田原総一朗『堂々と老いる』疲れたっていいんですよ好きなことをしているんだから
ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第39回は、『堂々と老いる』の著者である田原総一朗氏が登場。滑舌は悪くなった、記憶力も低下した――。稀代のジャーナリストは、いかにして「老い」と向き合っているのか。自身の過去を振り返りながら、エネルギーの根源、真剣になるために必要なことを開陳する。
全力投球だった40代
――数々の自著がある中で、あるようでなかった、田原さんが「老い」と向き合う本書。ご自身の中でも、大きな関心事だったのでしょうか?
田原 まず言いたいのがね、この歳になっても、こうやって仕事があるということが本当にありがたい(笑)。サラリーパーソンは、60歳が定年でしょ。ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授は、近い将来、あらゆる病気が治って、人間は死ねなくなると言っていた。あと、20年もすると、日本人の平均寿命は120歳になるとも。60歳、あるいは65歳で定年を迎えたとして、まだ半分。そこからどう生きるかが大問題。会社勤めをしてきた人の多くは、人間関係が同僚や仕事仲間によって形成されていると思う。退職したことで孤立し、やることもなく、鬱になる人もいると聞く。人間の人生は、これまでは20年間学び、40年間働き、15年間年金で余生を過ごす――というものだった。しかし、これからはそうではなくなる。人生設計を見直さなきゃいけないだろうし、産業構造だって変えなきゃいけない。老いと向き合うというのは、今の世の中において社会と向き合うことでもあるから、大きなテーマだと思うんですね。
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