トラックメイカー&DJ・ちばけんいちが語る楽曲制作の裏側
楽曲派という言葉が死語になる前に伝えることがある!ということで始まった当連載。今回は、SANDAL TELEPHONE(ex-サンダルテレフォン)への楽曲提供で、確固たるイメージを築いたトラックメイカー・ちばけんいちが登場。強烈に耳に残る彼のトラックがどのようにして生まれるのかを訊いた。
スーパーに楽曲提供
――ちばさんはボカロPの活動がキャリアの出発点だったのでしょうか。
ちば ネット上に現れたのはそうだと思います。もともとダンス・ミュージックが好きで、中学・高校の頃から打ち込みを始めていたんですけど、世の中的には(発表できる場が)MySpaceくらいの時代で。その頃はバンドをやってる友達に「こんなのやってるよ」と聴かせる程度でした。自分が上京するタイミング前後でニコニコ動画が盛り上がって、その時期にいわゆる東方アレンジをちょびっとやったりもしたんですけど、色々と曲を作ってみようということで一気に増えたのがボーカロイドの活動です。八王子Pくんだったり、kzさんがガーっと出てきた頃にボーカロイドを知ったんですね。それで、人に聴いてもらうきっかけが増えればいいなと思って触ってみたという感じです。当時はボーカロイドとクラブ・ミュージックを掛け合わせたDJイベントも盛んで、僕もDJ的なこともやったりして活動してました。2010年から2013年くらいですね。
――そこからどういう流れでサンダルテレフォンに至ったのでしょう。
ちば 正確な時系列は覚えてないんですけど、ニコニコ動画をやってた頃に、アニプレックスさんの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』というアニメでエンディング曲の一般公募があって。僕の兄の千葉“naotyu-”直樹がそのときすでに作家活動をしていて、いまはソニー・ミュージック系列に所属しているんですけど、たしかその関係で一般公募を知って、「やってみたら?」という声があったんです。それで出してみたら、『俺妹』の2期のエンデイング(『Thank You』)に採用していただいて。そのときに「お兄さんだけじゃなくて弟くんも歌モノを作るんだね」という感じでアニプレックスさんやソニー・ミュージックさんの方と関わりができました。でも、実はそのあと一度社会人になってるんです。
――そうなんですか! ちばさんの過去作品を調べていくなかで、空白の期間があったのが気になっていたんですが、社会人として働いていたんですね。
ちば 表立って曲を作る頻度は減って、たまにクラブ系のオリジナルを趣味程度に出すという期間がしばらく続きました。とはいってもその仕事も音楽寄りで、選曲したり、スーパーとかショップの販促音楽を作ったりもしてました。数年経って、もうちょっと音楽を作る仕事に近づきたいなと思ったときに、当時のソニー関連の人に「まだ(音楽)やってる?」みたいな感じで声をかけていただいて、そこから音楽の仕事をちょくちょくやらせていただいたなかのひとつがサンダルテレフォンさんでした。
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