SUSHIBOYS「世の中捨てたもんじゃねえぞっていう希望を見出せる映像を作りたかった」<私立恵比寿中学の音楽のすべて>
私立恵比寿中学のあの名曲は、どのように誕生したのか? 不安定な歌唱力を自称していたエビ中は、なぜ実力派ボーカリスト集団に成長したのか? 作詞・作曲・編曲家陣に話をきくことで、その正体を言語化する当連載。今回は、『熟女になっても』にてフィーチャリングし、同曲のMVの監督・撮影・編集を務めたラップグループ・SUSHIBOYSに話を訊いた。
カンボジアのバイブス
――アイドルが自分たちの楽曲でラップをすることは、今はそこまで珍しくはないですけど、アイドルの曲にラッパーがフィーチャリングされるというパターンはなかなかないと思います。そういう意味でも『熟女になってもfeat.SUSHIBOYS』は意義深い曲だなと思うんですけど、そもそも2人は私立恵比寿中学のことは知っていましたか?
サンテナ 有名なアイドルグループだったんで、知ってました。なんで、恵比寿中学さんサイドから話があったときは、「うわ! エビ中さんだ!」みたいな感じでしたね(笑)。
――じゃあ、すぐに前向きな返事を?
サンテナ はい!
ファームハウス いや、そんなことはないですよ! 正直、私はアイドルを聴いてこなかったから、恵比寿中学さんのことも知らなかったんです。同級生がAKBとかにハマッてる世代ですけど、その頃の自分はアンダーグラウンドのヒップホップがかっけー! ISSUGIさんだろ! MONJUさんだろ! って感じで頭を振ってたもんですから、「アイドル? なんだそれは。けったいな。お前(サンテナ)、大丈夫か?」って感じで、最初はナメてかかってましたね。アイドルとやると株落ちるんじゃねえの? みたいな。今、超無礼なこと言ってますけど、そういう感じでした。
――その温度差は、どう埋めたんですか?
ファームハウス タイプライターさんっていう、マネージャーとかDJとかやってくれてた方がいて、ほぼ半分強制というか。「お前、この機会を逃すわけにいかねえよな!」っていう目で殺された感じはありましたね。
――目で殺されて、切り替えて。
ファームハウス そうですね、そのときはあんまり選ばずというか、もらった仕事はできる限りやっていくスタンスではあったので、やってみようという感じにはなりました。それからビートを聴かせてもらったんですけど、ボーカルも乗ってて、かっこいいなって感じるところもあって。僕らには、ラップで中学生みたいなバイブスを自由に好きに盛り込んでくれみたいなオーダーだったんで、それをトピックにして。これって、カンボジアで歌詞書いたよね?
サンテナ そうだ、カンボジアで書いたわ。懐かしいなぁ。
ファームハウス カンボジアのビークインホテルで書いたっすね。
サンテナ だから、リリックにもちょっとカンボジアの雰囲気が出てるっていうか。
ファームハウス 出てねえだろ(笑)。
サンテナ カンボジアにいたときのバイブスというか。日本にいるときとは、いろいろ環境変わるんで。やっぱカンボジアの感じが。
ファームハウス 出てんだ?
サンテナ 出てる。どうしても、向こうで書いたっていうのがにじみ出てるリリックになったと思ってるんで。
――カンボジアには仕事で?
ファームハウス 一応、MVを撮りに行ってたんですよね。『旅に出よう』っていう曲のMVなんですけど。
サンテナ 半分遊びみたいな感じですよ。
――じゃあ、『旅に出よう』のMVを観つつ『熟女になっても』を聴いたら、これを撮ってる前後にSHUSHIBOYSはリリックを書いてたんだなって思えるってことですね。
ファームハウス ですね。撮ってる期間のどこかで歌詞を書いてますから。
――そのカンボジアで書かれたSUSHIBOYSのラップパートの歌詞ですけど、エビ中のことをけっこう調べて書いたんですか? それとも、この楽曲にフィットすることだけにフォーカスした感じですか?
ファームハウス 彼女たちのことは、調べてないですね。というのも、マネージャーから聞いた話だと、自分らの砕けた感じとか、SUSHIBOYSらしいエッセンスをフィーチャリングとして伝えたいっていうような話だったので、あんまり恵比寿中学さんに寄せようっていうよりは、自分たちの普段の感じをパスしたというか、フィーチャリングとして乗せたっていう感じが強いと思いますね。
サンテナ そうですね、自分たちの等身大でって感じです。
――どうして自分たちにオファーが来たのか、聞いたり考えたりはされたんですか?
ファームハウス なんだったんだろうなぁ?
サンテナ 確かに。まぁ名前がね。
ファームハウス そうだな、SUSHIBOYSっていう名前がキャッチーだし。ラップというものが世間に浸透して、楽曲にラップが入ってくるアイドルも増えてたじゃないですか、韓国とか。そういう感覚でまずは取り入れてみようかな、みたいな。サンプルとしてもいいんじゃない? っていうところは制作側の視点としてはあったんじゃないかなと思いますけどね。で、俺らあんまり悪いこと言わないし、(エビ中の)イメージを崩さないっていう枠が、そのときは俺らぐらいしかいなかったから選ばれたのかなっていう。そこにドープなラッパーが入ってきちゃったら、大変じゃないですか。舐達麻さんとか。
――大変でしょうね(笑)。
ファームハウス まぁ、俺はそっち見たいけど。でも、そういうことだったと思います。
取材・文/大久保和則
――インタビューの続きは、発売中の「BUBKA5月号」で!
SUSHIBOYS|埼玉県越生町出身の2MCからなるラップグループ。2018年末までファームハウスの弟であるエビデンスを含めた3MC体制で活動していた。私立恵比寿中学のほか、MAGiC BOYZへの楽曲提供やlyrical schoolとの共演など、アイドルとの制作でも話題を集めた。
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