「櫻坂46三期生ライブ」追加公演含めた4days完遂
櫻坂46 三期生による単独ライブ大阪公演が10月8、9日に大阪城ホールにて行われた。昨年11~12月に実施された『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』以来となる三期生による単独公演は、当初9月12、13日の東京・国立代々木競技場 第一体育館のみでの開催予定だったが、その盛況ぶりを受け急きょ大阪の追加公演が決定。残念ながら小田倉麗奈は腰の痛みにより東京公演から引き続き欠席となったが、同じく東京公演を休演していた向井純葉は楽曲を制限しての出演が実現した。
最終公演となる10月9日の大阪公演は、インターネット生配信も実現。向井&山下瞳月による影アナに続いて「Overture」が流れ始めると、会場のBuddies(櫻坂46ファン)の熱気は急加速していく。そして、いくつもの部屋が立体的に並ぶ雑多なステージセットにメンバーがひとり、またひとりと登場。最後に谷口愛季が登場、部屋のテレビをつけるとさまざまなメッセージが流れ始めて会場が暗転したのちに、谷口を中心にした編成で「承認欲求」からライブはスタートする。難易度の高いこの楽曲を、小田倉&向井を欠く9人という少人数で見事に表現。曲中盤では激しく切れ味の鋭いダンスパートをフィーチャーし、谷口の「全員叫べ!」という煽りとともに客席のボルテージはさらに加速していった。
ハードロック色の強いSEに乗せてメンバーがステージ上に散ると、続いて村井優をセンターに据えた「Nobody’s fault」へ突入。凛々しさや美しさをにじませたダンスと力強い歌声で観る者を惹きつけると、村山美羽の「最終日ですよ、そんなもんですか?」「Buddies、楽しめ!」という煽りを合図に「マンホールの蓋の上」へとつなげる。全身全霊のダンスで全力ぶりを見せるメンバーに対し、客席のBuddiesもクライマックスかのような盛り上がりで応えてみせた。
最初のMCでは中嶋優月が休演中の小田倉について触れ、「これからも三期生11人で活動していくために必要な決断だと思うので、これからも麗奈のことを温かく待っていてくれたらうれしいです」と客席に呼びかけた。続いて、前日からライブに復帰した向井に話題を振ると、「こうしてBuddiesのみんなに会えたことや、配信で観てくれているBuddiesの皆さんのことですごく元気になってきていて、今日がすごくすごく楽しみで。私、楽屋でもワクワクしていて、ずっとしゃべってたよね?(笑) それくらい皆さんと会うのが楽しみだったので、最高の時間を過ごしたいと思います」と喜びを伝える。さらに、中嶋の合図に続いて「純葉、おかえり!」と会場がひとつになって叫ぶと、「ただいまー!」の返事とともに思わず涙腺が緩む一幕もあった。
中嶋がセンターに立つ「僕たちのLa vie en rose」でライブは再開。ステージ上のメンバーは満面の笑みを浮かべながら、この可愛らしい楽曲を表現していく。この空気を引き継ぐ「確信的クロワッサン」では山下を先頭に向井を含むメンバー10人がトロッコに乗ってアリーナ中央まで移動し、観客の近くで優しい歌声を届けた。
キュートなポップチューンを連発したあとは、アリーナ後方に設置されたサブステージに谷口、的野美青、村井、村山、山下が登場し、クールなサウンドに乗せてダンスを披露する。そこから「Don’t cut in line!」になだれ込むと、的野を中心に大人びたパフォーマンスと歌声で独特の世界観を構築。続く「制服の人魚」では石森璃花、遠藤理子、小島凪紗、中嶋がシャボン玉の舞うメインステージで幻想的な空間を提示した。
その後、ステージに村山がひとり登場し、ピアノの音色が印象的なSEに合わせて華麗なソロダンスを披露。その空気を引き継ぐように「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」へ突入すると、彼女の情熱的な歌とダンスを軸にドラマチックなステージが展開されていく。向井を加えた10人でのパフォーマンスは、MV同様に机を用いた見応えのあるもので、ステージ後方まで埋め尽くされた満員の客席からは惜しみない声援が送られ続けた。この世界観を引き継ぐかのように小島を中心にとした「マモリビト」へ移ると、情熱的な歌とダンスとともに力強いメッセージを届けていく。曲中、センターの小島が「皆さんの生活の中で、ふとしたときに『櫻坂46のライブ、最高だったな。よし、今日も頑張ろう』、そう思ってもらえるだけでうれしいんです。これからも皆さん一人ひとりの人生に、そして櫻坂46に満開の桜を咲かせてみせましょう! 咲かない人はいない!」と語る場面もあり、新メンバーオーディションを行なっている今だからこその思いが詰まった言葉とパフォーマンスに、楽曲終了後も惜しみない拍手が送られ続けた。
ライブ中盤では、石森が現在の思いを伝える場面もあった。櫻坂46の全国ツアーなどでも会場として使われた国立代々木競技場 第一体育館や大阪城ホールに三期生だけで立つことに対し、石森は「三期生の間でも『正直不安があるよね』という話もしたんですけど、それでもやっぱり私たちはきっとお互いのことが大好きだし、そんな三期生のことをこんなにものBuddiesの皆さんが好きでいてくださっていることが日々伝わりますし、いつもカッコいい背中を見せてくださっている櫻坂46の先輩方のことがとても大好きで。私たちは今日、『皆さんに楽しんでもらいたいな』ってこのライブにすごく熱い気持ちを持って挑んでいて、『三期生ってすごく成長したな』とか『これから先もっとカッコよく、強くなるんだろうな』とか、そういういただいている期待をここで返せたらいいなという思いを込めて、このステージに立っています」と涙ながらにポジティブな思いを伝えた。
さらに、村山や遠藤がライブのリハーサル期間から現在まででメンバーをより好きになった話題や、会場を盛り上げるために村井中心に行われたゲームなどで、会場は温かな空気に包まれている。そんな和やかなトークを経て、ライブ後半戦はエネルギッシュなアップチューン「Anthem time」からスタート。一部メンバーはトロッコを使ってサブステージへ移動し、2つのステージを使って会場のオーディエンスを大いに楽しませた。その後、白い衣装に着替えた石森がステージにひとり登場し、激しいソロダンスで会場を沸かせると、彼女をセンターに迎えた「BAN」でBuddiesの熱気が一際高まっていく。また、谷口と村山が2つのステージで向かい合いながらダンスバトルしたかと思えば、野生チームと理性チームに分かれた三期生がメインステージとサブステージを使って「摩擦係数」の独特の世界観を再現。さらに、村井のダイナミックなダンスを大々的にフィーチャーした「Dead end」、山下のしなやかさが全面に打ち出された「自業自得」が連発され、三期生ライブは佳境を迎えた。
「自業自得」を終えひとり残った山下は、ステージ上のさまざまな照明を消して回る。そして、最後に自身がソファに腰掛けた部屋のライトを消すと、客席のペンライト含めて会場中の明かりがすべて消える。大阪城ホールがしんと静まり返る中、山下は薄暗いセットを移動しながらメンバーと合流し、向井を含む10人で「静寂の暴力」を全身全霊で表現。有無を言わさぬ圧倒的なパフォーマンスを前に、会場のBuddiesたちは全神経を集中させ静かに見守り続ける。そして、曲のクライマックスで無音状態がしばらく続き、会場が暗闇に包まれると、山下の「喋りたい願望を捨てて 沈黙を愛せるか」のセリフを経て会場が眩いほどの照明で照らされ、曲のエンディングと同時に客席から盛大な拍手が送られた。ステージ上の10人は手をつないで「本日は本当にありがとうございました!」と感謝を伝え、一旦ステージをあとにした。
(文/西廣智一)
Sakurazaka46 三期生ライブ セットリスト
- Overture
- 承認欲求
- Nobody’s fault
- マンホールの蓋の上
- 僕たちの La vie en rose
- 確信的クロワッサン
- Don’t cut in line!
- 制服の人魚
- 何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう
- マモリビト
- Anthem time
- BAN
- 摩擦係数
- Dead end
- 自業自得
- 静寂の暴力
<アンコール>
EN1. 引きこもる時間はない
EN2. 夏の近道
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