Creepy Nuts・R-指定「DABOさんのラップはスムースやし、滑らかすぎるから、凄さを見逃しちゃうんですけど、分析するととんでもないライミングなんですよね」
DABOの俺イズム
R-指定 素晴らしい“MIC CHECK”でした(笑)。そして“マチガイナイ!”。この曲は聴かず嫌いにも無理やり俺のラップを聴かせに行くぞみたいなリリックなんですけど、〈くわえブランツで颯爽とお出まし/当たると痛えぞ寝てろ骨無し/(Knock,Knock)(ピンポン、ピンポーン)(どちら様?)D‐A‐B‐Oお前こそ何様 Ha?〉は、〈ピンポン〉と〈DABO〉の連携も小気味いいんですけど、そもそも主張としてすごい。ピンポン鳴らして「どちら様?」って出てきた人に、「D‐A‐B‐O お前こそ何様 Ha?」ですから(笑)。
――その上ブランツくわえてるんでしょ? 危険人物すぎるよ!(笑)
R-指定 そのぐらいの勢いでお前の鼓膜に侵入するぞ、というね(笑)。〈動くな/観御さんに気の毒だ/それに夜中起こされるドクター〉、ここらへんとかも単に「やっちまうぞ」って言うんじゃなくて、持って回った表現するのがDABOさんらしいし、粋なんですよね。
――古今亭志ん生が「大きなナス」を表現するのに「暗闇にヘタつけたような」って言ったんだけど、それに通じる粋さだよね。
R-指定 「ラップって粋なもんじゃないですか」ってインタビューでも話してるし、その粋さはDABOさんのマンガ表現っぽい書き口とも通じるのかなって。例えば〈次の瞬間目から火花/ゆっくりと定位置に戻る俺のティンバーランド〉ってラインの、顔面蹴られて目から火花が出て、スローモーションでDABOさんのティンバが定位置に戻っていくって表現なんて、マンガっぽいじゃないですか。
――誇張の仕方が過剰なんだけど、それこそが面白みに通じるというか。
R-指定 〈俺のメガトンパンチラインドランカー〉って表現もいいですね。メガトンパンチを打つ、メガトンなパンチラインを書くってことに加えて、いろんなパンチラインを喰らいまくって、自分の脳もドランカーにもなってしまっているという。もともとDABOさんはペイジャーやRHYMESTERが大好きなヘッズで、そういう意味での「メガトンパンチドランカー」、いろんなパンチラインを喰らってきた、俺もそのひとりだ、みたいなことを言ってるんですよね。それもラッパーならではの、言い得て妙な表現というか。
――このラインはRくんも餓鬼レンジャー“ちょっとだけバカ with Creepy Nuts”で使ってるよね。
R-指定 ここからサンプリングさせていただきました。〈言語道断(Test Da Don Gurgon)〉も良いですね。〈Don Gurgon〉はパトワの言い回しで「一番のボス」みたいな意味らしいですけど、DABOさんのレゲエ知識もすごいですね。そして〈黙らす/イカしたパンチラインかます/たまらずスカした勘違い/姿消す〉は、「黙らす」「たまらず」と「イカしたパンチラインかます」「スカした勘違い姿消す」って、韻の音数が増えたり、変化していってるんですけど、それによってオシャレな踏み方や刺激になっていってて。この姿勢がヒップホップ的やし、DABOさんのDABOさんたるゆえんというか。そして自分の曲は〈良きリスナー 判別機能搭載〉。すごい殿様商売(笑)。
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R-指定|大阪府出身のラッパー。高1から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMBで3連覇を成し遂げ、『フリースタイルダンジョン』の初代モンスター、そして2代目ラスボスを務める。現在はDJ松永とCreepy Nutsとして活動しながら、バラエティ番組やテレビドラマなど多方面でも活躍中。