掟ポルシェの「美食」に至る病、『食尽族』刊行記念抱腹舌倒インタビュー
シェフを呼べ!
吉田豪 そのあと掟さんヤバいと思った瞬間は?
コンバットREC 若い頃ってそんなに高い飲食店に行けないじゃない。だから安いチェーンの居酒屋とかで刺身の鮮度が低かったりすると、店員さんによく説教してた記憶があるね。
吉田豪 そしてバターコーン事件が起きるんだ。
コンバットREC バターコーンも90年代末くらいだよね。横アリ行った帰りに新横浜の駅ビルだかに入ってた天狗だよ。天狗だから全部230円とかで。そしたら生焼けのバターコーンが出てきて、掟さんが「このバターコーン焼いたのは誰だ!」って。
吉田豪 海原雄山みたいなこと言い出して。
コンバットREC そう、店員を呼び出して。店員もヘタすると日本語じゃなかったような気がするんだけど、「ぜんぜん焼けてねえぞ、作ったヤツ連れてこい!」って言い出して。
吉田豪 「シェフを呼べ」と(笑)。
コンバットREC そうそう、ホール係に「シェフを呼べ!」って言い出して。店員が「わかりました、ちょっと奥に行って相談してきます」って引っ込んだら、「そもそもこれを頼んだのは誰だ!」って犯人捜しが始まって(笑)。
吉田豪 こんなものを頼みやがって、と(笑)。
コンバットREC ものすごい勢いで怒ってるから、これ俺が頼んだことがバレたらえらいことになるぞと思ってずっと下向いてた(笑)。
掟ポルシェ だってそんなに金持ってるわけじゃないから、なんでこんな肉でもないものを金払ってわざわざ頼んでるのかわかんなくてさ。
吉田豪 この本には書かれてないけど、掟さんは北海道育ちだから北海道の食材に対する複雑な憎しみみたいなものがあるんじゃない?
掟ポルシェ ああ、そうね。
吉田豪 コーンを一切評価してないところとか。
コンバットREC ああ、バターもコーンも北海道だ。
掟ポルシェ もういいじゃん、そういうの。終戦直後じゃねえんだし。トウキビとかジャガイモとか、食う必要性を感じない。
吉田豪 ジャガイモとコーンを憎んでるよね。
掟ポルシェ 憎しみっていうか、一生ぶん食べたからもういいよってことなんだよ、もういいの、満タン! コーンメーター満タン!