2022-03-05 11:15

“教養としてのラーメン”著者・青木健「ラーメンって、答え合わせをして食べるようなものじゃないと思うんです」

――きっかけはプレゼントだったんですか!?

青木 そうなんです。その方が、『ラーメン凪』の生田悟志さんでした。生田さんは、『一風堂』の社長である河原(成美)社長にあこがれを持っていた。河原さんは、既存のラーメン店のイメージ――、臭いとか汚いとかそういったものを一新し、女性にも気軽に入ってもらえるような店づくりを掲げたことでも知られていました。河原さんの本を読むと、歴史だけは揃えることができないから、『一風堂』のフォントは古めかしい筆書きにした、と。そうすることで歴史を先取りするといったメッセージがあると書かれていました。その河原さんにあこがれているならば、生田さんのお店は同じことをしてはいけないと思い、全く歴史を感じないデザインにしようと考えたんです。しかも、生田さんはとても型破りな方だった。今でこそサステイナブルなどと言われてますが、昔から使用した煮干しの再利用を考えたり、成功する根拠もないのに香港に出店して大行列を作ってしまったり。ですから、『ラーメン凪』は常にラーメン界から少しはみ出していてほしい――そんな願いを込めて凪の左払いが〇から飛び出しているんです。こんなにはみ出すとは思っていませんでしたけど(笑)。

――ロゴにそんなメッセージが! デザイナーとして俯瞰して見ている視点が、まさにこの本からも伝わってきます。

青木 自分はマニアになっちゃいけないと思うんですよね。それにロゴって自由なんですよ。中には、黒背景に金の抜き文字といったよく見かけるロゴもあるのですが、これといった流行り廃りがあるわけではない。たとえば、お蕎麦屋さんでチャレンジングなロゴや看板を作るとアレルギー反応が出る人もいると思うのですが、ラーメン店ってそれがないんですね。ですから、個性の強いものをプレゼンしやすい業界だと思います。また、体育会系の店主さんが多いので、他と似ているのが嫌なんですね。

――バンドのロゴみたいだ(笑)。本の中でも解説されている、「ラーメン」「らーめん」「麺や」といった店名の前に冠するショルダーネーム。この点も大切と指摘されていますが、そんなに変わるんですか?

青木 大きいです。僕がロゴを手がけた『雅楽』さんというお店があるのですが、当初のショルダーネームは、「麺FACTORY(雅楽)」を想定されていました。ところが、出店するエリアが、神奈川県のあざみ野という住宅地だった。さらに調べてみると、ラーメン店があまり出店していないような場所、つまりラーメンリテラシーがさほど高くない場所であることもわかりました。

――ラーメンリテラシー……その分析が面白い。

青木 そういった場所で、「麺FACTORY」のようなエッジの効いたショルダーネームにしてしまうとハードルが上がって、客足が伸び悩む可能性が高い。ラーメンだとありきたりすぎるので、ひらがなで「らーめん」のショルダーネームにすると住宅地の雰囲気ともマッチするのではないか――そんなアドバイスさせていただいたこともありましたね。

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING11:30更新

  1. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  2. 【追悼】酸欠少女さユりが私たちに残したもの
  3. 【BUBKA2月号】R-指定「Rの異常な愛情」―或る男の日本語ラップについての妄想―DABOの革命前夜(前編) 時代に選ばれた男“ Mr.FUDATZKEE”
  4. プロ野球界において、「落合博満」こそ、最高のエンタメだ。〈ノーカット版〉
  5. AKB48本田仁美がもたらす影響…圧倒的練習量から得たもの
  6. R-指定(Creepy Nuts)が語るスチャダラパーの時代
  7. 【昇天】ドラゴンズ万歳! 金丸獲得だけじゃない「満点超え」ドラフトの理由とは? 青味噌のみそみそダイアリー #4
  8. 乃木坂46柴田柚菜「どんな痛みか想像つかないのでやってみようって(笑)。自分で言うのもなんですけど、度胸はあると思います」
  9. 乃木坂46秋元真夏「不安よりも『いまはまだ卒業できない』という状況になったことのほうが私にはうれしくて アイドルでなくなることが一番困ることなんです」
  10. SKE48須田亜香里×山本昌「笑顔にスランプはない!」<BUBKAアーカイブ特別編>
  1. 響き渡る“乃木坂46”&“葉月”コール!向井葉月から奥田いろはへ、涙の抱擁と共に受け継がれる「乃木坂らしさ」
  2. 「なんてかわいいの!」櫻坂46中嶋優月と谷口愛季、キュートなダウン姿を披露!山﨑天はなかやまきんに君と夢の共演
  3. 卒業控える日向坂46東村芽依、“門出”にふさわしい晴れやかな表情の表紙カット解禁
  4. 乃木坂46「36thSGアンダーライブ」完遂!全国5都市を巡るZeppツアーに、座長の奥田いろは「何も後悔はありません」
  5. 「なにわ男子」大西流星、シャンプーのCM初出演!かわいらしい寝顔も披露
  6. 乃木坂46 岩本蓮加写真集『いたずらな風』に熱狂する菅原咲月だが、誘われたご飯は華麗にスルー!?
  7. 日向坂46 の逆襲が始まる東京ドーム公演に注目せよ!明暗分かれた『紅白』出場者から考える坂道3グループの現在地
  8. 川口春奈『JJ』表紙風広告に登場…サントリー×光文社の異色のコラボが実現
  9. 櫻坂46全国ツアー最終東京ドーム公演、2日間で11万人動員!海外からもBuddiesが駆けつける
  10. 「死ぬ気で守る」2作連続で“センターに最も近い”乃木坂46 池田瑛紗の叫び続けた「魂の言葉」