僕が見たかった青空・木下藍、初めて明かす…病棟で過ごした幼少期
乃木坂46の公式ライバルグループとして誕生した「僕が見たかった青空」の木下藍にインタビューを実施。メンバーお披露目会での号泣あいさつで注目された、グループ最年少組14歳の木下藍。幼少期のほとんどを病院で過ごした少女は、身体的ハンデを抱えながらも、なぜアイドルという道を選んだのか。これまで明かしてこなかった自身の境遇と、あの涙の裏に隠された真意について語ってもらった。
病棟で過ごした幼少期
木下藍 (机の上にキャンパスノートを広げながら)よろしくお願いします。
――それは何のノートですか?
木下藍 今日話したいことを書いてきました。
――インタビューで聞かれる質問を想定して準備してきたんですか?
木下藍 というよりは、自分が話したいことについて考えて、ノートにまとめてきました。
――見開きびっしり文字が書いてありますね!
木下藍 はい(笑)。
――ちなみに一行目には何が書かれているんですか?
木下藍 「今日はこのようなインタビューをしていただきありがとうございます」。
――いえいえ(笑)。
木下藍 まずは感謝の気持ちをきちんと伝えなきゃと思って。
――こちらこそ、事前にまとめてきてくださってありがとうございます。では、せっかくなのでノートに綴った思いを聞かせてもらえますか?
木下藍 えっと、私は……初めて(インタビューで)こういう話をするんですけど……生まれた時から身体が弱くて、これまで運動もあまりしてこなかったんです。僕青に加入してから激しいダンスをするようになって、足をくじいたりすることもあって、いつもメンバーに迷惑をかけてしまっています。「この道に進んでよかったのかな?」とかいろいろなことで迷ってしまうこともあったのですが、でも、やっぱり僕青の活動を頑張りたい! という思いがすごく強いので、今は僕青に一番力を入れて取り組んでいます。
――なるほど。これまで語ったことはなかった?
木下藍 今まで話す機会がなかったんですけど、もし個人のインタビューがあれば、その時に話そうと思っていました。この機会を逃してしまったら、もうないような気がしたので。
――とても大事な話だと思うので、ひとつずつ聞いてもいいですか?
木下藍 はい。もちろんです。
――子どもの頃は病気がちだったんですか?
木下藍 ちっちゃい時に大きな病気にかかって手術をしました。はっきり覚えていないんですけど、けっこう大変な手術だったらしくて、病院に長く入院をしていました。同じ棟にいる小さい子たちも重い病気だったんですけど、その子たちと仲良くなって、棟の勉強をするスペースで一緒に勉強をしたり、絵本を読んだり、海外の子に英語を教えてもらったりしていました。
――外で遊ぶことはできなかった?
木下藍 入院中はできませんでした。でも、病院の先生や看護師さんもすごく優しい方ばかりだったので、あまり気にならなかったです。
――夏休みに海や山へ出かけたり、遊園地へ遊びに行けなくて寂しい思いをしたのでは?
木下藍 でも、同い年くらいの子たちと一緒に遊んでいれば、充実していて楽しかったので、「遊びに出かけられて羨ましいなぁ」と思うことはあまりなかったです。
――小学校の体育の授業は見学していたんですか?
木下藍 お医者さんには「運動は控えてください」って言われていたんですけど……やってました(笑)。小学校の体育の授業は、そこまで激しい運動がなかったので。
――50メートル走とかは?
木下藍 そのくらいは大丈夫でした。退院したあとは健康のためにバレエを習ったり、ピアノや絵画教室などの習い事もたくさんさせてもらっていました。ひとりっ子ということもあって、両親が私にいろんな経験をさせてくれたんです。幼稚園や小学校の受験もさせてくれて。
――ご両親が教育熱心だったのでしょうか?
木下藍 「勉強しなさい」って言われたことはなくて、自分で受験したいと思いました。迷ったんですけど、最終的には「神様も見てくれているし、頑張れば結果はついてくる」と思って受験しました。
――早熟すぎます!
木下藍 でも、幼稚園受験は勉強とかじゃなくて、会場に上がるまでに靴をきれいにそろえられるかとか、困っている子に積極的に話しかけにいけるか、みたいなテストなので。
――小学校受験はペーパーテストや面接もありますよね?
木下藍 小学校はそうですね。テストも面接もちゃんとできていたと思います。
――子どもの頃から勉強が好きだったんですか?
木下藍 嫌いではなかったです。昔からずっと英会話のレッスンを受けていて、外国の方とオンラインでお話しするんですけど、すごく楽しいんです。でも、勉強でつまずいたこともたくさんあります。テストでいい点数を取れなかったり、頭のいい子たちに比べると自分はまだまだなので、もっと勉強を頑張らなきゃと思うことも多いです。
――向学心がすごいですね。新聞も読みます?
木下藍 新聞はあんまり読んでないけど、ニュースはチェックしています。政治とか環境問題とかに興味があります。学校でSDGsについて話し合いをする授業もあったんです。専門の先生も来てくれて、レポートを書いたりしました。
――ご両親は、木下さんにグローバル人材になってほしいという願いがあった?
木下藍 特に言われたことはなくて、「自分のやりたい職業を見つけて、自分で決めなさい」って言ってくれます。ただ、小さい頃からよく海外に連れて行ってもらっていました。
――家族旅行ですか?
木下藍 はい。普通に観光なんですけど、いろんな国に行きました。
――思い出に残っている国は?
木下藍 一番印象に残っているのはインドです。映画館にインド映画を観に行きました。言葉が全く分からないので、ストーリーは理解できなかったんですけど、面白かったです。
――ダンスしてました?
木下藍 たくさんの人が踊ってました(笑)。
取材・文/宮田英一郎