音楽プロデューサーCMJK「あの頃のエビ中ちゃんたちは本当に安らぎがなかったと思う」<私立恵比寿中学の音楽のすべて>
――そういう意味での、「エビ中なりの『ブルー・マンデー』」なんですよね。
CMJK そしたら、1週間連絡がなかった石崎さんから電話かかってきまして、「アルバムを作っているんですが、いろいろなことがあったので内容を総取っ替えぐらいにして2~3週間で完成させたい。なので、“エビ中にとっての『ブルー・マンデー』”を詞曲アレンジ含めて、今週中にデモをください」って木曜日ぐらいに言われて。木曜日の段階での今週中だから、3日か4日で作れと。でも、不思議なもんでその日のうちに曲も詞もアレンジも全部できたんです。自分で作った気がしてないというか。長い間この仕事をしてますけど、こういうことはめったになくて、まさに降りてきたという感じでしたね。
――石崎さんを含めたスタッフの方々と、もともと仲良くされてたというのは?
CMJK 前山田(健一)くんが作詞作曲の『参枚目のタフガキ』(’16年4月リリースの3rdアルバム『穴空』に収録)の編曲をさせていただいてたんですけど、その前から年末にやる大学芸会のメガミックス的なつなぎとか、そういったことはよくやらせていただいてたんです。あと、石崎さんがエビ中に専念する前にチームしゃちほこ(当時。現・TEAM SHACHI)のスタッフだった時期から、石崎さん知ってましたから。もう、けっこう長いおつき合いになるんですよね。
――飲みに行ったりもされてたということは、人間的なところも含めて合った感じが。
CMJK はい。でも、本当のことを言うと、エビ中って日本一自分に縁がなくて、一生声がかからないグループだと思ってたんですよ。何故かというと、約10年前に(エビ中をリリースするレコード会社である)ソニーさんから「近々楽曲をお願いしたい」と打診をいただきまして。「今度、Zeppでワンマンがあるから観に来てほしい」と言われて行こうかなと思ってたら、ちょっと風邪っぽかったのと、東京が超大雪だったんですよ。マンションのドアが開かないくらい雪が積もってまして、「あぁ~今からZeppは……」と思って行かなかったんです。そしたら、後にも先にもあんなにマネージャーに怒られたことはないっていうぐらい怒られまして。エビ中どころか、スターダストのほかのアイドル、あるいは全アイドル、ソニーの仕事はないと思え、ぐらい言われて。なので、こんなに携わるとは思ってませんでした(笑)。
――どこでどうなるか、わからないもんですね(笑)。先ほど、『藍色のMonday』はこんなことないっていうスピードでできたというお話がありましたが、とは言えCMJKさんがこの曲で表現したかったことや込めた思いや願い、それは歌詞もメロディラインもそうだと思うんですけど、結果的に自分はこれを表現したかったのかなっていう部分は?
CMJK 「マンデーはこうでチューズデーはこうで、ウェンズデーはこうで」みたいな、1週間の歌みたいなのは古今東西たくさんあるんですけど、あの頃のエビ中ちゃんたちは本当に安らぎがなかったと思うんです。自分たちの正気を保ってるのに必死っていう状態だったと思うので、精神的な意味での日曜っていうのはないんじゃねえかなと。だから、歌詞にサンデーは出てこないんですよ。それは、絶対やりたかったです。メンバーは、息を吸って吐いてるだけで精一杯なんじゃないのかなっていうことですよね。
――インタビューの続きは発売中の「BUBKA3月号」で!
CMJK|1967年8月21日生まれ、宮城県出身。音楽プロデューサー/作曲・編曲家。1991年、石野卓球、ピエール瀧と共に電気グルーヴとしてデビュー。電気グルーヴ脱退後はCutemen ~ Confusion ~ Alex incとユニットを経て活躍し、90年代初頭の黎明期の日本のクラブ/テクノ・シーンの礎を築いた。現在は、浜崎あゆみ、Kis-My-Ft2など多数のアーティストの編曲を手掛ける傍らDJとしても活動中。2021年、CMJK自身初のソロアルバム『Landscape 1』をリリース。