日向坂46正源司陽子&藤嶌果歩、それぞれが語るお互いの第一印象

アイドルグループ「日向坂46」正源司陽子(右)と藤嶌果歩(左)にインタビュー
撮影/HIROKAZU
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生まれた場所も、育った環境も違う二人の少女が持った同じ夢。「日向坂46になりたい」少しの希望と大きな不安を抱きながら向かった東京で、二人は憧れのアイドルになった。今、あの時は想像できなかった場所で顔を合わせる。12thシングル、正源司陽子×藤嶌果歩のWセンター。隣にいるのは相棒なのか、ライバルなのか。ふたつの運命が、交錯しはじめる――。

道を開いた魔物

――正源司さんと藤嶌さんが最初に会った時のことは覚えてますか?

藤嶌果歩 研修生として自己紹介をしている時、「同じ年齢の子がいる!」と思いました。

正源司陽子 私もそう。同じ年齢の子を見つけてうれしかったです。それに、笑顔がかわいい子だなって。

藤嶌果歩 ありがとう(笑顔)。

正源司陽子 コロナ禍だから学校でマスクをしていて、友達の笑顔を見る機会が少なかったので、藤嶌の快活な笑顔が好きになりました。

藤嶌果歩 陽子はしっかりしゃべっていたので、最初は「真面目で優等生タイプの子」という印象で。

――途中で変わったと(笑)。

藤嶌果歩 はい(笑)。こんなにおちゃらけてるとは知らなくて。

正源司陽子 最初は猫を被ってました(笑)。

――最初の四期生曲『ブルーベリー&ラズベリー』で、2人がシンメになります。

藤嶌果歩 フォーメーション発表の前夜に、「シンメだったらいいね」と話したんです。

正源司陽子 した! としきょんさん(加藤史帆、齊藤京子)、なおみくさん(小坂菜緒、金村美玖)といった唯一無二の二人組に憧れが強かったんです。藤嶌ともっと仲良くなりたい! っていう気持ちがありました。

――「しょげかほ」と呼ばれるようになりましたが、自分たちからですか? それとも自然発生?

藤嶌果歩 いつから呼ばれるようになったんだろうね?

正源司陽子 気づいたら「しょげかほ」って呼ばれていました。

――いいパターンですね。四期生曲は、正源司さんセンターの『シーラカンス』から藤嶌さんセンターの『見たことない魔物』にバトンがつながります。『魔物』の時期は、四期生が「自分たちはグループに貢献できているのだろうか」と葛藤していたそうですが。

藤嶌果歩 四期生全員が不安な気持ちを抱えていた時期にセンターのポジションをいただいたので、『魔物』を広めて、四期生がたくさんの人に愛される集団になってほしいと思ってました。

正源司陽子 まわりが見えてきたからこそ不安になって、足が止まってしまうメンバーもいたと思います。『魔物』を初披露した時、四期生らしい弾けたパフォーマンスができて、道が開けたような感覚がありました。

――その後も不安な状態が続いたそうですが、四期生にとって単独公演となった「新参者」(23年11月)がターニングポイントになったと思います。

藤嶌果歩 全員で力を注ぐ何かが欲しくて。それが四期生にとって「新参者」だったのかなと思います。「新参者」を終えた時、日向坂46のメンバーとして自信を持って活動できるようになりました。

正源司陽子 自分たちに足りていないもの、自分たちがするべきことが明確になったので、みんなが危機感を持ってステージに臨みました。いわゆる“絆”と呼ばれるものが強くなって、いまにつながっているように感じます。

――お二人は「新参者」でスピーチする機会がありました。ステージ上で感情を言葉にする経験は大きかったと思います。

藤嶌果歩 私、思ったことしか言えないんです(笑)。だから、上手く言葉にできない時もあるけど、「新参者」は次々と思っていることが浮かんで、言葉がスラスラ出てきました。

正源司陽子 感情を言葉にすることは好きですし、得意なほうだと思ってるんですけど、「これは言っていいのかな」と不安が足を止めてくるんです。自分にとって一生の課題だと思ってます。それでも、私は言葉にしたくて。言葉にしないと伝わらないことはあるし、言葉にしたから「心が動いた」という声も聞くので、頑張りたいなと思います。

芯の強さと熱い意志

――「Happy Train Tour 2023」(23年8月~12月)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で、正源司さんは『One choice』をセンターで披露しました。丹生明里さんセンターとして完成されていた曲なのでプレッシャーがあったと思います。

正源司陽子 先輩方から励ましの言葉をもらって、丹生さんからも「陽子ちゃんのままでいいんだから!」というメッセージをいただきました。みなさんに肯定してもらえたことで自信につながったんです。それでもステージに立つと、転びそうなくらい足がブルブル震えてしまいましたけど、パフォーマンス後はおひさまのみなさんの拍手で救われた気持ちになれました。

藤嶌果歩 いろんなものを抱えているんだろうなと思っていましたけど、あの時は陽子の気持ちを理解することができなかったというか……。いまも全部をわかったわけじゃないんですけど、『絶対的第六感』でセンターに立って、前に出ることの怖さを実感したんです。改めて、陽子はすごいことをしていたんだな、と思いました。

正源司陽子 うれしい。

――昨年12月、『ミュージックステーション』と『CDTVライブ!ライブ!年越しスペシャル!2023→2024』(TBS系)で、四期生の4人(清水理央、正源司、山下葉留花、宮地すみれ)が歌番組に出演しました。その時に、藤嶌さんは悔しさを表に出していましたよね。

藤嶌果歩 悔しさとうれしさの両方がありました。叶えたい夢や目標にしている場所が見えてこないまま活動してきたけど、同期が頑張っている姿を見て、「私もこうなりたい」と目指すものを見つけることができたんです。

――藤嶌さんは普段ニコニコしていますが、内に秘めた熱さがあります。正源司さんはそんな藤嶌さんをどう思いますか?

正源司陽子 藤嶌は笑顔の奥に芯があって。「私はこうしたい」といった強い意志があるから、こんなにも光っているんじゃないかと思ってます。

藤嶌果歩 うれしいけど、照れますね(笑)。

――11thシングル表題曲『君はハニーデュー』のセンターに正源司さんが選ばれます。

正源司陽子 オリジナルのポジションというだけでなく、初めて選抜制が導入されたことで、『One choice』の時とは違う怖さがありました。

――披露するうちに完成に近づいていったのか、それとも波があったのか、どちらでしたか?

正源司陽子 「5回目のひな誕祭」の2日目(4月7日)で披露した時は、髪を振り乱しながらステージに立っていることを忘れて、心から楽しめました。ただ、その日以外は自分自身で納得のいくパフォーマンスができていないんです。余計なことを考えてしまって、心から音楽に乗ることができなかったんです。ずっと悔しかったけど、いまはそんな自分を「大目に見てやる」くらいの気持ちで、「これからだから」と思うようにしてます。『ハニーデュー』は、自分を知ることができた期間でもありました。「これができてない」「あれができてない」と考えてしまうと視界が狭くなることがわかったので、もっとオープンにしたいんです。先輩方の言葉を純粋に受け取って、近くにいるメンバーの存在を感じようと思ってます。

――空回りすることもありましたか?

正源司陽子 ひどかったと思います(苦笑)。ただ失敗はしたかもしれないけど、いまは後悔していません。「次は失敗しないように」と改善できるところは、私の数少ない自慢できるところだと思います。

藤嶌果歩 『ハニーデュー』の時は選抜メンバーとして近くにいたんですけど、何をするのが正解なのかわからなくて。陽子を見守ることしかできませんでした。不安を抱えているなかで堂々と笑顔で踊っている陽子を尊敬しています。

取材・文/大貫真之介

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