みうらじゅん「アブノーマルもラブさえあればラブノーマルだと思うんですよね」<永いおあずけ>
――みうらさんは、松本清張好きを公言されていますもんね。
みうらじゅん そうなんですよ。『永いおあずけ』に収録されている5編の世界観って、完璧に松本清張と『ニャン2倶楽部』編集長だった夏岡(彰)さんの文体にインスパイアされてます(笑)。『ニャン2倶楽部』が、他の投稿雑誌と大きく違うのは、夏岡文体によるところが大きいと思うんですよ。『ニャン2倶楽部』で仕事をしていた際に、いろいろと裏側を教えてもらったんですけど、投稿者が書いている文章を、夏岡さんがさらに広げていた。投稿者は、調教の様子を淡々と書いているのに、夏岡さんが小説っぽいストーリー仕立てにしていく、その夏岡文体が忘れられなくて。そこに松本清張的な事件性を加えていく感じですよね。あのドロドロした世界って、僕は性格上無理だとわかっていた。『Slave of Love』を書いたとき、自分には官能小説が書けないって思いました。それに代わる何かを模索していたときに、青春モノや松本清張、怪獣モノを合体させたらいいんじゃないかって思ったんですよね。
――なるほど。最後に収録されている『話題にもならなかった映画』は、まさにその要素が入り乱れています。
みうらじゅん 僕は、暗い怪獣モノが好きなんですね。人間側に付くようになってからのゴジラじゃなくて、もっと暗くて、土着的な匂いのするものが好き。怪獣の出現を旅先で目撃するんだけど、目撃した人は不倫旅行をしている二人。目撃したことを話すと関係がバレる……だから必死に隠さなきゃいけないような話が好きなんです(笑)。怪獣モノでもない、松本清張でもない、その中間にあるようなね。小説だけど、書いているテイストは、コントみたいな。
取材・文=我妻弘崇
――インタビューの続きは発売中の「BUBKA6月号」で!
みうらじゅん|1958年京都市生まれ、京都市育ち。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。在学中に漫画家デビュー。1997年、造語「マイブーム」が新語・流行語大賞に。2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞を受賞。2021年、『「ない仕事」の作り方』が本屋大賞「発掘部門/超発掘本! 」部門を受賞。著書に『マイ遺品セレクション』『人生エロエロ』『見仏記』シリーズ(いとうせいこうとの共著)など多数。
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