北香那、運命の出会いは“バイプレイヤーズ”のジャスミン役「役者として第一段階成長できたような気がします」
故・蜷川幸雄氏から芸術監督のバトンを引き継ぎ、彩の国シェイクスピア・シリーズを完結させた俳優の吉田鋼太郎が新たに立ち上げる“彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd”が、いよいよ始動。埼玉・彩の国さいたま芸術劇場の開館30周年記念である第1弾「ハムレット」は、5月7日(火)から26日(日)まで、彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで上演される。
クローディアスを演じる吉田が上演台本と演出も担当し、柿澤勇人がハムレット役で主演を務める。そんな本作に、放送中のドラマ「先生さようなら」(日本テレビほか)や映画「春画先生」などの話題作に出演し、5月には映画「湖の女たち」の公開も控えている北香那がハムレットの恋人・オフィーリア役で出演。このほど北にインタビューを行い、出演が決まった時の思いや役との向き合い方、自身の転機となった“運命の出会い”について語ってもらった。
――舞台「ハムレット」のオフィーリア役が決まった時の率直な感想をお聞かせください。
北香那:最初はどっきりなのかなと思いました。私がオフィーリアを演じるなんて何かの間違いじゃないかなって(笑)。オーディションを受けるのかなと思っていたらオフィーリア役としてお話を頂いたので、それを知った瞬間は胸がはち切れそうなくらい満たされたことを覚えています。
――俳優として、シェイクスピア作品への出演は特別な思いがありますか?
北香那:演じる側としては、足も踏み込めないような世界というイメージがありました。私自身も役者としてすごく名誉なことだと思っています。
――「ハムレット」という作品にはどんな印象を持っていますか?
北香那:作品を深く知る前はハムレットの復讐(ふくしゅう)劇なんだなと思っていました。でも、台本を読み進めていく中で、ただの復讐だけではなく成長過程の青年が復讐をしていく物語なのかなと。そこに他に意味もあり、「ハムレット」という作品に尊さを感じました。
ハムレットを取りまく登場人物1人1人に守りたいものや触れられたくないもの、正義などがあって、みんなとても人間らしい。それが痛々しくもあり面白いところ。だからこそ、結末を知っていても楽しめるんだと思います。
セリフに関しても心情を言語化した面白味のようなものを感じていて、映像作品だと表情で見せたりする場面でも説明する言葉が多いことに気付きました。
――言語に感情を乗せる演技は難しそうですね?
北香那:きっと苦労をするんじゃないかなと思っています。でも、苦労をするためのお稽古。しっかり地に足を着けながら演じていきたいです。
――これから稽古に入るということですが、現時点ではどんなふうにオフィーリアという役と向き合っていますか?
北香那:今は、とにかく台本を読み込むことが大事。オフィーリアに共感するところから始めたいのですが、知れば知るほど最後は悲惨な結果になってしまう・・・んだなと。物語の最初ではすごく明るくて素直なお姫様のようなキャラクター。でも、“大きな嵐”に巻き込まれて壮絶な人生を送るはめに。そこの落差のようなものをきちんとつけてやっていきたいなと。演じるという意味では、それが1つの楽しみ方なのかなと思っています。
――1つの役ですけど、劇中では全く違う顔が出てくるようなイメージですか?
北香那:同じ人間なんですけど、全然違う人になっているような感じ。昔から取材などでどんな役をやりたいか聞かれた時に多重人格のようなキャラクターに挑戦してみたいと話していたんです。その夢が今回のオフィーリアで叶うのかなって。1つの役の中で違う面を演じ分けるお芝居を楽しみたいです。
――台本を読み込む他に準備することはありますか?
北香那:声の出し方と気持ちのトレーニング。今回のようなすてきな環境でオフィーリアとして生きることができるのなら絶対に楽しみたいんです。もちろん、つらいことはあるだろうし、分からないこともたくさん出てくると思いますが、それすらもアトラクションに乗っているような気持ちで楽しみたい。そのマインドを大事にしたいです。
――どんな時も楽しもうとするマインドはどんなふうに培っていったんですか?
北香那:以前は、私にこの役ができるのだろうかと考えることのほうが多かったような気がします。でも、そういうことを思うより楽しんだほうがいいのかもしれないと思って。そう考えるようになったら自然と気持ちも楽になりました。
――役に引っ張られることもないんですか?
北香那:もともとそういう経験はなかったです。現場が終わったらロケット鉛筆のように覚えたセリフが飛んでしまいます(笑)。だから、今回もオフィーリアを演じて皆さんと「ハムレット」を作り上げていったという思いは記憶に残ると思います。千秋楽が終わったらセリフはロケット鉛筆のように飛んでいくかもしれません。
――共演者であり、本作の演出家でもある吉田鋼太郎さんの印象は?
北香那:すごく優しい方で、ニコッて笑ったときの目が意外につぶらなんだなと思いました。稽古では自分が考えた芝居を見ていただいた時にいろんな演出を足してくださると思うんです。それを自分なりに調理してかみ砕いていきたい。挑戦したいし、学びたい気持ちが強いので分からないことが出てきたらどんどん聞いてみたいです。
――ハムレット役の柿澤勇人さんとは大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)で共演されていますね?
北香那:今日もお会いした時に気さくに話し掛けてくださって。これから稽古、本番と一緒にお芝居できることを楽しみにしています。
――まだ「ハムレット」に触れたことがない人に向けて、作品の魅力を教えてください。
北香那:「シェイクスピア」「ハムレット」って聞くと難しそうとか、理解できないかもって思う方がいるかもしれないですけど、物語の進み方に無理がないというか、1つ1つ段階を踏んでいくのでスッと話が入ってくると思います。
目で見て感じながら自然に最後まで走り抜けることができるので置いて行かれるような心配はありません。難しいセリフがたくさん出てくるかもしれないですが、ちょっとだけ作品の世界観を勉強してから見ると、より深く楽しめるような気がします。
これまで、何度も舞台化や映像化されていますが、演じる人によってキャラクターの味が変わるし、作品の雰囲気も違ってくる。そういう意味では、私が演じることで新しいオフィーリアを生み出せたらいいなと思っています。
――人や作品など、大きな転機となった“運命の出会い”はありますか?
北香那:私にとっては、ドラマ「バイプレイヤーズ」(テレビ東京系)です。それまでは500個くらいオーディションを受けても全然受からなくて。中国人のジャスミン役に選ばれたことで役者として第一段階成長できたような気がします。大先輩の俳優さんたちとの出会いもありましたし、自分の運命を変えた作品です。
――バイプレイヤーたちとジャスミンのやりとりは、とても楽しかったです!
北香那:劇中では「オイ、オマエ!」とか言っていましたけど(笑)、ものすごく緊張していたんです。でも、皆さんが優しく接してくださって、とても楽しい現場でした。
――舞台の稽古など、これから大変な毎日が続くと思いますが、自分なりのリラックス法はありますか?
北香那:オンとオフの切り替えを意識したことはないですけど、愛犬と散歩したり、キックボクシングは気分転換になっていると思います。あとは、お笑いが大好きなので芸人さんのラジオを聴いたり、YouTubeを見たり。ライブを見に行くこともあります。
――ちなみに今、ハマっている芸人さんは誰ですか?
北香那:軍艦という大阪の漫才コンビが好きです。
――大阪に行くこともありますか?
北香那:時々、ふらっと大阪に行って劇場でお笑いのライブを見たり、おいしいものを食べたりするんです。その自由な1人旅も気持ちの切り替えになっているのかもしれません。
――もうすぐ「2024年度」が始まります。新しく挑戦したいことはありますか?
北香那:新年度という意味では、今回の「ハムレット」が大きな挑戦。これから、毎日のように稽古があって本番へと続いていく。まるで学校や会社に通っているような感覚。ある意味“新1年生”ですし“新社会人”。皆さんと一緒に頑張って行きたいです!
◆取材・文=小池貴之/撮影=月島勝利/スタイリスト=ゴウダアツコ/ヘアメイク=大和田一美
■「ハムレット」公式サイト
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