船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】
――あの試合、フィニッシュがUWFでは異例のキャメルクラッチだったのは、なぜだったんですか?
船木 流れですよ。でも、確かにプロレスっぽいですよね。
――そうなんですよ。あれが逆エビ固めならUWFでもわかるんですけど。
船木 なんで髙田さんがあの技を使ったのかは不思議ですけど、フィニッシュの流れで、痛かったから自分はギブアップしただけですね。
――でも、開始早々の幻のKOと、フィニッシュのキャメルクラッチで、“疑惑の試合”になってしまって。
船木 自分ではUWFのプロレスができたぞって、手応えがあったんですけどね。ただ、あの試合後、骨法の堀辺(正史)先生にすごく怒られたんですよ。「なんで仕留めないんだ!」「それじゃあ、ウチで格闘技をやってる意味はない。やめちまえ!」みたいに責められて。
――要は、真剣勝負を仕掛けろと。
船木 そうです。ただ、相手がプロレスやるつもりなのに、不意打ちみたいに一方的に仕掛けるのは嫌だったんですよ。竹刀で向かってきてる相手に、真剣を抜くようなもので、全然合わないですから。自分は今後、UWFでどう闘うべきなのか、すごく悩んでましたね。だけど、東京ドーム(89年11月29日)でのモーリス・スミス戦が決まって、相手はキックボクシングの世界チャンピオンなんで、打撃の専門家相手に骨法の技術を使いながら、自分の力を試せたらいいなと思ってたんですけど、そんなときに腕を骨折してしまったんですよ。