2022-04-04 18:15

DABO「Platinum Tongue」かく語りき…Rの異常な愛情 番外編

2001年の象徴曲

――トークの中で「DABOさんはどうやってリリックを書いているのか」という話にもなったんですが、種明かし的になって恐縮ですが、DABOさんは例えば超推敲してリリックを書いているのか、逆に一本で書いていくのか、ケースバイケースだとは思いますが、比重としてはどちらの方が強いですか?

DABO 俺はほとんど、9割9分ぐらいのリリックは、頭から普通に書いていく。

――ええ! まじっすか?

DABO うん。「先に韻の位置とか決めてやってるんでしょ?」ってよく聞かれるんだけど、それはしたことない。ラップでそれをするのはシャバくない? って思う方だから。

――文章を書くのと同じになってしまうというか。

DABO そうだね。でも、何で俺がそこに意地を張ってるのかはわかんない(笑)。

――ただキック・ザ・カン・クルーのLITTLEさんが主宰するYouTube「愛韻TV」にご出演された際、「“レクサスグッチ”は韻の配分を決めていた」と仰られていますね。

DABO だから“レクサスグッチ”は珍しいタイプで、そうやって作ったのは、後にも先にもあの曲だけだと思う。しかもそうやって書いたのは〈Hey Hey Hey~〉からの早い掛け合いの4小節だけだね。あの部分だけ脚韻を含めた韻が、同じビートの場所に来るように設計していて。だから他のパートは韻を踏んでいても場所はランダムでしょ?

――確かにそうですね。

DABO 全体を通しても、固くガッチリ踏むっていうより、フロウで展開してる韻も多いし。でもそれも当時のサウスヒップホップによくあった、「軽やかな韻」みたいなものにしたほうが、2000年っぽくていいなと思ったからなんだよね。

――DABOさんが『Platinum Tongue』の全曲解説するインスタライブの中で、“レクサスグッチ”を作ったのは、アルバムをほぼ作り終えたタイミングというハードスケジュールの究極のような段階で、しかも熱が40度近くあったという体調不良のなか、というお話されていましたね。

DABO そうなんだよ(笑)。

――Rくんは「その状況なら俺は飛びます」って震えていました(笑)。

DABO しかも次の日にはNYにマスタリングに行く日程だったから、時間の猶予も一切なくて、スタジオで書いてそのまま録ってるからね。だからもう、あの時はマシーンと化した。「俺は今から朝の八時までにラップを書きあげて、そのままレコーディングするマシーンとなる。マシーンだから熱は関係ない。なぜなら、マシーンだから」みたいな(笑)。でも、そうすると不思議と変な集中力が出るもんで、一気に作れたんだよね。

――ただDABOさんのキャリアはそこで終わるわけではないし、『Platinum Tongue』自体曲数も多いから、「今回は保留にしておいて、次のシングルで」という考え方も出来ますね。

DABO でも2001年ってやっぱり、サウスの波がドカンと来てて、俺もサウスが面白くなっちゃってたし、制作の終盤になって『Platinum Tongue』に足りないピースがサウスだって気づいちゃったんだよね。そうなると作らざるを得ないわけで。そして俺はキャリア的にもリュダクリスと同期なのよ。俺がDef Jam Japanと契約が決まったときに、リュダクリスもDef Jam Southに所属して大フィーバーを巻き起こしてて。それで「あの感じがアルバムに欲しい」と思って、本当に最後の最後に「もう一曲作っちゃダメ?」っていう感じで、ワタくん(DJ WATARAI)に「本当に急で申し訳ないけど、サウス作りたいから、こういう感じのバウンストラックお願いっす」ってオーダーしたんだよね。それぐらいギリギリで作ってるから、リリックもちょっと俺的にはダサいでしょ。入口の〈肩揺らせBounce 腰揺らせBounce〉とか、バカでも書けそうじゃん(笑)。

聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎

――インタビューの続きは、発売中の「BUBKA5月号」で!

DABO|1975年生まれ。千葉県出身。1999年に『Mr.Fudatzkee』でデビュー。翌年、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員としてアルバムをリリースし、日本のヒップホップシーンに多大な影響を与える。2001年にはDef Jam Japan第一号契約アーティストとして『PLATINUM TONGUE』をリリース。ソロ名義でこれまで5枚のアルバムと1枚のベストアルバムをリリースし、若手からレジェンドまで才能溢れるMCとの楽曲も多数。

BUBKA (ブブカ) 2022年 5月号
▼Amazonで購入

BUBKA 2022年 5月号増刊 =LOVE 佐々木舞香Ver.
▼Amazonで購入

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING11:30更新

  1. 「僕が見たかった青空」今井優希、ギャルマインド のすゝめ
  2. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  3. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  4. 乃木坂46林瑠奈さんの飛躍の根底にある“2つの強み”
  5. R-指定(Creepy Nuts)が語るスチャダラパーの時代
  6. 【昇天】ドラゴンズ万歳! 金丸獲得だけじゃない「満点超え」ドラフトの理由とは? 青味噌のみそみそダイアリー #4
  7. 吉田豪「What’s 豪ing on」Vol.9 坂本慎太郎、ブレイクしたくない 好きな人に届いているいまがベスト
  8. 【追悼】酸欠少女さユりが私たちに残したもの
  9. 吉田豪新連載「what’s 豪ing on」Vol.2 向井秀徳
  10. 吉田豪「What’s 豪ing on」Vol.10 岸田繁、すべての音は泥団子イズムに通ず
  1. 日向坂46 松田好花が深夜に自爆!オードリー若林との記念写真がピンボケに終わるも「カメラのカネムラ」のおかげで無事解決
  2. 日向坂46小坂菜緒『EX大衆』リニューアル号表紙を飾る
  3. 日向坂46 松田好花がオードリー若林との夢の共演の「裏側」河田陽菜と埼玉でネタ探しするほど追い詰められた一週間
  4. 「松田もだって36……」オードリー若林の年齢イジりに日向坂46松田好花「おばさんイジりは良くない」と大激怒!?
  5. 乃木坂46の37thシングル『歩道橋』センターは、4期生の遠藤さくら!音源の配信も決定!
  6. 日向坂46の松田好花が撮るメンバー写真が有能すぎる!“カメラガチ勢”の金村美玖との撮り合いが白熱化⁉
  7. 日向坂46×ラジオ…収録現場に密着『BRODY8月号』表紙&特集解禁
  8. 菅井友香、祝!運転免許取得「一人旅にも挑戦してみたい」キッチンカーへの憧れも
  9. 日向坂46と二人三脚で歩んできたオードリー若林「自分の目利きが間違っていた」と、松田好花をガチ分析
  10. 齋藤飛鳥曰く「覚悟が決まると最強」!23歳になった乃木坂46のエース・遠藤さくらが放つ“あざとさ”と“か弱さ”と“輝かしさ”!