【BUBKA2月号】天龍源一郎がレジェンドレスラーについて語る!ミスタープロレス交龍録 第38回「蝶野正洋」
打てば響く橋本真也とか、武藤敬司みたいな「こうしたら、こうなる」っていうのが全然想像できない相手だったから初対決はやりづらかった。どうしたらいい試合になるのか、どうしたらお客に響くのか……武藤だったらムーンサルト・プレスとかロープに走ってのエルボードロップ、橋本ならキックがあるけど、蝶野の場合は「何をどうしたら、観に来ているお客が蝶野をキャッチしてくれるのかな?」っていう意味で難しかったね。武藤はオールラウンドで何でもやれる天才、橋本なら爆発力の破壊王だけど、蝶野は表現しづらいよ。“黒のカリスマ”っていうキャッチフレーズはプロレスそのものとは関係ないからね。
だから初対決の時は苦肉の策で「蝶野のSTFか? 天龍の新技WARスペシャルか!?」をテーマにしたのかもしれないな。結末は、どちらの技でもなくて、俺のパワーボムだったけどね(苦笑)。でも、あのSTFをルー・テーズから学んで日本に持ち帰ってきたっていうのには感心していたんだよ。海外に出て模索しながら、苦労しながら、テーズをバージニアまで訪ねてSTFを学んで使っている蝶野を見た時に、多分、アメリカに4年近くいた俺は、コテコテのアメリカン・プロレス寄りだと感じたんだろうね。