なんてったってキヨハラ第20回「最後の対決」
プロ9年目の清原和博は、ファンブックの表紙をこれまでの複数選手から異例の単独写真で飾るなど球団のパワープッシュを受け名実ともにレオの看板スターに。前半戦から悲願の打撃タイトルとV5に向けてチームを牽引するが、8月14日ロッテ戦の満塁弾含む1試合2発を最後にしばらくそのバットから快音が消える。例年はホームランを量産する夏場に打撃不振で苦しむ背番号3。皮肉にもCM解禁となり、「飲むところ敵なし」なんつって笑ってみせるやる気ドリンクビタシーゴールド、「キヨ、ハラ、ヘッテハ、戦エナイ。」とハワイの青空の下とんこつラーメンを頬張るスーパーカップ1.5とテレビをつけたらキヨマースマイルが溢れていた。球団のというより、球界の顔。正直、カテェ……。この時期の清原は、「日本では金さえ出せば買えるけど、外国ではステータスがないと買えないんです。詳しいでしょ。ボクは、フェラーリ評論家ですからね」なんてボンクラ発言を吐いて、愛車テスタロッサをかっ飛ばしてディスコ通いをしていたバブル期のやんちゃな末っ子キャラではなく、気がつけば二代目社長の椅子を託されてしまったような使命感と窮屈さも見て取れる。
さらにイチローの登場で急激に注目されたオリックスの観客動員はリーグトップの18.6%増。球団新記録の118万人を動員した。スポーツ新聞の一面を独占したのは、「プロ野球救世主、松井Jリーグ粉砕」や「大遅刻松井“たるんどるぞ”」と派手な見出しが並ぶ巨人の松井秀喜だ。6月末には「西島洋介山超人勝利」じゃなくて、「あっと驚くマユゲの村山新首相」が話題を集め、千葉で八木沢荘六監督がシーズン途中に解任されると、「張本ロッテ監督」とか「ロッテ掛布監督」なんて早くも無責任に来季の人事で盛り上がったが、27歳の誕生日を迎えたキヨマーの報道量は驚くほど少ない。