プロ野球 “サンデー兆治”こと村田兆治の密着番組が現代ではあり得ない踏み込み方…貴重なコンテンツの再放送を望む
ある日の試合で阪急ブレーブス・山田久志と投げ合った村田は見事完投勝利を収める。勝ったその足で球場を出てタクシーを拾うのだが、上半身裸にタオルを羽織っただけの姿。まんまプロレスラーである。その村田に群がる無数のファン。ぺちぺちと気やすく触る少年ファン。今でもこういう文化は残っているのだろうか?
その日の試合後、村田はチームメイトと食事をしたのだが、その場にもカメラは密着。一瞬だが、タバコを吸う選手をとらえる。現代でも喫煙する選手はいると時折報道されるが、当時はいたって普通のことで、そのことに疑問を抱くファンは少数派だったと思う。食事を終えた村田は大阪・天王寺駅から和歌山の白浜に向かう(のちに治療のためと判明する)。しかも普通の電車で。何の変装もせずに野面で乗ったもんだから、一般の乗客が騒ぎ出す。
「やったぞ!」
「イエーイ!」
「ほんもん?」
しかも、乗客は大エースの隣に平気で座り、記念写真をねだる。笑顔で応じる村田……。関西らしいワンシーンだが、2020年代でいうなら巨人の菅野が東京ドームで投げた後、総武線で帰宅するようなものである。
このように、数十年経過した再放送は貴重な映像資料であるというだけでなく、タイムマシンの役割を果たしてくれる。編集することなく、当時のまま放送してくれるのもありがたい限り。『NHK特集』も見たいが、当時の何気ない一日の夜のニュースとかをそのまんま放送してくれたら、受信料もっと払いますけど!
文●堀越日出夫
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