私立恵比寿中学・仲村悠菜「えびちゅうのオーディションに受からなかったら…」グループ加入までを振り返る
私立恵比寿中学・仲村悠菜にインタビューを実施。背水の陣で臨んだオーディション、そしてグループ加入後の忘れられないライブの思い出。涙と笑顔の歴史を改めて振り返ってもらった。
落選続きの日々
――仲村さんは、幼少期からアイドルになりたかったんですか?
仲村悠菜 AKB48さんや乃木坂46さんが流行っていて、普通に好きでした。でも、ちっちゃい頃になりたかったのは看護師さんです。保育園生の頃とか、めちゃくちゃ体が弱くて、入退院を繰り返したりしていたので、そのときに自分のことをお世話してくれた看護師さんに憧れて、自分も看護師さんになりたいと思っていました。
――そんな仲村さんがスターダストプロモーションに入所したのは、小学4年生のときなんですよね?
仲村悠菜 地元の福岡にあるイオンモールで大きなオーディションがあって、その頃にはアイドルやモデルさんにも興味があったので、受けに行ったんです。そしたら、オーディションに参加する前にスカウトされました。オーディションに参加するための整理券を受け取ったあと、待ち時間にドーナツを食べているときに声を掛けられたんです(笑)。
――入所後はどんな活動を?
仲村悠菜 入る前はアイドルかモデルさんになりたかったんですけど、入所してから最初に受けたのがお芝居のオーディションで、そこでお芝居の楽しさに気づいたんです。そこからはお芝居の道を本気で目指し始めました。だから、えびちゅうに入る前は歌もダンスもレッスンを受けたことがないんです。
――演技の道を本気で目指していたのに、えびちゅうの新メンバーオーディションに参加したのは、どうしてなんでしょう?
仲村悠菜 入所後は、毎週末に福岡から東京に行ってオーディションを受けていたんです。でも、なかなか結果につながらなくて、2年ぐらい落ち続けて、やっと1本決まったぐらいでした。その1本のあともなかなか結果が出なくて、じゃあもう演技の道はあきらめて、もう1つの夢だった看護師さんになるためにしっかり勉強しようと思っていたんです。そんな時期に、えびちゅうの新メンバーオーディションが開催されることを知って、「えびちゅうだったら入りたいな」と思いました。
――えびちゅうだったら?
仲村悠菜 そうです。えびちゅうは事務所の先輩としてもちろん知っていたし、えびちゅうの曲も好きで聴いていました。だから、えびちゅうの曲が歌いたいから、えびちゅうだったら入りたいなと思ったんです。
――オーディションにはすぐに応募した?
仲村悠菜 けっこう悩みました。それまでの5年間、東京までの交通費とかで親にいっぱい迷惑をかけてるし、それなのに全然オーディションに受からない現実があったので。でも、お母さんに「迷ってるなら、最後に受けたほうがいいんじゃないか」って言われて、じゃあ最後に受けてみようと思って、募集期間のかなりギリギリのタイミングで、自分で決心して応募しました。応募する直前に、当時のマネージャーさんに許可を取って。
――本気で最後にするつもりだった?
仲村悠菜 はい。これが最後のオーディションだと決めていたし、落ちたら高校受験の勉強に集中しようと思っていました。6月にオーディションがあって8月に最終審査だから、落ちてもそこからだったら受験勉強も間に合うなと思ったので。もし最終オーディションが10月とかだったら、受けてないかもしれないです。もっとあと、1月ぐらいになっていたら、もう絶対に受けてないですね。
振り絞る最後の力
――その後、最終オーディションの合宿に進んで合格という結果を手にし、えびちゅうの新メンバーになりました。
仲村悠菜 合宿はすっごいしんどくて、めっちゃきつかったです。課題曲の歌と振付とフォーメーションをみんなで覚えて、それ以外に演技レッスンやソロ配信があって、夜は自主練をしたりで、本当に寝る時間もなくて。しかも、受からなかったらこれで最後だと思って受けているので、体力的にもきつかったけど、精神的にしんどかったです。
――本気で最後だと決めていたんですね。
仲村悠菜 当時のマネージャーさんにも、「これで最後にします」と話していました。それまではやめたいと言っても止められていたんですけど、このときは「5年間、ずっと頑張ってきた姿を見ているし、これを最後に受からなかったらやめてもいいと思う」って。だから、えびちゅうのオーディションに受からなかったら、私の芸能活動はおしまいでした。
――体力的にも精神的にもきつかった一方で、手応えも感じてはいた?
仲村悠菜 まったくです。一緒にオーディションを受けていた(桜井)えまを見たときに、「自分は絶対に落ちる」って思いました。えまは、歌もダンスも完璧だったので。
――結果的にはその桜井さんとともにえびちゅうに加入して今に至るわけですけど、桜井さんを最初に認識したのは?
仲村悠菜 合宿初日に参加者全員でオリエンテーションを受けたときに隣の席で、えまのほうから話しかけられました。「同い年だよね?」って聞かれて、「うん、中学3年生だよ」って言ったら、「高校、私立と公立どっちにする?」って(笑)。自己紹介とか挨拶もなしでいきなりそれだったから、「何を言ってるんだ、この子は」って思って、それで覚えたんです。そんなこと聞いてくるぐらいだから、今から合宿が始まるのに、この子はめっちゃ余裕なんだなとも思いました。
――不思議な出会いですね(笑)。
仲村悠菜 ずっと不思議でした。合宿中は、そんなにしゃべったこともなくて。でも、LINEだけは交換していたんですよ。最初に送られてきたのは、どこの国なのかわからない言葉のスタンプでした(笑)。それを見て、すごく不思議な子なんだなって(笑)。
――体力的にも精神的にもきつくて、桜井さんの歌とダンスのスキルの高さを目の当たりにして、「自分は絶対に落ちる」とまで思っていた合宿を乗り切れた理由は?
仲村悠菜 「これに落ちたらおしまいだ」ってムキになっている自分プラス、4日間のオーディションを通して私を応援してくれる人ができたこと、「好きだから、絶対に受かってほしい」っていう言葉です。オーディション中、絶対やらないほうがいいのにエゴサしちゃったんですよ。絶対に悪いこと言われてると思って……実際、新メンバーが入ることが嫌なえびちゅうファンの方もいたんですけど、応援してくれている人もいて。その人を見つけたときに、どんなにきつくても頑張ろうって思いました。
取材・文=大久保和則