“教養としてのラーメン”著者・青木健「ラーメンって、答え合わせをして食べるようなものじゃないと思うんです」
ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第40回は、『教養としてのラーメン ジャンル、お店の系譜、進化、ビジネス――50の麺論』の著者である青木健氏が登場。これまで「ラーメン 凪」や「Japanese Soba Noodles 蔦」といった有名ラーメン店のロゴデザインを、50ブランド以上手掛けてきた同氏。マニアじゃなくても楽しめるラーメンの魅力。ラーメンはアカデミックで自由なフィールドだった!
「凪」に込めた思い
――ラーメンの食べ歩きを部活としてとらえ、「ラ部(ラーメン部)」を設立。以後、青木さんはラーメンにハマっていったと綴られていますが、もともとラーメンに関心があったのですか?
青木 なんとなく好きでしたが、他の食べ物とさほど大差はなかったんですよね。ですが、“一人暮らしを始めたこと”、“ラーメンのガイド本を買ったこと”、“食べたラーメンの記録をつけ始めたこと”――。この3点が重なりまして、気が付くとラーメン沼にハマっていました。食べたラーメンに対して2時間近くかけて雑感を書いていたんですけど、「こんなことに時間を使っているのはどうなんだろう」と自覚してからはメモ程度に。ただ、自分がどれくらいの店舗に、頻度で通っているのか可視化できるようになってしまったことで、どんどん追い求めていくようになってしまったんですよね。
―― レコーディングすると沼にハマる(笑)。
青木 そうなんですよ。それで「ラ部」……といっても部員は僕一人ですが、年間360杯くらいは食べるようになりました。でも、メディアに出てラーメンを語るような方々は、年間600杯は当たり前なので少ないほうです。ラーメン好きは、コレクターとリピーターに分かれると言われているのですが、僕は後者。お気に入りの店がたくさんあるので、それを順番に巡って楽しみたい。お店の味をうっすらと忘れかけてきた頃に足を運んで、「美味しい!」と確認するのが楽しい(笑)。
――僕はラーメンが苦手なのですが、本書にある「ラーメンは体育会系、カレーは文化部系」と表しているのを見て、大いに納得しました。さまざまな角度からアカデミックにラーメンをとらえているため、ラーメン好き以外もきちんと楽しめる一冊だなぁと。
青木 そう言ってもらえるのはうれしいです。僕がラーメン店さんとお仕事を始めたのは、今から15~6年前になるのですが、店主さんたちと話をすると、学生時代だったら絶対に友だちにならないようなタイプが多いんですね。体育会系であったり、陽キャだったり。クラスでいつも目立っている人気者タイプが多くて、僕はどちらかというとカツアゲされるようなタイプですから(笑)。
――ラーメン店主に陽キャが多いというのは、なんだかすごく腑に落ちる(笑)。現在青木さんは、ロゴをはじめラーメン店のデザインをされています。経緯は何だったんですか?
青木 ラ部を始めたときに、勝手に部歌や、13則8戒のようなルールなどを作っていたんです。いろいろ作るのが好きだった。たまたま交流のあった方がゼロからラーメン店を作るというので、ロゴをプレゼントしたんです。