2024-10-26 10:00

「ひなた坂46」が横アリ2日間で起こした奇跡!山口陽世の「ひらがな、ぶちかませ!」でこじ開けられたグループの新たな扉

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
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10月23日・24日、横浜アリーナにて「12th Singleひなた坂46 LIVE」が開催された。日向坂46は前作の11thシングルから選抜制を導入。「ひなた坂46」は選抜以外のメンバーで構成されたグループの名称で、7月にはパシフィコ横浜国立大ホールで初の「ひなた坂46LIVE」を開催し、新たな伝統をスタートさせた。今作では四期生の宮地すみれが、ひなた坂46楽曲でセンターに立ち、ライブの座長を務めた。彼女は「ひなた坂46LIVE」を「初心を思い出させてくれる場所」と語っていた。そんなライブで、筆者が気になったパフォーマンスをピックアップしてお届けしていく。

2日目のMCコーナーで、三期生の森本茉莉が発した「正気かな?」という一言。これは「ひなた坂46LIVE」が横浜アリーナで開催されることを聞いた時の、彼女の素直なリアクションだ。前回、初めての「ひなた坂46LIVE」は収容人数が約5000人のパシフィコ横浜国立大ホールで開催された。そこから、約3倍の17,000人を収容し、グループの全体ライブでも使われる横浜アリーナで「ひなた坂46LIVE」を行うことは、彼女たちにとって試練であると同時に、期待の表れでもあった。

オープニングアクトは宮地のベールを使った優雅なダンス。そして12thシングルに収録されているひなた坂46楽曲の『雪は降る 心の世界に』から開幕した。前回の「ひなた坂46LIVE」では表題曲の『ってか』や『ソンナコトナイヨ』がライブ序盤に披露されていたが、今回はひなた坂46楽曲からのスタート。『雪は降る 心の世界に』の曲調も相まって、落ち着いた始まりになった。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

そんなライブの雰囲気を一変させたのが、二期生の濱岸ひよりがセンターを務める『期待してない自分』だ。日向坂46の前身である、けやき坂46時代の1stアルバム『走り出す瞬間』のリード曲で、濱岸が「母」と慕う一期生・佐々木美玲のセンター曲。既に卒業を発表している濱岸は、二期生の中で唯一のひなた坂46メンバーで、普段はマイペースで飄々とした彼女だが、後輩に囲まれたステージで存在感を発揮。イントロで盛り上がる会場中のおひさま(日向坂46のファンネーム)たちは、彼女の真っすぐで力強い視線に釘付けになった。曲の途中で、メインステージと後方ステージを往復する演出で力強い走りを見せていた濱岸。その後のMCコーナーでは「1kmは走ったよ」と無邪気に話しており、パフォーマンス中とのギャップに驚かされた。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

ライブ序盤は『ホントの時間』や『ナゼー』、『ママのドレス』、『窓を開けなくても』、『その他大勢タイプ』など四期生が加入する前の楽曲で構成され、一期生の高瀬愛奈や三期生の森本・山口陽世ら先輩メンバーが中心となって披露。グループ加入から約2年が経過し、「新参者」公演や「四期生ライブ」などのステージを経験した四期生は、少人数だからこそ自分の魅力を届けられる絶好の機会となった。特に『ナゼー』での石塚瑶季・竹内希来里は個性的な歌声で印象に残った。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

そんな石塚はライブ中盤で『何度でも何度でも』のセンターを務めている。他メンバーが外周ステージに向かう中、石塚は一人センターステージに立ってパフォーマンス。間奏では今回のライブにかける思いを真っすぐな言葉で伝えた。彼女はブログで「石塚瑶季=全力なポンコツ」と語っている。冠番組では熱過ぎる思いから空回りしがちな場面をよく見る彼女だが、ステージ上での彼女の全力投球なパフォーマンスは日向坂46に必要不可欠な要素だと感じた。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

一転して、次曲の『抱きしめてやる』は聞かせるテイストの曲調だ。センターの平岡海月は、四期生の最年長でMCや挨拶を任せられることが多いが、同期からイジられる愛されキャラでもある。そんな彼女が力強い曲調に身を任せ、溢れ出る気迫からは「私たちを見ろ!」と言わんばかりの強い意志が感じられ、彼女の新しい一面を発見した。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

続いて披露されたのは、前作は選抜メンバーとして活動していた四期生の平尾帆夏と山下葉留花のデュエットパート。1日目に二期生の金村美玖・小坂菜緒の『See Through』、2日目は二期生の富田鈴花・松田好花の『まさか 偶然…』を披露した。「相棒コンビ」の愛称で親しまれている年長組の2人は、12thシングルの選抜発表後、悔しい気持ちをブログで語っていた。しかり、『See Through』でクールに、『まさか 偶然…』ではしっとりと聞かせるように歌い上げる姿は、ひなた坂46メンバーとして活動しているからこそ見られた光景だ。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

平尾と山下のデュエットパートに続くのは、濱岸のソロ歌唱。個人的には今回の「ひなた坂46ライブ」で一番印象に残っている時間だ。彼女が歌ったのは『居心地悪く、大人になった』と『孤独な瞬間』。両曲とも4月に卒業した一期生の齊藤京子のソロ曲で、濱岸と齊藤は“マブダチコンビ”として知られていた。笑いのツボが浅く、グループ随一のゲラである彼女が真剣な表情で、『居心地悪く、大人になった』では切なさを、『孤独な瞬間』では力強さを一音一音に込めて歌っており、横アリのステージでソロ歌唱を披露する姿に、彼女の日向坂46での7年間の全てが詰め込まれていたように感じた。12月5日(木)の全国ツアー福岡公演では、濱岸の卒業セレモニーが実施される。彼女が最後に見せる輝きに期待が高まるばかりだ。

ライブ中盤を締め括ったのはパワフルなパフォーマンスが魅力の2曲。平尾のソロダンスから始まり、ファンのコールと共にボルテージが高まる『ガラス窓が汚れている』と、曲中に「チッ」と舌打ちが入る『恋した魚は空を飛ぶ』だ。特に『恋した魚は空を飛ぶ』でセンターに立った森本は「倒れてしまうんじゃないか」と思されるほどの全身全霊のパフォーマンスを見せていた。振り乱す髪の隙間から見える険しい表情や、苦しみの先にある狂気さえ感じさせる微笑みは、他メンバーと一線を画す表現力だった。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介\
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

ライブ終盤は、キャッチーなノリの曲と、ファンとメンバーが一体になって熱狂する曲が交互に強襲してくる展開で、表現力の振り幅に驚かされた。山下センターの『Am I ready?』では、石塚や宮地、竹内たちのキュートな歌声で会場を和ませると、日向坂46随一のキラーチューンである『My fans』では一転して、清水理央と山口陽世が満面の煽り笑顔を見せていた。赤と青のめまぐるしく変わる照明も合わさり、2人の表情は脳裏に焼き付く中毒性の高いものだった。続く曲はアップテンポでコミカルな曲調の『雨が降ったって』。センターの高瀬が「ここからは私たちと一緒に手拍子で盛り上がってほしいです」と、『My fans』からの急展開でファンを翻弄し、最後まで飽きさせない。そして、満を持して山口がセンターに立って披露したのは、前作の「ひなた坂46」楽曲で、同期の髙橋未来虹がセンターを務める『錆つかない剣を持て!』。雷鳴轟くBGMと共に「ひらがな、ぶちかませ!」と山口が叫ぶと、観客はこの日一番の声量で応えた。ライブ終盤まで溜め込んだ爆発寸前の彼女の熱は、誰よりも激しいパフォーマンスとなって解き放たれていた。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

最後には、座長の宮地のスピーチを挟み、今作のひなた坂46楽曲である『君は覚えていない』が披露され、ライブ本編は幕を下ろした。アンコールでは『アザトカワイイ』や『知らないうちに愛されていた』、2日目にはおひさまたちの熱量に応え、Wアンコールまで突入。宮地はスピーチで「選抜落ちを経験し、葛藤から自分を見失った」と語っていた。そんな彼女が前を向くきっかけになったのが、『君は覚えていない』であり、「ひなた坂46LIVE」の座長経験だ。「四期生ライブ」で彼女のパフォーマンスから感じた“世界観を一瞬で塗り替える才能”。ライブの始まりと終わりでセンターに立った彼女は、今回の「ひなた坂46LIVE」の世界観を作り上げるのに必要不可欠な存在だったに違いない。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

「ひなた坂46」は発展途上の真っ最中だ。前作の「ひなた坂46」メンバーたちが踏み出した一歩目は、会場を横浜アリーナにステップアップさせるほど大きなものだった。宮地率いる12thシングルの「ひなた坂46」メンバーは、一歩目に負けない二歩目を踏み出さなければならない。ライブ開催直前に宮地のブログに綴られた「皆さんの熱量と、私たちの熱量が重なり合ってこそのひなた坂LIVEだと思っています」。この言葉通りのライブだったと筆者は感じている。「日向坂46の熱狂を担うのは私たちだ」。そう感じさせるステージだった。

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介

日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」Day2セットリスト

M1 雪は降る 心の世界に

M2 期待していない自分

M3 ホントの時間

M4 窓を開けなくても

M5 その他大勢タイプ

M6 何度でも何度でも

M7 抱きしめてやる

M8 まさか 偶然…

M9 居心地悪く、大人になった

M10 ガラス窓が汚れてる

M11 恋した魚は空を飛ぶ

M12 Am I ready?

M13 My fans

M14 雨が降ったって

M15 錆つかない剣を持て!

M16 君を覚えてない

EN1 アザトカワイイ

EN2 知らないうちに愛されていた

WEN1 君を覚えていない

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日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
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撮影=上山陽介
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
撮影=上山陽介
日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
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日向坂46「12th Single ひなた坂46 LIVE」より
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