アイドルにとっての「選抜」と「歌番組」
大所帯アイドルのメンバーにとって、誰もが最初の憧れとして掲げるのが楽曲の「選抜」ポジション。その先にはもちろん、音楽番組への出演を通してグループや自らを「見つけてもらいたい」という願いがあるだろう。メディア露出という限られたパイを奪うために、彼女たちに必要なことは何かを考えてみた。
お茶の間の影響力
2月28日、SKE48にとって32枚目となるシングル『愛のホログラム』が発売された。『BUBKA4月号』では、発売を記念してTeam SのMV撮影密着、初選抜3人のインタビュー、入内嶋涼の初水着ソログラビアが掲載され、大特集が組まれている。
今回、2作連続でセンターに立つ末永桜花、選抜常連の熊崎晴香、菅原茉椰、髙畑結希、計4名のコメントを交えながら話を展開していく。
今月のテーマは「アイドルと歌番組」だ。
シングルが発売される1~2か月前になると、どのアイドルも取材が組まれる。今作のSKE48は2回に分けて、選抜メンバーが上京し、各媒体の取材を受けている。グラビアと密着以外は、本誌もそのタイミングで取材させてもらっており、個人的には他誌でも取材しているので、延べ30人の声を聞いた。
シングル発売時の定番の質問として、「このシングル期間中にしたいことは?」というものがある。今回もそんな質問を投げかけてみた。それもこれも、今回取り上げるための声を集めたかったからだ。
センターの末永には、「前作も気にしていた歌番組は、今回はどうなんですかね?」と質問してみた。すると、こんな答えがあった。
末永桜花 今の段階(1月下旬)ではまだ話を聞いていないんです。前作でスタッフさんが頑張っていなかったわけではないと思うんですよ。タイミングとかいろいろなものがあるから仕方がないとは思うんですけど、やっぱりセンターで歌番組に出たかったので悲しい気持ちはありましたし、だいぶ落ち込みました。前作で残せなかった分、今作は歌番組、できれば全国放送に(自分がセンターだという)記録を残してあげたいです。
この質問は、昨年放送された『ゼロポジ』(現在は放送終了)での一コマに端を発している。8月5日から3回にわたって放送された討論会企画で、末永は「一つひとつのことに手を抜かないで、そういう気持ちは大事だし、持ち続けていかないと、歌番組どころかCDも出せなくなっちゃう」と危機感を吐露したのだ。
末永にはこんな成功体験がある。
末永桜花 歌番組に出た時、「あのツインテールの子、誰だろう?」ってSNSに書いてもらえることが多くて、すごく手応えを感じるんです。私だけじゃなく、他のメンバーが見つかるきっかけにもなるし、歌番組を見ている方ってアイドルが好きな方も多いと思うので、ファンを増やせるきっかけになるんじゃないかなと思います。
それはそうだろう。通常の劇場公演ともお話し会とも温度が違った反応が返ってくる。それが歌番組への出演だ。メンバーにとってそれは晴れ舞台である。可能ならば、そんな番組に出演したいと考えるのは当然だ。
選抜常連3人にとって、シングルをリリースすることにどんな意味があるのか、聞いてみた。
熊崎晴香 シングルはSKE48に興味がない人にも届くものです。道を歩いていて聞こえてきたり、CDショップにMVが流れたりしますから。だから、「これがSKE48です」と胸を張れるものにしたいし、アイドルとして一番の目標に“選抜入り”をみんなが掲げるんです。
菅原茉椰 シングルはメンバーとファンの方のモチベーションを上げるものです。次のシングルを発売するとなったら、「今回は、前回とどう変わるんだろう?」ってワクワクします。ファンの方とも会えるイベントもありますから。
髙畑結希 シングルの選抜に入ることは、自分の名刺みたいなもので、外でお仕事をする時、自分の顔がジャケットに載っているかどうか、大事になってきますよね。「ジャケットのここに載っています」と言えば、自分のことを紹介しやすくなるんです。