日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
8月27日~29日の3日間、日本武道館で日向坂46「四期生ライブ」が行われた。7月の「日向坂46時間TV」で発表されてから約1ヶ月。その間、先輩の卒業発表や最新シングルの発売決定、そして新メンバーオーディション募集開始など、どれも四期生の将来を左右する出来事が起きていた。また、9月7日、8日に宮崎県で行われる「ひなたフェス2024」に向けて、グループ全体の勢いを加速させる役割を担う彼女たち。そんな四期生の現在地と実力を測る試金石的な3日間だったに違いない。そんな3Daysの最終日の延長戦として、筆者が今回の「四期生ライブ」で感じたことをまとめておきたい。
日向坂46の未来を占う今回の「四期生のライブ」では、四期生楽曲はもちろん、過去のライブシーンをオマージュした演出や、先輩のポジションに立ってのパフォーマンスなどが披露され、会場や配信で観たおひさま(日向坂46ファンの総称)たちは、彼女たちの成長を実感し、更なる期待を感じたはず。
ライブ開始直後から気になったのは、過去のライブのオマージュ演出。四期生がソロダンスで登場する演出は、2018年に「けやき坂46」(日向坂46の前身)が初の武道館単独ライブを行った際の、二期生登場シーンがモチーフになっている。元々は「欅坂46」との合同ライブの予定だったが、アクシデントで急遽、「けやき坂46」だけの出演となり、試練とチャンスが彼女たちに巡ってきた。間違いなくグループの転換点であり、同じ会場で3日間、同じ演出を披露したことに気づいたファンも多かっただろう。
冒頭3曲では四期生加入前の楽曲が披露された。グループの顔になった正源司陽子がセンターに立つ『どうして雨だと言ったんだろう?』から始まり、2曲目の『月と星が踊るMidnight』では、4月に行われた『5回目のひな誕祭』に続いて小西夏菜実がセンターに立った。彼女はブログで「四期生が『月星』を歌うことで(齊藤)京子さんの意思を引き継ぎ、京子さんが卒業しても『日向坂の未来を四期生に任せられる』と思っていただけるようパフォーマンスをしなければならない」と思いを綴っていた。その熱い思いが新たな『月星』を生み出していた。
3曲目の『青春の馬』でセンターに立ったのは清水理央。研修生時代から歌ってきた同曲は、昨年の11月に行われた「新参者」公演で、四期生の底力を見せつけた一曲だ。今回は更にバージョンアップしており、間奏では清水がメンバー1人ずつとペアダンスを披露するパートが追加。従来の『青春の馬』から更に進化した姿を見せ、四期生の成長が冒頭3曲目にして発揮されていた。
MCコーナーを挟んでの4曲目からは、曲調が一変、グループの代名詞である「ハッピーオーラ」全開で観客と一緒に楽しむ曲が続いた。平尾帆夏のセンター楽曲『ロッククライミング』や、竹内希来里と渡辺莉奈の人形劇から始まる『君しか勝たん』。特に『君しか勝たん』ではメンバーが大道芸を披露した。この演出も、一期生が2016年の『欅坂46デビュー1周年記念ライブ』の出演時に、大道芸を習得したことにちなんでいる。
『真夜中の懺悔大会』では石塚瑶季が寸劇で盛り上げて、メンバーの藤嶌果歩に謝罪して再びMCコーナーへ。見ていて気になったのは山下葉留花のテーピングだ。山下は『4回目のひな誕祭』前に怪我をし、ライブを欠席。その後、怪我の影響で「新参者」の10公演中9公演で全曲ステージに上がることができず、「本当に、本当に悔しい気持ちでいっぱいです」と悔しさを吐露していた。山下以外にも満身創痍のメンバーはいただろう。しかし、彼女たちは決して辛い表情を出さず、トーク中も山下は相変わらずの天然ぶりで会場を湧かしていた。
衣装が変わると、再び聞かせる楽曲が続く。『川は流れる』で平岡海月、『シーラカンス』で正源司陽子、『ガラス窓が汚れている』で宮地すみれがセンターに立った。特に『シーラカンス』では、やっと正源司の本当の姿を見られた気がした。それまでの彼女は、楽曲の世界観に没入して、自分のオーラを消していた印象だった。しかし、『シーラカンス』の最後に、正源司が1人でリフトに乗って上がっていく姿からは、圧倒的な主人公オーラが溢れ出しており、グループの顔となった彼女の真骨頂が見られた。リフトが頂点に達すると、正源司は口パクで何かをつぶやいていた。3日間とも違う言葉を発しており、2日目の終演後には公式Xで「いくよ」と言っていたことが明らかになっている。最終日のペンライトでいっぱいになった会場を見て、彼女は何と言ったのか。SNSでは予想が飛び交っており、彼女から3日目の言葉が明かされることを待っている。
『ガラス窓は汚れている』は、宮地すみれのソロダンスから始まった。前曲で正源司の世界になったステージを、彼女はバレエで培ったしなやかな踊りで自分のものに変えていく。しかし、そこに『ガラス窓が汚れている』のイントロが加わると、彼女の表情は一変し、同曲の強いメッセージが込められた世界観を一瞬で作り上げた。彼女には世界観を一瞬で塗り替える才能がある。普段の彼女は、『日向坂で会いましょう』でのぶりっ子キャラの印象が強いが、ステージに立つと四期生イチのパフォーマーになりうる。彼女の本当の姿はどこにあるのか? 彼女の表現力の振り幅をまざまざと見せつけられた。
ここまで、11人全員でステージに立ってきたが、続く『夢は何歳まで?』、『You’re in my way』では2チームに分かれてのパフォーマンスに。より少ない人数でのパフォーマンスは、各メンバーにプレッシャーが降りかかるが、ここまで駆け抜けてきたメンバーは何の問題もなかった。『ガラス窓が汚れている』の勢いそのままに駆け抜け、中盤ブロックの最後には満を持して、グループ最年少の渡辺が『アディショナルタイム』でセンターに立った。四期生ライブ初日に彼女の“覚醒に注目した記事をこちらでお届けしていたが、彼女はその期待を裏切らない圧巻の姿を見せてくれた。終演後に公開された同曲のパフォーマンス写真での彼女には、日向坂46の未来が詰まっていた。最後には不敵な笑みを浮かべ、『川は流れる』からの中盤ブロックを締めた彼女は、やはり“覚醒”していると言わざるを得ない。
本編最後のブロックは、グループ最強のキラーチューンの『キツネ』から始まり、最新の四期生楽曲『夕陽dance』まで一気に駆け抜けた。『キツネ』で日向坂46の代名詞である「ハッピーオーラ」を全開にし、『雨が降ったって』では『月星』の世界観と一変して、コミカルな空気を小西が作り上げた。正源司の『君はハニーデュー』で更に勢いを増し、『見たことない魔物』では、この日初めて藤嶌が単独センターに立ち、四期生の空気を作り上げる。そして最後の『夕陽dance』で最新・最強の四期生の姿を見せてくれた。
本編最後には、メンバー1人ずつがステージ2階に駆け上がって挨拶。「キャッチフレーズに合わせた一言」や「おひさまへの挨拶」、「皆さんと共に進んでいきたい」などの言葉を紡いで締めくくった。
これだけでも大満足だが、おひさまたちの熱狂は収まらずアンコールに突入。『アザトカワイイ』、『NO WAR in the Future』と、先輩たちの楽曲を披露し、最後に四期生の始まりの歌である『ブルーベリー&ラズベリー』で締められた。披露前には平岡が「ちょっとでも長く一緒にいたいので、“四期生”の円陣をしましょう」と提案し、マイクを通さず、観客のコールを合わせての円陣を行っていた。その姿からはまさしく、「新参者」公演で日向坂46四期生から生まれた、「一体感」に満ち溢れていた。
『ブルーベリー&ラズベリー』の披露後、改めて感謝を伝えたメンバーたちが退場して、終演かと思われたが、おひさまたちのコールは収まらず、3日間で初のWアンコールが行われた。披露されたのは会場にいる全員が一体になれる、『誰よりも高く跳べ!2020』。イントロでメンバーが手を繋いで円を作って回り始める演出も、6年前の一期生オマージュであり、先輩たちの歴史を受け継ぎ、四期生バージョンの新生『誰跳べ』で3日間を締めくくった。
最終日を鑑賞して思ったのは、この期には「センターがいない」ということ。これは決して「実力がない」と言いたいわけではない。これまで、四期生楽曲や表題曲でセンターに立ったメンバーはいる。これからセンターに立つメンバーもいるだろう。今回のライブで全メンバーにその可能性を感じた。メッセージ性のある曲で真価を発揮するメンバーもいれば、「ハッピーオーラ」全開で盛り上げる曲が向いているメンバーもいる。四期生の特徴は多様な性格やオーラの持ち主が集まることで、互いに補い合い、高め合うことで、ひとつのものを作り上げることができる。だからこそ彼女たちには「一体感」という言葉が似合うのだ。
加入から約2年、試金石となる3日間を乗り越えたメンバーたちの自信溢れるパフォーマンスをこれからも追い続けたい。
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