かせるようなパフォーマンスを披露するなど、ノンストップライブという制約の中でもメリハリが感じられた。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
「アンダーライブの継承」という重圧と向き合ってきた、現在のアンダーメンバーたち。アンコールでは、4期生・黒見明香が「史上最強のアンダーライブ」という言葉を口にしていた。1・2期生のパフォーマンスを見てきた現在のアンダーメンバーにとって、先輩たちを超えることは毎回の目標でありながら、その高い壁に圧倒されてきた。しかし、今回のノンストップライブで見せたパフォーマンスは、歴代の先輩たちに引けを取らない実力だったと思う。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)

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そして、ライブ本編とアンコールの終演後、「佐藤楓卒業セレモニー」が開催された。ライブ会場のぴあアリーナMMは、佐藤が初センターで初座長を務めた「29thSGアンダーライブ」と同じ場所だった。彼女が推しメンと語る1期生・西野七瀬のソロ曲『つづく』や、西野センター曲『今、話したい誰かがいる』『帰り道は遠回りしたくなる』、さらに「女子校カルテット」というユニットで先輩たちと披露した『口約束』を歌っていた。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)

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そんな佐藤はアンダーライブについて、「この場所って、バックダンサーでも何でもないし、みんなが一人ずつ、一人ひとりが輝いているから。気持ち的にもマイナスになり過ぎないでほしい。みんなめちゃくちゃ可愛いし、キラキラしているし、誰よりも輝いているから。胸を張ってこれからも乃木坂の活動を楽しんでほしい」と語っていた。
選抜もアンダーも経験した彼女だからこそ語られる、重みのあるメッセージ。彼女の卒業は、グループやアンダーライブにとって大きな損失だ。そんな彼女が安心して卒業できるのも、彼女の背中を見て、時に支え合いながら一緒にステージを作り上げてきた後輩たちの成長があったからだろう。一人ひとりが課題と向き合い、葛藤し、それを乗り越えて成長した姿を見られるのが、乃木坂46のアンダーライブなのだと、再認識させられた。

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)
乃木坂46「38thSGアンダーライブ」セットリスト
0.OVERTURE
1.アンダー
2.ここにいる理由
3.自由の彼方
4.さざ波は戻らない
5.Under’s Love
6.マシンガンレイン
7.錆びたコンパス
8.踏んでしまった
9.日常
10.自惚れビーチ
11.13日の金曜日
12.My rule
13.新しい世界
14.不等号
15.届かなくたって…
16.嫉妬の権利
17.Hard to say
18.悪い成分
19.落とし物
20.~Do my best~じゃ意味はない
21.交感神経優位
EN1.裸足でSummer
EN2.ハウス!
EN3.好きになってみた
EN4.狼に口笛を
佐藤楓卒業セレモニー
1.つづく
2.口約束
3.今、話したい誰かがいる
4.帰り道は遠回りしたくなる
5.好きというのはロックだぜ!

撮影=鈴木健太(KENTA Inc.)

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