AKB48本田仁美がもたらす影響…圧倒的練習量から得たもの
昨夏、本田に取材したところ、こんな言葉を吐いていた。「練習はほんとに嘘をつかないので。たくさん練習しても無駄にならないじゃないですか。それを韓国で学びました。自信のないみんなには練習の大切さを伝えたいです」それまでの本田は鏡を見て練習することが嫌いだったという。自信がなかったからだ。だが、韓国ではそんな心持ちでは通用しない。それを痛感し、鏡の自分とひたすら向き合った。時間をかければかけるほど、自信は身についていった。
日本、というよりもAKB48グループのレッスンは、振り付けをその場で覚える。あるいは、事前に渡される映像を見て、メンバー自らが振りを起こして、レッスン場で振りを合わせる場合がほとんどだ。AKB48では振り入れのことをレッスンと呼んでいる。これはもう伝統としか言いようがなく、その良し悪しをここで語るのはやめておくが、異文化を体験した本田はこれに違和感を抱いてしまった。
振り入れとは、あらかじめ決まっている振り付けを体に入れる作業。レッスンとは、練習。つまり、ダンスそのものが上達するために時間を費やすこと。レッスンと称するならば、アイソレーションやステップなどの基本的な動きを学ぶ時間に本来ならば費やすべきである。AKB48は本質的に違う作業をごっちゃにして考えてしまっている。いや、むしろ基礎的な動きを学ぶのは研究生時代だけで、しばらくすると振り付けを覚えることを最優先するようになる。覚えるべき曲数が多いから仕方ないのだろうが、基礎を覚えたいメンバーは、個人的にダンス教室などに通わなくてはならない。
ちなみに、HKT48は2年ほど前から基礎レッスンと振り入れを分けて考えるようになり、基礎レッスンに充てる時間をメンバーに課している。コロナ禍のために中断している可能性もあるが、練習に対する考え方をグループとしていち早く改めた。