ノイミー5周年ライブで感じた、“12人”にこだわる理由
タレント・指原莉乃がプロデュースする12人組アイドルグループ「≠ME」(ノットイコールミー・通称ノイミー)。2024年3月3日、グループの結成5周年を祝うコンサート「≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」(以下5周年ライブ)が、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて開催された。
2022年2月23日の「≠ME 3rd ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」(以下3周年ライブ)、2023年3月31日の「≠ME 4th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」(以下4周年ライブ)に続き、グループの周年を祝うライブは今回で3回目となる。しかし、それらと今回の5周年ライブが違う点は、グループのメンバー12人が「完全に」そろった状態で公演ができたという部分にある。
というのも、3周年ライブはメンバーの櫻井ももが体調不良により当時活動を休止していたため全面欠席、4周年ライブは川中子奈月心が腰痛のため公演の一部のみの参加だったからだ(学業により活動休止していた永田詩央里は本公演にて活動を復帰し、フルでの出演となった)。
同じ指原莉乃プロデュースによる姉妹グループである=LOVE(イコールラブ・通称イコラブ)、≒JOY(ニアリーイコールジョイ・通称ニアジョイ)と同様、ノイミーは「グループ全員が横並びであること」が強く意識されている。メンバーそれぞれのキャラクターを生かしたセンター曲やソロ曲、ユニット曲が豊富で、イコラブとノイミーにおいてはメンバー全員、自身がセンターを務める曲を1曲以上は持っている。
さらに、各曲の歌割はメンバーのソロパートが大部分を占め、ダンスにおいてもセンターに立つメンバーが流動的に変わるフォーメーションによって一人一人の個性を際立たせている。
このように、それぞれの性格や歌、ダンスの特徴を生かせるように楽曲が発表されることは、大人数アイドルグループにはない強みともいえるだろう。
そして、そんなイコノイジョイ3グループの中でも、「メンバー全員がそろっていること」に最も重点を置いているのがノイミーであり、年々その意識が強くなっていっているのではないかと個人的に感じている。
3グループの中で、ノイミーだけが結成当初の人数を変えぬまま活動を続けている。しかし、前述の通り、グループはこの5年間で12人全員がそろってパフォーマンスをできない期間がたびたびあった。
3周年ライブの当日には『虹が架かる瞬間』がYouTubeで発表され、不参加の櫻井の復帰を待つメンバーやスタッフの思いが伝わるものとなった。実際に3周年ライブでも披露され、メンバーの背後のスクリーンでは活動休止前の櫻井の映像が流され、あえて櫻井のパートは誰も歌わないという演出もされた。
グループが迎えた初めてのメンバーの活動休止という事態を前にしながらも、結成3周年という節目でのライブだったからこそ「これまでの活動は12人だからこそ続けられたし、これからも12人分の気持ちと力を背負いながら進みたい」というメッセージを伝えたかったのではないかと思う。
メンバー自身も、12人全員がそろっていない際には口をそろえて「たとえ休んでいるメンバーがいたとしても、気持ちとパフォーマンスは12人分で届けたいし、そう感じ取ってもらいたい」ということを強調してきた。長期の休業だけでなく、誰かが体調不良となりイベントを急きょ休むことになった場合でも、だ。
実際、グループのリーダーである蟹沢萌子にインタビューをした際にも、次のように話していたことが強く印象に残っている。
「言葉だけにはなりたくないなっていうのはすごい思ってて。だからこそ、本人にとって負担にならない程度にいっぱいコンタクトを取れたらな、ずっと一緒だよっていうのが伝わっててほしいなって思って、一緒にお出かけや食事に行ったりしました。私たちがステージで12人だよって言っていても、お休みしてるメンバーが『お休みしてるしな……』っていうふうに思わせたくないなっていうのは結構あったので。皆さんにも『心は12人です』っていうふうには伝えてたんですけど、実際にも12人なんだよっていうのを伝えたいなって思って」
そうして12人がそろった状態で迎えた5周年ライブは、1曲目『天使は何処へ』で幕が開いた。青春感あふれるこれまでの表題曲とは打って変わり、「私は私」というガールクラッシュの要素を強く打ち出した曲であり、初披露となった1年前よりもさらに洗練され、時には余裕すら感じられる表現力で観客を圧巻した。
さらに、グループ史上最高難易度の楽曲の一つである『アンチコンフィチュール』では、高いダンススキルと歌唱力をいかんなく発揮し、まさに5年間をかけてグループが到達した現在地を示す1曲となった。
また、中盤の「超絶可愛い注意報」のアナウンスとともに始まった『想わせぶりっこ』では、女の子らしさ全開のパフォーマンスを披露し、あざとかわいい表情や動きで会場のボルテージはマックスとなった。
いずれも2023年に発表された挑戦的な表題曲だが、どれも一度見ただけでは飽き足らず、メンバー一人一人にフォーカスして、表情や手足の動き、歌い方など、それぞれのこだわりが詰まった細かい部分まで何度も見たくなるパフォーマンスに仕上げられていた。そして、それらの個性が組み合わさることで、グループの大きな爆発力に変わっていた。
5年という短くはない年月、そこに12人の個性が掛け合わされたからこそ生み出された化学反応が、そこにはあった。誰一人の気持ちも取りこぼさないようにとメンバーのことを強く想い、どんな時もみんなで手をつないで走り続けてきたノイミーの絆と夢が輝いていた瞬間だった。
2024年、グループは6年目に入る。一人一人が5年間で培った実力をここからさらにどう磨き上げて行くのか、それによってグループがこれからどんな挑戦を続けるのか、楽しみに見守りたいと思う。
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