【BUBKA9月号】BOOK RETURN 話題の著者に直撃取材!!vol.33 ねじめ正一「落合博満論」
食えない人は食えない落合博満に魅せられて
ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第33回は、『落合博満論』の著者であり、 作家、詩人、俳人であるねじめ正一氏が登場。長嶋茂雄主義者である氏が魅せられた落合博満の淵源とは何か? 落合はホヤである――。食えない人は食えない落合博満。その邂逅を、思いっきり噛みしめる。
素直な「落合愛」
――ねじめさんは以前、新潮社から『落合博満 変人の研究』を出されています。再び落合博満をテーマとする本を出そうと思った背景は何だったのでしょうか?
ねじめ ずっと“落合監督”復帰を望んでいるんだけど、同時に俺の中で「もう無理かな」という気持ちもあって。そんなことを感じていた最中、2019年夏に、NHKの『サンデースポーツ』で、埼玉西武ライオンズの山川穂高選手と落合博満さんの対談が行われた。その放送を見ると、山川の言葉が落合さんにも届いてるし、落合さんの言葉も山川に届いているという感じがした。今の若い選手にも、落合さんの言葉って届くのかなと思ったんですよね。山川は、まだ若い。にもかかわらず、落合さんに会いたがっている。その姿に非常に感動したんですよね。落合さんも落合節を存分に発揮していたし、山川も彼を尊敬している様子が伝わってきた。しかも! この対談はシーズンの途中に行われている。球団はよく許可したなと驚いた。
――辻発彦監督含め、よくOKしたなと。
ねじめ そう。落合さんにとって、山川は自分が長年見てきた選手ではない。一度きりで終わってしまうかもしれないという状況なのに、それでも引き受けたというのは、山川に興味があったのではないかと思うんですよ。二人が話していくと、段々と落合さんが“教えることが好きな人”ということも伝わってきた。人を選ぶだろう細かいことについても言及していたけど、山川も真摯に耳を傾け、そして落合さんもそんな山川を吟味していたというか、しっかり見ながら言葉を紡いでいた。落合さんが、若い選手たちから支持されているとしたら、「最後のチャンスかもしれない」。そう感じて、落合さんについてあらためて一冊書けたらという思いが、俺の中に浮かんだんですよね。前回の『落合博満 変人の研究』は、長嶋茂雄主義者のねじめ正一が、一生懸命長嶋さんのことをかばいつつ落合さんのことを綴るというニュアンスが強かった。実際、豊田(泰光)さんとの対談では、彼から罵られたという記憶があるくらい(笑)。
――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA9月号にて!
ねじめ・しょういち 1948年東京生まれ。作家、詩人、俳人。青山学院大学中退。阿佐谷で民芸店経営のかたわら詩を書く。81年、詩集『ふ』で第31回H氏賞、89年、小説『高円寺純情商店街』で第101回直木賞、2008年、小説『荒地の恋』で第3回中央公論文芸賞、09年、小説『商人』で第3回舟橋聖一文学賞を受賞。熱烈な長嶋茂雄ファンで知られ、プロ野球に造詣が深い。他の著書に『長嶋少年』(文春文庫)、『落合博満 変人の研究』(新潮社)など。