2022-02-05 18:00

なんてったってキヨハラ第18回「苦悩の日の1993」

そんな破竹の快進撃を続けるTF砲に押されていたのが、93年のKKコンビである。25歳の清原和博は、前年暮れの契約更改で2000万円アップの1億2000万円提示を7年目にしてプロ初の保留。3年連続日本一チームの四番打者がこの評価か……と愕然とするが、ハワイV旅行中に黒江透修ヘッドコーチから、「現場の査定では清原は辻に次いで野手ナンバー2のはず。3000万円上がる秋山(1億7000万円)は5番目の貢献度しかない」なんて他の主力選手をディスって持ち上げる異例の援護射撃だ。背番号3は帰国後の交渉で800万円の上積みを勝ち取り、1億2800万円でサインする。さらにともにAKD砲を担ったデストラーデは、93年から大リーグ新興球団のフロリダ・マーリンズへ移籍。3年連続ホームラン王に対して球団があえて強く引き留めなかったのも、「今年こそ清原にタイトルをとりやすい環境を作ってやろうという親心もあった」と一部週刊誌では報じられた。飯島愛と飯島直子が全然違うように、“気遣い”と“過保護”も微妙に違う。組織からの過剰な庇護は、やがて意志や才能をスポイルしてしまう。

同じくライバル桑田真澄も背水のシーズンを迎えていた。ダウン提示に越年した契約更改は、右肩痛を抱えながら6年連続二ケタ勝利の達成に加え、野手顔負けの一塁までの全力疾走をアピールするも、「(前年10勝で)14敗もしているやつが何言ってんだ。14敗もしたら相撲だって陥落するんだ。生意気なこと言うな」なんてナベツネ社長から一喝され、年明け2度目の交渉は8880万円であっさり陥落。傷心の自主トレ中、今季の目標を色紙に「Great」と英語でしたためる1秒も笑えないマスミギャグを炸裂させるのであった。

ワイドショーが貴ノ花の20歳5カ月の最年少大関昇進で盛り上がるのを横目に、8年目の背番号3は春先から順調なスタートを切る。悲願の打撃タイトル獲得のため1月6日から連日200球のティー打撃をこなし、マウイキャンプが始まってからもチーム練習後に宿舎の特設打撃場で黙々と打ちこむ。「まあ、練習中のサク越えとか何とかは、松井や一茂さんにまかせるとして、ボクと秋山さんはもっと高いレベルを目指しますよ」と長嶋監督復帰にゴジラ&カズシゲフィーバーで沸く巨人キャンプをチクリ。宮崎キャンプには宮崎市の人口約29万人を上回る計30万500人が詰めかけ、マスコミもトータル85社、1205人というオリンピック規模の熱狂を生み出した。おかげで右肩に加え右足太もも張りを訴えて、「開幕に大丈夫かって? 開幕だけがすべてじゃありません。もっと長い目で見てください」なんつってマイペース調整を続ける桑田がまったく目立たないミスター狂騒曲である。

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING11:30更新

  1. 「僕が見たかった青空」今井優希、ギャルマインド のすゝめ
  2. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  3. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  4. 乃木坂46林瑠奈さんの飛躍の根底にある“2つの強み”
  5. R-指定(Creepy Nuts)が語るスチャダラパーの時代
  6. 【昇天】ドラゴンズ万歳! 金丸獲得だけじゃない「満点超え」ドラフトの理由とは? 青味噌のみそみそダイアリー #4
  7. 吉田豪「What’s 豪ing on」Vol.9 坂本慎太郎、ブレイクしたくない 好きな人に届いているいまがベスト
  8. 【追悼】酸欠少女さユりが私たちに残したもの
  9. 吉田豪新連載「what’s 豪ing on」Vol.2 向井秀徳
  10. 吉田豪「What’s 豪ing on」Vol.10 岸田繁、すべての音は泥団子イズムに通ず
  1. 日向坂46 松田好花が深夜に自爆!オードリー若林との記念写真がピンボケに終わるも「カメラのカネムラ」のおかげで無事解決
  2. 日向坂46小坂菜緒『EX大衆』リニューアル号表紙を飾る
  3. 日向坂46 松田好花がオードリー若林との夢の共演の「裏側」河田陽菜と埼玉でネタ探しするほど追い詰められた一週間
  4. 「松田もだって36……」オードリー若林の年齢イジりに日向坂46松田好花「おばさんイジりは良くない」と大激怒!?
  5. 乃木坂46の37thシングル『歩道橋』センターは、4期生の遠藤さくら!音源の配信も決定!
  6. 日向坂46の松田好花が撮るメンバー写真が有能すぎる!“カメラガチ勢”の金村美玖との撮り合いが白熱化⁉
  7. 日向坂46×ラジオ…収録現場に密着『BRODY8月号』表紙&特集解禁
  8. 菅井友香、祝!運転免許取得「一人旅にも挑戦してみたい」キッチンカーへの憧れも
  9. 日向坂46と二人三脚で歩んできたオードリー若林「自分の目利きが間違っていた」と、松田好花をガチ分析
  10. 齋藤飛鳥曰く「覚悟が決まると最強」!23歳になった乃木坂46のエース・遠藤さくらが放つ“あざとさ”と“か弱さ”と“輝かしさ”!